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香港 侵食されゆく「自由」

2018年11月25日

 街中に警察官と監視カメラがあふれ、ネット上でも制限が厳しい北京から香港を訪れると、その自由がひときわ輝いて見える。中国政府に批判的な人物を取材する際も、警察の尾行を気にする必要はない。

 香港と大陸を結ぶ高速鉄道が開通した。香港の始発駅である西九竜駅では中国の司法権が及び、乗車前に香港と大陸の入境手続きが済む。便利には違いないが、中国に侵食されつつある香港の自治を象徴する。

 開通初日の駅構内で話を聞くと、香港市民の複雑な心情が垣間見えた。中国国旗の小旗を振っていた中年男性は「ビジネスチャンスだ」と笑顔だったが、一国二制度について尋ねたとたん、逃げるように話を切り上げた。家族が広東省に住むという若い女性は「うーん」と考え込み「手放しでは喜べない。ほかの方法もあったのでは」と困ったような表情を見せた。

 駅構内の中国側エリアでは大陸の警察官があちこちに立ち、監視カメラもやたら目につく。警察官にカメラを向けただけで厳しい口調で怒られた。どことなく「中国」の雰囲気が漂い、香港中心部にいることを忘れそうになった。 (中沢穣)

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