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北京 「心眼を養う」とは?

2018年12月07日

 出張帰りに北京南駅で乗った高速鉄道で、私の指定席に別の人が座っていた。30歳くらいの中国人男性に「切符を買ったら妻と離れ離れの席になってしまった。あなたの席は妻の隣なので替わってもらえませんか」と頼まれ、快く応じた。

 同じような経験は過去に数回ある。離れ離れの席といっても大抵は同じ車両の中だが、今回のケースは3号車と13号車に大きく離れてしまったという。「お荷物は私が持って行きます」と男性。3号車から列車の中を13号車まで歩き、座席に着いたのは発車時刻間際だった。

 この話を中国人の友人にすると「人が良すぎる。もっと用心しないと」と予想外の反応が返ってきた。「発車直前に男が荷物を持って外に飛び出し、あなたが車内に取り残されたまま発車したらどうする?」

 結果的に何のトラブルもなく、彼に悪意はなかったと思う。それでも友人は私に「『心眼』を養った方がいい」と忠告してくれる。「心眼」とは世渡りの知恵のことだ。容易に他人を信用しないとはいささか寂しいが、次に同じことがあったら、少なくとも荷物は自分で持つことにしよう。 (浅井正智)

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