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ミャンマー・ヤンゴン 気がかりな移民政策

2019年01月25日

 11月下旬、ミャンマーの最大都市ヤンゴンの軽食店で、通訳を介し、地元の男性と雑談した。記者が日本人と知ると真剣な顔つきで尋ねてきた。「おいが日本で働きたがっている。移民には厳しいのかい?」

 ちょうど外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案が衆院を通過した時期。どう返答すべきか戸惑った。

 別のレストランで日本語が流暢(りゅうちょう)な50代の女性と会った。女性が就学目的で来日中の1988年、ミャンマーで国軍が民主化運動を弾圧。息苦しい母国より不法残留を選んだ。

 職場の飲食店では、深夜勤務の加算がないなど、正規の日本人従業員とは待遇面で差がついていた。2011年の民政移管後、ミャンマーに帰国。「日本人は優しかったが、外国人労働者を好んでいるとは感じなかった」と振り返る。

 アジアで日本での就労への関心は高い。門戸を広げれば人材は集まるだろう。ただ、法改正を急ぐ日本政府の姿勢は、人手不足解消に重きを置き、外国人労働者の権利保護に目を伏せているように映る。不十分な準備は新たな人権問題を生む。行方が気にかかる。 (北川成史)