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ジャカルタ 現実にそぐわぬ施策

2009年08月06日

 インドネシアの首都ジャカルタにあるサワブサル駅。にぎやかな駅前からちょっと裏に回ると、汚れた小川沿いにシティさん(55)の狭い住まいがある。夜はコンクリートの床に夫と眠る。窓はあるが、ガラスはない。

 ペットボトルや、鉄くずなどを集めて暮らす。ボトルなら一キロ五千ルピア(約四十八円)で売れる。一日の稼ぎは数万ルピア。「食事は一日二回がやっと。三回は無理ね。でも、それで十分だと思うようにしてるよ」

 時間があればマッサージもしてお金を稼ぎ、地方に住む孫に送金している。孫の学校が一番大事だ。

 「政府からの補助は?」と聞くと、「何ももらっていない」とつぶやいてから、まじめな表情で付け加えた。

 「そうそう、政府は川沿いに、きれいな木を植えていったよ。木を食べろってことかねえ」

 取り囲んで取材の様子を見守っていた同じ境遇の隣人たちが、どっと笑った。 (吉枝道生)

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