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ソウル 再び別れる重い現実

2009年11月06日

 「お父さん、お父さん」。60代の男女3人が涙声で呼び、車いすの父親(89)も手を離さない。秋が深まる北朝鮮の金剛山で、親子に許された58年ぶりの再会は、わずか3日間。離散家族にとって、再び別れる最終日は悲痛の時だ。

 父親は朝鮮戦争で南下し、北へ戻れなくなった。再会で妻が44年前に急死していたことを初めて知った。当時、小さかった子どもたちには孫がいる。

 代表取材のカメラは離別直後の表情も追った。ハンカチを口に当て、へたり込む娘ら。面会所の外では韓国へ戻る老父が放心してたばこの煙を吐く。多くの家族が「さよなら」でなく「再び会おう」と言葉を交わした。

 南北関係悪化を受け2年ぶりとなった今回の再会で南北約100人ずつが計660人と対面したが、離散家族登録者は韓国側だけで約12万8000人。高齢で3分の1は亡くなった。今なお「再会の定例化」すら実現しない分断の現実が重苦しい。

 (福田要)

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