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ベルリン 戦でなく和を描く壁

2009年11月27日

 ベルリンの壁崩壊20周年に合わせ、世界中の画家たちが壁に描いた絵の修復作業が終わり6日、記念式典が開かれた。

 旧ソ連と旧東独の指導者がキスする絵を描いたロシア人ディミトリー・ウルベルさんら画家約50人が式典に参加。唯一の日本人画家、宮武貴久恵さん(三重県四日市市)も駆け付けた。

 ともに描いた仲間との再会に「20年ぶりの同窓会のよう」と宮武さん。当時、落書きされて描き直すハプニングもあったが「今回は大丈夫」と、完成した絵の前でほほえんだ。

 女性画家ミルタ・ドマチノビッチさんはクロアチア出身。母国は壁崩壊の後も内戦で苦しんだ。「社会主義では政治体制。内戦では暴力。つらい目に遭わされた国だから、自由と平和の意味をもっと伝えたいわ」と話した。

 かつて人々を分断した壁は、118人の絵で人々の心を結びつける広場に生まれ変わっている。 (弓削雅人)