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モスクワ 圧力に屈しない心で

2009年11月29日

 ロシアでも集会の自由は憲法で認められているのだが、当局の意向に反した集会を開くには有形、無形の嫌がらせを乗り越える必要があるようだ。

 先日、著名な女性人権活動家のアレクセエワさん(82)が記者会見で、苦労の一端を明かしてくれた。

 10月下旬、彼女らがモスクワ市内の広場で集会の自由を訴える集会を開こうとしたところ、市当局は「他の団体がイベントで使うので」と不許可に。が、その団体を問い詰めたら、彼女たちの集会と日程が重なるよう開催を当局に勧められたと証言したそうだ。

 結局、時間をずらして何とか実施にこぎ着けたが、そばにはぴったりと市警察の監視付き。彼女によると「立っていただけ」の参加者が一時拘束される騒ぎもあった。

 ただ、彼女に懲りた様子はまったく無し。「圧力に負けず、何回でも開くわ」という張りのある声を聞いていたら、当局の厚い壁もじきに崩せる気がした。 (酒井和人)