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台南 技師の精神 伝える縁

2009年11月28日

 「私は霊感が強いんです。八田さんとは妙に合うんです」

 日本統治時代の台湾南部で、当時はアジア最大の烏山頭ダムを建設して不毛の大地を穀倉地帯に変えた金沢市出身の技師、八田與一(よいち)氏について、ダム一帯の地域を所管する台湾観光局西拉雅(シラヤ)国家風景区管理所の陳●宏所長(51)は神妙に話す。

 現地に赴任したのは今年1月。それまで八田氏のことは全く知らなかった。所長就任後、地域の特色として「八田さんと温泉を観光の目玉にするか」と何げなく思った。

 その後、誰に言われるまでもなく、月に2回はダム湖畔にある八田氏の銅像に赴き、クモの巣を払ったり、周辺の落ち葉を拾ったりしている。「八田さんの精神がここに宿っている」

 さらに、4月には馬英九総統から、ダム周辺を八田氏にちなんだ記念公園に整備するよう指示があった。「縁があるんでしょう。八田さんにかかわるのが私の仕事、私の責任です」 (栗田秀之)

(注)●は日の下に立