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バンコク

バンコク タイ 渡船で巡る新旧の名所

 水の都」「東洋のベニス」などと称されるタイ・バンコク。その中心部を蛇行しながら縦断する大河チャオプラヤ川一帯は、「オールドバンコク」と呼ばれ、寺院、中華街など観光スポットが集中している。三島由紀夫の小説「暁の寺」に出てくるワットアルンもその一つ。定期船エクスプレスボートが出ていると聞き、滞在ホテル近くのサートーン船着き場から行ってみることにした。

チャオプラヤ川をさっそうと走るロングテールボート。後方に見える仏塔はワットアルン=いずれもタイ・バンコクで

チャオプラヤ川をさっそうと走るロングテールボート。後方に見える仏塔はワットアルン=いずれもタイ・バンコクで

待合室に入ると、目の前には悠々と流れるチャオプラヤ川が横たわっていた。定期船のほか、観光船やロングテールと呼ばれる貸し切りボートなどが何隻も往来していて、昨秋の大洪水がうそのようだ。

 アルンへの直航便はなく、まず対岸の渡し船発着場ターティアンへ。運賃30バーツ(約75円)を払うと、格安クルーズの始まりだ。心地よい風を受けながら上流へ向かうと、数分もたたないうちに、シャングリラ、オリエンタルそしてヒルトンなど名だたる豪華ホテル群の光景が後ろへと流れていく。中華街へと続き、次に現れたのは黄金色の尖塔(せんとう)を持つ王宮やワットプラケオなどの寺院群。そのまっただ中に吸い込まれるように、わずか20分で船旅は終わった。

 発着場から対岸を眺めると、アルンの象徴である巨大な円すい形状の仏塔が5本、空へとそびえている。その雄大なパノラマの世界に上陸すると、船客はわれ先にと仏塔に向かう。目標は高さ75メートルもある真ん中の大仏塔だ。ふもとに到着するや今度は芥川竜之介の「蜘蛛(くも)の糸」よろしく、“天”へと一斉に石段を上り出す。踊り場からは、背後に王宮などを従えた雄大なチャオプラヤ川が一望でき、参拝客から歓声が上がった。

 暁ならぬ「夕闇の寺」の時間となったのを潮に、中華街で夕食を取ることにした。渡し船で対岸に戻り、定期船で下流へ進むこと10分、ラーチャウオン船着き場に着いた。

 「新鮮な海鮮料理を出す店があるよ」。タイ人ガイドのカンチャナさんが予約を入れてくれた。店があるヤワラート通りは、「金行」「大酒店」など漢字の看板を掲げたビルが並び、小路にはたくさんの赤ちょうちんがぶら下がっていたりと、タイにいながら中国情緒が感じられ、得した気分になった。

 
赤ちょうちんの飾り付けが鮮やかな中華街の通り

赤ちょうちんの飾り付けが鮮やかな中華街の通り

 しばらく歩くと、店内から歩道へ何10卓ものテーブルがあふれ出す「T&K」という店に到着した。現地の人お薦めだけあって午後6時前だが満席状態。店員たちのけたたましい中国語が飛び交う中、屋外の席に着くと、エビを丸ごと炭火で焼いた香ばしい煙に包まれた。

 中華料理を堪能した後、食後の酒を飲みにカオサン通りへ向かう。バックパッカーの聖地と言われたカオサンだが、何年も前から欧米の観光客やタイの若者たちで夜中までにぎわう街に変貌したと聞いていたからだ。

 中華街からは定期船でも行けるが、最終便が出た後。タクシーで北西へ約10分。目の前に現れたのは、まばゆいばかりのネオン街。英語の看板が連なる光景に「一体どこの国」-。バーのオープンテーブルでタイビール「シンハー」を数本飲み干し席を立った。

 名物のフットマッサージ店を探していると、「タクシー?」とタイ人男性が声をかけてきた。トゥクトゥクと呼ばれるオート3輪タクシーの運転手だ。ホテル名を告げ、「いくら?」と聞くと「200バーツ」との返事。フロントに聞いていた相場の約3倍。このたくましさがあるから洪水の影響からすぐに立ち直ったのかなと思い、試しに乗ってみることにした。

カオサン通りにある旅行者に人気のマッサージ店

カオサン通りにある旅行者に人気のマッサージ店

    写真・文 内藤哲宏

 (2012年3月2日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
スワンナプーム国際空港(バンコク郊外)へは、
中部国際空港、成田空港などから定期便が就航。
バンコク中心部まではエアポートレールリンクで15分、空港バスで約60分。

◆問い合わせ
関東甲信越、静岡、石川、富山はタイ国政府観光庁東京事務所=電03(3218)0355
東海以西、福井は同大阪事務所=電06(6543)6654

おすすめ

トゥクトゥク

トゥクトゥク

★トゥクトゥク
タイ名物のオート三輪タクシー。
料金は事前交渉制。高い値段を提示されることもあるが、
風を切って走る爽快感を味わうのもいいかも。

★タイ料理
レストランはもとより、デパート内のフードコートや屋台など街中至るところで食べることができる。
ヤムウンセン(魚貝の春雨サラダ)は辛いがおいしい。

★エクスプレスボート
チャオプラヤ川を運航する路線ボート。
観光名所の寺院・王宮へ渋滞なしで行けるので便利。
午前6時~午後7時半。

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