
どっしりと大きい伝統的な建物が連なる白峰の家並みに 本格的な冬の訪れはもうすぐ
暑い季節は涼しい北へ、寒い時期には暖かい南へ-というのが旅の相場だろうが、思い切って白山のふもと白峰(石川県白山市)へ。「白山百膳(ひゃくぜん)」なる地元料理の数々と新しくオープンした「白峰温泉総湯」に引かれた格好だ。
実は「白山市」という名称はごく新しい。3年前に生まれたばかりで、拠点は旧松任市だ。そう、「加賀の千代女」が朝顔につるべを取られたのはここ。日本海に面した平野部にありながら大合併で岐阜、福井県境の山間部の町村までのみ込んだのだが、旧市名は捨てた。それほど「白山」の名は高く、全国的なネームバリューには勝てなかったようである。
その松任からバスで白山ろくの一番奥、旧白峰村の集落までは約1時間半かかる。「今年の冬は早かったね」と運転手さん。11月中旬、路線の山間部にチェーンを付けるか迷うほどの初雪が降った。そのときの雪はもう車道からは消えていたが、手取川沿いのダム湖や背景の山々は白い冬景色である。

積雪に備え“雪囲い”を急ぐ=白山ろく民俗資料館で
集落の真ん中にある林西寺あたりがちょうど標高500メートルあり、初雪は45センチ積もった。白山市観光ボランティアガイドの山田喜一さん(75)は「ひと冬に5メートルになることもたびたびあった」とこともなげに笑う。そんなどか雪のくる前に雪囲いが始まっていた。“よろい壁”という板壁の民家も、社寺の社殿もお堂も、建物の周りを分厚い板ですっぽり包み込む。
今は1100人程度の白峰だが、お寺が5つもある。林西寺はじめいずれも真宗寺院で、堂々たる構え。本堂に庫裏、鐘つき堂。とくに、庫裏に目を見張る。「いっぺんに100人の賄いができる」ほどの大きさ。昔の小学校校舎のような木造建てにもう一つ屋根付きの「太鼓堂」が載っている。巨船の煙突のごときそこから仏事の触れ太鼓が門徒衆に呼びかけるのだという。寺と深くかかわる生活文化が息づいていて、どこの家でも親鸞聖人の忌日(11月28日)には聖人の徳に感謝する。




















