「おい、あの辺を見てみろよ」
先に到着したフランス人観光客の一行が、手招きして教えてくれた。岬の突端から大海原に目をやると、ほどなくして、クジラの黒い尾びれが。海面に大しぶきが上がるたびに、その場は拍手と歓声に包まれた。
東はインド洋、西は大西洋。2つの海に囲まれたアフリカ大陸の「喜望峰」は、南アフリカ旅行者のほとんどが訪れる。昨年11月、取材当日の視界はあいにくの雨で不良だった。「地球が丸いということがよく分かりますよ」。事前に南ア観光局職員から聞いた絶景は確認できなかったが、思わぬ“歓迎”に心が躍った。
内戦、貧困、独裁といった印象がつきまとうアフリカ大陸にあって、南アの社会基盤と経済力は群を抜く。来年、この国で初めて迎えるサッカー・ワールドカップ(W杯)の開催スローガンの1つは「アフロ・ペシミズム(アフリカ悲観主義)との決別」。そんな願いを象徴しているのが、南ア発祥の地、ケープタウンだろう。
喜望峰を含むケープ地方の観光拠点。ヨハネスブルクに次ぐ大都市は「世界中の海岸線で最も美しいケープ(岬)を持つ」と言われる。テーブルマウンテンの山すそから海に向かって広がる街並みは、想像以上に近代的だった。
海岸沿いに470億円を投じて新築中のW杯競技場の近隣には、ショッピングセンター、ホテル、レストランなどが並ぶ「ビクトリア&アルフレッド・ウオーターフロント」があり、新たな観光スポットとして注目を浴びる。
現地を視察した国際サッカー連盟のブラッター会長は「立地条件は抜群」と称賛。都市としての魅力は確実に向上した。治安の悪いヨハネスブルクに比べれば、安全性も高く、昼間は散策もできる。W杯を機に会場周辺の観光ビジネスは、さらに活性化するに違いない。




















