
雨が降っていても、ひざをついて南海大観音にお参りする信者たち
3日目は普済寺の「朝課」と呼ばれる早朝のお勤めを体験した。普陀山仏教協会との交流を続け、ツアーで一緒になった一畑薬師(島根県出雲市)の飯塚大幸管長(48)に「信仰の入り口に立つかもしれない。一度は体験してみたら」と誘われたからだ。
開門は午前4時前だが、参道には約200メートルの列ができた。500人以上の信者が場所取りで、本堂目がけ一斉に駆けだす。連日満員で入場制限しようと最近有料(300元=約4500円)にしたが、効果はないようだ。
朝課は読経の軽やかな調べで始まった。高低のパートが交わり、本堂の空気を温かくする。20代前半らしき女性3人組も、お年寄りと同じように、床にひざをついては立ち上がるお祈りを繰り返す。
左側に陣取った信者がひざをつくと、右側の信者が立ち上がるというふうに、ウエーブのような動きでクライマックスを迎えた。リハーサルなしで、この一体感。信心のあつさが生み出す、うねり。身震いした。

「心」の字を刻んだ心字石の前は、カップルたちがつけていった南京錠がいっぱい
お勤めは1時間で終了。外に出ると、空が白み始めてきた。日の出は6時15分すぎ。間に合いそうだ。近くのビーチ「百歩沙(さ)」に走った。小高い丘に中国風のあずまやが立っていた。薄雲に小さな穴が開くと、溶岩が噴き出るように太陽の破片が少しずつ顔をのぞかせた。異国の地で見た御来光。しっかり、目に焼き付けた。
朝食後は、舟山群島を見渡しながらのウオーキング。島内にはへんてこな形の岩や石が豊富だ。誰が書いたか、真っ赤な「心」が印象的な「心字石」もそれ。フェンス代わりの鎖には、ものすごい数の南京錠。カップルが離れたくない、とつけていくのだという。
最後に報告。帰路立ち寄った上海で偶然高校の同級生と再会した。観音様のお導きだろうか。楽しく痛飲したのは言うまでもない。
文・写真 服部利崇
(2009年4月24日 夕刊)




















