
神秘的な色の水をたたえる毘沙門沼。後方に磐梯山が見える=福島県北塩原村で
日本百名山の1つ、福島県の磐梯山(標高1,819メートル)。猪苗代湖のある南側に対し、北側の北塩原村周辺の標高800-900メートルの高原地帯は「裏磐梯」と呼ばれる。秋の1日、裏磐梯から会津若松へと旅した。
磐梯山は1888年に大噴火し、現在の裏磐梯側から見る斜面が大きくえぐられた姿になった。流れ出た泥流が川や沢をせき止め桧原湖、五色沼など大小約300もの湖沼群をつくりだした。
多くの温泉、季節ごとに衣を脱ぎ捨てるかのように姿を変える自然、年間を通して楽しめる各種アウトドアスポーツ。NHK大河ドラマ「天地人」ゆかりの史跡など見どころは多い。
真っ先に向かったのは地元の人たちお薦めの観望名所「東鉢山七曲(ななまがり)」。つづら折りのような旧米沢街道を進むと観望用の駐車場がある。もう山形との県境に近い。
真っ青な空と真っ白な雲。正面には磐梯山と山陰から姿をのぞかせる桧原湖。その周りに緑の山々が連なる。写真を撮るのも忘れ、しばし見とれた。雪に閉ざされる前、今月中旬から、木々は紅葉の化粧を始める。

休暇村裏磐梯の「こがねの湯」、名前の通り黄金色
次は裏磐梯最大の湖、桧原湖に。湖底に噴火の際に沈んだ集落が眠り、水位によっては、当時の鳥居が姿を見せる。周遊道路、遊覧船のほか、散策路があり、思い思いに湖水の美を楽しめる。冬には全面凍結し、氷上のワカサギ釣りでにぎわう。
五色沼まで徒歩10分の「裏磐梯ビジターセンター」で自然解説員の金野志帆さん(28)から「ここは固有植物のほか、ニッコウキスゲの群生、野鳥の多さもわが国有数」と教えてもらった。自然観察愛好家にはたまらないだろう。
五色沼は、最も大きい毘沙門沼、水量によって色が変化する赤沼、場所により青、赤、黄緑の湖面を見せる深泥(みどろ)沼など数十の湖沼群からなる。色の違いは土壌や流れ込む伏流水の違い、水草の種類などによるものといわれるが、自然の不思議なメカニズムに感謝せずにはいられない美しさだ。
毘沙門沼では風がおさまり湖面が落ち着くと、鏡のように周囲の景色を映し出した。遠くには磐梯山の姿がのぞめた。
毘沙門沼から桧原湖まで木製の遊歩道があり、所要時間は片道約1時間半。途中、若いバスガイドさんたちの集団に出会った。研修だろう。彼女らを見て、かつて若い女性たちに聞いた「五色沼は恋を占う」という言い伝えを思い出した。神秘的な湖面を見ていると、恋の女神がいそうな気がした。




















