遠くの空で薄くたなびく雲が幾重にも重なり、その1つ1つが夕日を受けて赤く色づいている。間もなくフィンランドに着く機内から壮大な夕日を眺め、オーロラへの期待を膨らませた。
首都ヘルシンキで飛行機を乗り継ぎ、さらに北へ約1時間半。目的地のユッラスまでは空港から車で約30分。小さな湖のほとりにホテルが点々と並ぶ北極圏の小さな町だ。
早速、タクシーでホテルへ。走っても走っても真っ白のままの景色。どこまで行ってもモミの木ばかり。運転手は猛スピードで雪道を走りながら「ここのところ暖かいからオーロラを見るのは難しいね」。神秘の光にめぐりあうための条件は、天気が良くて寒いこと。それが地元の定説。
ホテル到着後、氷に覆われた湖へ向かった。日の暮れた極北の地に家々の明かりが広がる。町の光に遮られない湖上は、オーロラを見る絶好のスポットになっている。
空には宝石箱をひっくり返したように大小さまざまな星。天の川もはっきり見えたが、初日は待てど暮らせどオーロラは現れなかった。それでも満天の星に囲まれて、広い宇宙の中で生きていることを実感した。
翌日、夕食を終えて空を見上げると一筋の緑の光。急いで湖に行くと、頭上で緑色に輝くオーロラがはっきりと目に入った。刻々と形を変えながら、不思議な光がゆらゆらと揺れる。「時には一瞬で消えてしまうこともある」という誰かの言葉を思い出して、急いでシャッターを切った。
オーロラは太陽風と呼ばれる太陽から放出されるガスが地球の極地の磁場に引きつけられ、大気圏に突入した際に大気中の原子と衝突して発光する。そのため太陽風の速さと地球の磁場の強さの関係がオーロラを見るための重要なポイントとなる。この夜のオーロラ予報では観測レベルは6に上がっていた。地球の磁場の強度が上がったようだ。
3日目、4日目は空が厚い雲で遮られたが、5日目は遠くの空が徐々に緑色に染まり始めた。「まるで虹みたい」と英国からきた少女。オーロラめがけて流れ星が落ちた。頭上を覆うほどではなかったが、時に形を変えながら遠くから神秘の光を放って揺れた。




















