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大沼・流山温泉

大沼・流山温泉 北海道 駒ケ岳を仰ぎ雪見風呂

ダッチオーブンを使った料理を指導する自然学校スタッフの高橋諭子さん(右)と参加者

ダッチオーブンを使った料理を指導する自然学校スタッフの高橋諭子さん(右)と参加者

 函館から車で北へ1時間ほど揺られると、北海道七飯町(ななえちょう)大沼地区の流山温泉に着いた。一面の銀世界。駒ケ岳(渡島(おしま)駒ケ岳)の噴火が河川をせき止め、「大沼」「小沼」「じゅんさい沼」の3湖と126の小島をつくりだした。それらが織りなす繊細な風景は、日本庭園風の景観として江戸時代から知られ、1958(昭和33)年に北海道初の国定公園に指定された。

 駒ケ岳が雲の切れ目から顔を出した。左端のやや尖(とが)ったのが主峰の剣ケ峰(1,131メートル)。かつては富士山のようなコニーデ形の火山だったが、度重なる噴火で山頂部が大きく崩れてしまった。

 駒ケ岳の山麓にある広さ130ヘクタールの「大沼ふるさとの森自然学校」に足を運んだ。自然体験型の観光を目指し、「ファミリーキャンプ」「大人のための田舎暮らし講座」など、乳幼児から高齢者まで楽しめるよう工夫されたメニューが盛りだくさんある。

 冬限定のダッチオーブンを使った料理と花炭製作に挑戦してみた。スタッフの高橋諭子さん(42)の「森の産物、自然の産物を生かしたナチュラルなアートづくりの楽しさを感じてください」の掛け声で料理開始。ダッチオーブンは、米国西部開拓時代に使われていた野趣あふれる鍋だ。鍋に鶏のもも肉、ニンジン、ジャガイモなどを入れる。味付けは地元のバジルにコンソメ、塩、こしょうとシンプルだ。パンもできるというので、参加者と和気あいあいで小麦粉をこねた。

 
スノーシューを履いて「ストーンクレージーの森」の石彫刻を見て回る参加者=いずれも北海道七飯町の流山温泉で

スノーシューを履いて「ストーンクレージーの森」の石彫刻を見て回る参加者=いずれも北海道七飯町の流山温泉で

 できあがるまで長靴の上からスノーシューを履き、付近の「ストーンクレージーの森」を散策した。彫刻家流政之さんが制作した「もどり雲」「逢瀬(おうせ)の門」などの約20点が野外に展示してあるということだが、ほとんどが雪に埋もれていて残念。ひと汗かいた後に食べた野菜の煮込みのうまさは、格別だった。

 花炭づくりは意外に簡単だ。用意された缶の大きさに応じてくぎを使って金づちで2つから6つの穴を開け、炭にしたいものを入れふたをして薪(まき)の火に載せるだけ。クリのイガやドングリ、ハンノキの実を入れて缶を針金で縛り、焼いてみた。白い煙が出なくなったら炭のできあがり。ほんの20分ほど。炭ができあがった時は感慨無量で、「持ち帰りは自由です」という高橋さんの笑顔に笑顔で返した。

 体験観光で冷えた体を流山温泉の露天風呂で温めた。露天風呂の正面には駒ケ岳が望め、周囲の積雪は1メートルほど。氷点下の中での雪見風呂に満足した。

 大沼は全面凍結し、雪に覆われていた。所によりワカサギ釣りや、スノーモービルに興ずる観光客が目についた。

雪に囲まれた露天風呂から望む駒ケ岳山頂

雪に囲まれた露天風呂から望む駒ケ岳山頂

 乗ったバスのガイド尾崎佐1000代さんの「北海道のイベントは地味ですが、また来たくなるようになってほしい」との言葉が印象的だ。作家の新井満さんが名曲「千の風になって」を生んだ大沼は、風にも命を感じさせる地だった。

 文・写真 尾崎行雄

 (2011年2月25日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
羽田、中部国際空港から函館空港まで定期便がある。
函館市内から流山温泉へは車で約1時間。
鉄道ならJR函館駅から大沼公園駅まで
特急「北斗」「スーパー北斗」で18分、
そこで各駅停車に乗り換え流山温泉駅で下車。

◆問い合わせ
北海道大沼観光協会=電0138(67)3020、
大沼ふるさとの森自然学校=電0138(67)3777

おすすめ

浴室棟

浴室棟

★流山温泉
彫刻家の流政之さんがプロデュースした温泉。
巨岩、巨木を大胆配置した浴室棟が印象的。弱アルカリ性。
日帰り入浴大人800円など。電0138(67)1726

★大沼自然ふれあいセンター
大沼公園駅から徒歩3分。
駒ケ岳など自然の仕組みを解説したパネルやヒグマ、
エゾジカなどの剥製を展示。野鳥観察も。無料。電0138(67)3477

★大沼・小沼定期遊覧船
運航は沼の状態を見て4月に開始。
5~10月は午前8時20分~午後4時20分(7、8月は午後5時)。
大人960円など。大沼は冬季、ワカサギ釣りも可。
餌とさお代込み1000円。電0138(67)2229

★SL函館大沼号
大型連休(GW)に函館-大沼公園-森駅間を運行。
5月14日~6月26日までは土日にリゾート大沼号も走る。

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

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