【本文】

  1. トップ
  2. 旅だより
  3. クアラルンプール
クアラルンプール

クアラルンプール マレーシア 民族融合 にぎわう屋台

1909年、ゴンバッグ川(左)とクラン川との合流地点に建てられた市内最古のモスク「マスジット・ジャメ」(中央)

1909年、ゴンバッグ川(左)とクラン川との合流地点に建てられた市内最古のモスク「マスジット・ジャメ」(中央)

 「泥川の交わる場所」を意味するマレーシアの首都クアラルンプール。その発祥の地に立つ市内最古のモスク「マスジット・ジャメ」を街歩きの起点と決めた。南東に歩けば中華街。北ならインド人街のマスジット・インディア通り。地図上では、多民族社会を効率よく回れそうな気がしたのだが…。

 40分ほど降り続いたスコールのせいか、泥流と化したクラン川とゴンバック川がぶつかり合う様を眺めていると、橋の正面から呪文のようなものが聞こえてきた。音の正体はコーランに違いない。この2つの川の合流地点に1909年に建てられたマスジット・ジャメはヤシの木に囲まれ、白亜のドームと多数の繊細な尖塔(せんとう)がエキゾチックな雰囲気を漂わせていた。

 昼食に向かった先は中華街。マスジット・ジャメを見渡していた橋から10分ほど歩くと、チャイナタウンに着いた。観光客でにぎわうアーケードを抜けると、レトロな石造りの食堂が目に付く。正面につり下げられた鶏の丸焼きに釣られて店に入る。メニューは「海南鶏飯」というチキンライスのみ。ジューシーな鶏肉をほおばりながら通りをしばらく観察。インド系の男性やペイズリー柄のスカーフを頭にまとったマレー系の女性らが忙しそうに行き交う。

 食堂からジャメに戻り、クラン川沿いに北へ歩くこと数分。インディア通りに入ると、ヒンズー語の看板や民族衣装サリーを扱う店がインド情緒を醸し出す。ただ、屋台が出るのは夕方のようで人通りは寂しい感じ。「それでは」と、マレー人街を目指す。地図を見ると、北へ20分ほど歩けば着きそうだったが、南国の暑さに負けてタクシーに乗った。

 10分ほど走り、到着したチャウキットの駅前通りは、壁が青や黄で彩られたショップハウスと呼ばれる長屋が連なり、通りを抜けた先はチャウキット市場。ガイドのエリックさん(34)は、「安く生鮮食料品が手に入るから市民に人気。でも僕はこんな汚い所では買い物しないけど」とちゃかしながら笑った。

 確かに地面はぬかるんでいるし、店の天井からはトタン屋根にたまった雨水が滴り落ちてくる。気を取り直して入ってみると、全長40センチはある巨大な果物ジャックフルーツが山積み。隣のテーブルには熟していない青いバナナ。1キロ2.5リンギット。日本円で約70円と激安だ。果物店舗を抜けた精肉コーナーの調理台には豚足ならぬ牛の足や頭部が並ぶ。店員にカメラを向けると、両手に牛の足を握って「はいポーズ」とおどけて見せた。

 
マレーシア国内だけでなく、アジアや欧米からの観光客で夜遅くまでにぎわう屋台街・アロー通り=いずれもマレーシア・クアラルンプールで

マレーシア国内だけでなく、アジアや欧米からの観光客で夜遅くまでにぎわう屋台街・アロー通り=いずれもマレーシア・クアラルンプールで

 チャウキット駅からモノレールに乗り南東へ15分ほど走ると、市内随一の繁華街があるブキッビンタン駅。マレー語で「星が丘」と言うとおり、キラキラ輝くビルが大通りに立ち並ぶ。だが、小路に入ると、今度はギラギラとした看板が氾濫するアロー通りの入り口。近代都市と人情味あふれる昔ながらの庶民的な台所が隣り合わせで時を刻んでいた。

 電飾看板の店を曲がった瞬間、度肝を抜かれた。200メートルはある道路の両側に屋台がぎっしり。通りの果てが見えない。中国、マレー、インドの民族料理は元より、隣国のタイ料理も。まだ夕方というのに、店の前に二重三重と置かれた青空テーブルは既に満席状態。どこに入ろうか迷っていると、香ばしいスパイスの匂いがプ~ン。思わず着いたテーブルは、ニョニャラクサというカレーラーメンの店。ニョニャは中華とマレーの料理が融合した料理のこと。すぐさまボーイが、「うまいよ」と国産ビールのJaz(ジャズ)を薦めてくれた。

 よく冷えた地ビールでのどを潤していると、周りには中国語やマレー語らしき現地語のほか、英語、ドイツ語などの会話が飛び交う。喧噪(けんそう)の中で地元の人々と各国の観光客がニョニャのように溶け合う街は、陽気で躍動感にあふれていた。

   文・写真 内藤哲宏

 (2011年3月18日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
マレーシア航空が成田空港から毎日1便、関西空港から週6便就航。
格安航空会社のエアアジアは羽田空港から週3便。

◆モスクでの服装
イスラム教国のため、見学時に肌を露出した服装は禁物。
女性にはスカーフを貸し出すところもある。

◆問い合わせ
関東、中部地方在住者はマレーシア政府観光局東京支局=電03(3501)8691=へ。
公式日本語サイトは「マレーシア観光局」で検索可。

おすすめ

セントラル・マーケット

セントラル・マーケット

★ピューター
マレーシア産のスズと合金で作られるビアジョッキや花瓶などの工芸品。
クアラルンプールは1800年代にスズ鉱山発見とともに発展した町で、
地名の由来「泥川」もここからきている。

★セントラル・マーケット
ピューターや布製品バティックなど工芸品からアクセサリー、
菓子まであらゆるマレーシア土産がそろい、フードコートもある。
中華街に位置し、中心街ブキッビンタン間に無料シャトルバスが運行。

★KLホップオン ホップオフバス
市内を巡回する2階建て観光バス。
KLタワーや国立博物館など主要スポット22カ所に停留所があり、時間内なら乗り降り自由。

歴史・文化の宿泊情報

一覧

    現在この情報はありません。

歴史・文化のツアー情報

一覧

    現在この情報はありません。

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

旅コラム
国内
海外