【本文】

  1. トップ
  2. 旅だより
  3. 上海
上海

上海 中国 混然一体の国際都市

古い街並みの向こうにそびえる高層ビル群。発展著しい上海を象徴している

古い街並みの向こうにそびえる高層ビル群。発展著しい上海を象徴している

 4半世紀ぶりに訪れた中国・上海は、目覚ましい変貌を遂げていた。経済大国へと駆け上がる中国をけん引する上海。万博史上最多の7300万人余が来場したという「上海万博」を終えてもこの街は、国際都市として光彩を放つ。古さと新しさ、東洋と西洋が混然一体となり、急成長を続ける姿を目の当たりにした。

 日本をたつ前、空港の両替所で「人民元」を感慨深く受け取った。かつては外貨管理のため、外国人用の兌換(だかん)紙幣を渡されたが、それはもう過去の遺物だ。毛沢東の肖像画が印刷された人民元は、新しい上海を予感させるのに十分だった。初めて降り立った広大な上海浦東国際空港に目を見張り、空港から乗ったリニアモーターカーでは最高時速431キロを体感し、夢見心地で市街地に入った。

 市内を流れる川「黄浦江」の西側、浦西地区を巡回する2階建ての観光バスに乗った。乗車料金は1日30元(1元=約13円)、停留所で自由に乗り降りができる。上海随一の繁華街「南京路」や、租界(外国人居留地)時代に欧米諸国によって建てられた洋館が並ぶ「外灘」、明の時代に造営された庭園「豫園」、れんが造りの住宅を店舗などに改装した「新天地」などを経由する。外灘では、対岸の浦東地区に高層ビル群が見渡せた。

 
観光客でにぎわう豫園商城

観光客でにぎわう豫園商城

 バスの2階は一部にしか屋根がなく、見晴らしがいい。車内備え付けのイヤホンでは中国語をはじめ、日本語、英語、ロシア語、フランス語など8カ国語の観光案内を聞くことができ、国際都市ならではのサービスに感心した。街の所々には建設中の建物もあり、再開発途上であることを物語っていた。かつて、たばこ2箱分ほどの料金で泊まった安宿はどの辺りにあったのだろうと記憶をたどってみたが、どうしても思い出せなかった。

 豫園でバスを降りた。1559年からの歴史を誇る庭園で、以前も訪れた場所だ。上海一の名園として知られ、平日にもかかわらず多くの観光客でにぎわっていた。池の上に立つ湖心亭に架かる九曲橋のたもとでは記念写真を撮影する人々。昔と変わらぬ情景がそこにはあった。

 豫園の周辺には古い街並みを残す豫園商城や上海老街があり、飲食店や土産物店が軒を連ねる。散策していると、工芸品店の店先で、店員の中国女性が「安いよ」と日本語で声を掛けてきた。こちらもでたらめの中国語を駆使して応対し、値切り交渉を楽しんだ。小籠包の名店「南翔饅頭店」にも立ち寄り、伝統の味をしっかりと確かめた。

明の時代に造られた庭園「豫園」=いずれも中国・上海で

明の時代に造られた庭園「豫園」=いずれも中国・上海で

 夜、浦東地区にある高さ468メートルのテレビ塔「東方明珠塔」に行ってみた。この辺りは25年前、観光地図には「浦東公園」しか記載されていなかった。今では高さを競うように高層ビルが林立し、発展する上海を象徴する地区に。263メートルの高さにある展望台に上ると、光を放つ高層ビル群が間近に迫ってきた。

 旅の案内をしてくれた張明亮さん(37)は「日本と中国はもっと親しくなるべきだし、なれるはずだ」と力を込めた。上海には地方空港の富士山静岡空港からも直行便が運航し、3時間足らずで到着する。時間的な近さはもちろんだが、「上海の持つ多様性が、日本人が中国を知るきっかけになるかもしれない」と張さんはいう。富士山静岡空港利用促進協議会でも、最も身近な海外都市の一つとして上海のPRに力を入れている。

 またいつかこの街を訪ねてみたいと思う。それがもし、そう遠くない未来であったとしても、この街はきっとまた新しい表情を見せてくれるに違いない。

 文・写真 松下隆文

 (2011年4月8日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
中部国際空港、富士山静岡空港、羽田空港、成田空港など全国各地から直行便がある。

◆問い合わせ
中国国家観光局東京駐在事務所=電03(3591)8686

おすすめ

上海ガニ料理

上海ガニ料理

★上海工芸美術博物館
建物は1905年に建てられた、元フランス租界の高官の邸宅。
上海市長の公邸などとして利用された後、上海工芸美術研究所となり、博物館も開かれた。
フランス後期ルネサンス建築の特徴を持つ白亜の館で、「上海のリトルホワイトハウス」と呼ばれ、米国のレーガン元大統領も訪れた。
館内では象牙彫り、木彫り、刺しゅう、織物、切り絵など、上海の伝統工芸品を展示している。
工芸家の工房が公開されており、制作の様子を見学でき、作品の販売もしている。
午前9時~午後5時。入館料は8元。

★大可堂普●会所
プーアール茶の展示館兼茶館。
製造年代や製法などが異なる数十種類の茶葉があり、選んだ茶葉で、専門的な教育を受けた係員が茶を入れる。
古いものほど熟成されて風味が増すといい、展示品には19世紀末や20世紀初めに製造された貴重な年代物もある。
(注)●はさんずいに耳

★正宜豊
上海、浙江、江蘇の地方料理を基本とし、長江の水産物などを使った料理を提供するレストラン。
上海ガニの各種料理も味わえ、日本語のメニューもある。150席。

歴史・文化の宿泊情報

一覧

    現在この情報はありません。

歴史・文化のツアー情報

一覧

    現在この情報はありません。

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

旅コラム
国内
海外