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北米大陸横断鉄道

北米大陸横断鉄道 米国 西部を疾走、会話も弾む

ユニオン駅の待合室「グレート・ホール」の吹き抜けは34メートルもある=シカゴで

ユニオン駅の待合室「グレート・ホール」の吹き抜けは34メートルもある=シカゴで

 大洋を渡る船旅も優雅だけれど、何日もかけてぼーっと移りゆく車窓を眺める鉄道旅行は、心地よいリズムに揺さぶられ、心が静かに解きほぐされる。ハプニングの多さでは、おそらくロシアのシベリア鉄道や中国の青海チベット鉄道に一歩譲るとしても、北米大陸横断を一度は試してみたかった。

 米国東海岸に近い首都ワシントンのユニオン駅から期待を胸に昼すぎ、寝台列車「キャピトル・リミテッド」号に乗り込んだ。オバマ米大統領の地元シカゴまで1泊2日。シカゴで西海岸ロサンゼルスへ向け同「サウスウェスト・チーフ」号に乗り換えて2泊3日。計約4900キロを4日がかりの旅だ。

 その前に、ワシントンから1時間ほどの「ボルティモア・オハイオ鉄道博物館」に足を運んだ。19世紀からの蒸気機関車(SL)が多数展示されており、鉄道ファンにお薦めだ。

 シカゴ・ユニオン駅では約6時間の乗り換え時間を利用して、駅を見学した。この駅は1925年の建て替え工事完了で今の姿になったとされ、巨大な待合室「グレート・ホール」が有名だ。天井の高さが34メートルもあるホールに立ってみると、圧倒された。隣接する階段は映画「アンタッチャブル」の銃撃戦の撮影などに使われ、映画の場面がよみがえった。

 ワシントン-シカゴも、シカゴ-ロサンゼルスも、重連のディーゼル機関車が先頭で客車をけん引する。客車は「スーパーライナー」と呼ばれるアムトラック(全米鉄道旅客公社)自慢の2階建て。夜は上下2段の寝台となる個室がずらりと並び、車両の背丈は4.93メートルとかなり高い。

 
寝台列車「サウスウェスト・チーフ」号。コロラド州ラフンタで機関士が交代する

寝台列車「サウスウェスト・チーフ」号。コロラド州ラフンタで機関士が交代する

 シカゴまでトイレ・シャワー付き2人用個室(ベッドルーム)、シカゴからはトイレ・シャワーなしの2人用簡易個室(ルーメット)を利用して、料金は2人分の乗車券と寝台料金に朝昼晩の食事付きで1048ドル(1ドル=82円で約8万6000円。時期により変動する)だ。

 機関車は、各駅の到着と出発時にカンカンカンと鐘に似た音を鳴らす。なぜか懐かしさを覚える響きだ。映画「真昼の決闘」などに描かれた「西部開拓」時代の蒸気機関車は、火室やボイラーを擁する胴体の上に取り付けられた鐘を前後に揺らしながら走っていた。まさにその響きを思わせた。

 3日目、コロラド州ラフンタを過ぎたころから、いよいよ車窓風景のハイライトである。コロラド、ニューメキシコ州境では、山あいに連続するS字カーブを列車はゆっくりと蛇行。高原の緩やかな下りに差しかかれば、台車がドラマーの演奏のような軽快なリズムを刻む。やがて、メサと呼ばれる浸食作用で真っ平らなテーブル状の岩山が連続。「西部」らしい光景を堪能した。

寝台列車「サウスウェスト・チーフ」号の食堂車で、食事を楽しむ乗客たち=いずれも米国で

寝台列車「サウスウェスト・チーフ」号の食堂車で、食事を楽しむ乗客たち=いずれも米国で

 3度の食事も忘れられない。「相席でお願いします。新しいお友達ができるチャンスです」との車内放送を耳に、食堂車へ足を運ぶと、毎回、初めて出会う人々と楽しい会話が弾む。原子爆弾を製造したロスアラモス研究所の元所員夫妻と「原発」をめぐる意見交換もした。最後の食事では、愛犬を連れて乗り込んできたロサンゼルスで会社を経営するダグラスさんと、「今ではすし店も(米国の)あちこちにあるから行ってみたら。でも、本場の人の口に合うかどうか…」などと、食堂車の営業終了時間まで日本食談議。足かけ4日の旅は、あっという間に終わった。

 文・写真 嶋田昭浩

 (2011年5月6日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
シカゴと西海岸を結ぶ列車はサウスウェスト・チーフ号のほか、
ロッキー山脈越えのサンフランシスコ近郊行きカリフォルニア・ゼファー号、
ワシントン州シアトルとオレゴン州ポートランドへ向かうエンパイア・ビルダー号などがある。

◆問い合わせ
アムトラックの公式HP(英語)は「Amtrak」で検索。

おすすめ

古い蒸気機関車

古い蒸気機関車

★食堂車
「サウスウェスト・チーフ」号などの食堂車では、夕食は魚介、肉、特別料理などから選べる。酒類は別料金。展望ラウンジも連結されている。

★ボルティモア・オハイオ鉄道博物館
古い蒸気機関車を展示中。首都ワシントンのユニオン駅からアムトラックで約40分のボルティモア・ペン駅下車。HPは「Baltimore & Ohio Railroad Museum」で検索。

★レールランナー
ニューメキシコ州の通勤用鉄道で、2006年開業。機関車から客車にかけて、州の鳥オオミチバシリの巨大絵が白地に赤で描かれたデザインが人気。サウスウェスト・チーフ号が、同州アルバカーキ停車中に駅ホームから眺められる。

★ライトレール
ロサンゼルス中心部と港湾都市ロングビーチをライトレール・ブルーラインで結ぶ約55分の旅。明るい街並みが続く。

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