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南紀白浜

南紀白浜 和歌山県 人気独占 双子パンダ

母親「良浜」(右)の周りでじゃれ合う、双子のジャイアントパンダ

母親「良浜」(右)の周りでじゃれ合う、双子のジャイアントパンダ

 南紀白浜といえば、黒潮と温泉のイメージ。その上、最近は「パンダの街」としても売り出し中と聞いて行ってみた。その通り。心も体も癒やされた。

 JR白浜駅(和歌山県白浜町)から車で約10分。小高い丘の上に広がるアドベンチャーワールド内のパンダランドは、中国・成都市のジャイアントパンダ繁育研究基地の「日本支部」。1994年から本格的に飼育を始め、現在8頭。中国以外では世界最多という。

 昨年8月に生まれた双子のオス「海浜(かいひん)」とメス「陽浜(ようひん)」が、飼育員に連れられ屋外の広場によちよちと姿を現した。2頭は今、体長60センチ、体重20キロほど。芝生の上に寝転がって哺乳瓶をくわえる姿は、ぬいぐるみみたいだ。周囲で眺める大人から「かわいい」との声が上がり、シャッター音が続いた。やがて150センチ、100キロの母親「良浜(らうひん)」がのっしのっしと登場。たちまち2頭の子パンダは母親の周りでじゃれつき始め、離れなくなった。

 やんちゃな「海浜」は、母親の耳をかじったり抱きついたりするが、母親は「どこ吹く風」と、えさのモウソウ竹をモグモグ。1日に体重の5分の1以上、20~30キロも食べるという。

 母親と一緒にいるほほ笑ましい光景も生後1年くらい。3頭が一緒にいられるのも、そう長くはなさそうだ。

 パンダ飼育担当の安田典功さん(46)は「ジャイアントパンダは世界に1600頭しかいないので、大切に育てたい。特にジステンパーなどウイルスや細菌性の病気にはとても気を付けている。体調や天候で屋外に出さない日もある」と話す。

 2006年生まれの「愛浜(あいひん)」「明浜(めいひん)」、08年生まれの「梅浜(めいひん)」「永浜(えいひん)」と合わせ、双子は計3組。03年生まれの双子もいたが、後に繁殖研究のため成都に旅立った。「パンダは半分の確率で双子が生まれる」と安田さん。

 
かつて熊野水軍の船隠し場所とされる三段壁洞窟

かつて熊野水軍の船隠し場所とされる三段壁洞窟

 パンダにさよならして、海辺の三段壁へ。太平洋に面した高さ50~60メートルの大岩壁がそびえる。下には、平安の昔から熊野水軍が船の隠し場所にしていたと伝わる洞窟があり、中を散策できる。

 エレベーターで36メートル降りると、洞窟内では「ザバーッ」と波しぶきの音が響く。散策コース約200メートルの途中には日本一大きいとされる弁財天が鎮座。水の神様ともいわれ、1971(昭和46)年に建立された。

 その先には熊野水軍の木造の番所が再現されており、潮の音を聞きながら戦に備えた男たちの暮らしぶりがうかがえる。洞窟内には鉱山跡があり、染み出した鉱物の成分で壁面は赤茶色に染まっている。湿気と照明のオレンジ色と相まって幻想的なトンネル。ふと見た携帯電話は「圏外」。非日常の世界を実感する。

海に面した「御船足湯」で、なぎさの音を聞きながらのんびりする観光客=いずれも和歌山県白浜町で

海に面した「御船足湯」で、なぎさの音を聞きながらのんびりする観光客=いずれも和歌山県白浜町で

 地上に戻り、歩き疲れた体にぴったりなのが足湯。町営の施設など海岸付近にあり、無料で楽しめる。入り江の瀬戸湾に面した温泉「御船(みふね)足湯」のお湯は無色透明の掛け流し。塩化物が含まれ、鉄さびのにおいもする。木のベンチに座って足を浸すとポカポカと気持ちがいい。ボーッと遠くを眺めると、円月島(えんげつとう)に夕日が沈んでいった。

 写真・文 川北真三

 (2011年5月27日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
JR白浜駅へは、新大阪駅から特急「オーシャンアロー号」「くろしお号」で約2時間20分。
車は阪和自動車道・南紀田辺ICから国道42号。

◆問い合わせ
アドベンチャーワールド=ナビダイヤル(0570)064481、
三段壁洞窟=電0739(42)4495、
白浜観光協会=電0739(43)5511

おすすめ

クエ料理

クエ料理

★外湯めぐり
太平洋が間近に迫る露天風呂「崎の湯」をはじめ、白浜町内には温泉を利用した共同浴場が10カ所以上。
白良浜露天風呂「しらすな」は海水浴場に面しており、水着で入れる。

★クエ
なかなか捕れないため幻の魚といわれていたが、数年前から同町で養殖技術がすすみ通年食べられる名物に。
鍋料理のほか、うす造り、酒盗や梅しょうゆで下味をつけた焼き物なども人気。
刺し身は脂ののりが良く、ほどよい弾力。ポン酢と薬味にもみじおろしが一般的。
養殖物は天然物に比べて値段は3分の1ほどながら味はほとんど変わらない。

★平草原公園
高台にある公園でバラやアジサイ、ハマユウなど四季折々の花が楽しめる。
扇形の展望台からは白浜の温泉街や太平洋を一望。
園内には芝生広場や丸太、ロープで造られた遊具が並ぶアスレチックコースなどがあり、体を動かした遊びもできる。
園内の白浜民俗温泉資料館はスギとヒノキで建てられ、日本全国の温泉情報などを展示している。

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

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