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ワイントレイン

ワイントレイン 韓国 朝から至福の飲み放題

ワインを味わいながら、ソムリエ講習会やレクリエーションで楽しいひとときを過ごす乗客

ワインを味わいながら、ソムリエ講習会やレクリエーションで楽しいひとときを過ごす乗客

 列車に乗りながら韓国産ワインを堪能できる「ワイントレイン」。ソウルから韓国最大規模の民間ワイナリー「ワインコリア」のある永同(ヨンドン)まで2時間半。韓国鉄道公社が2006年から同社に運営を委託している7両編成の列車は「赤ワイン号」「白ワイン号」「人参(にんじん)号」「薬草号」と名付けられ、内外装をワイングラスや高麗ニンジンなどの写真でラッピングしたカラフルな車両だ。

 乗客は家族連れ、若いカップル、社員の慰安旅行などさまざま。夫同士が兄弟という教師4人組の一人、キム・ウォン・スクさんは「家のことから解放されてうれしい。女性だけで、しかも朝から飲めるのは最高」と浮き浮きだ。

 飲み放題ワインは、「ドライ」「シャトーマニ」「ヌーボー」「スイーツ」の4種類。「ドライ」は唯一の白ワインで、濃密な香りで口当たりがいい。甘めの味と香りを生かしたワインは、韓国の肉料理にぴったりだ。試飲に始まり、ワイン講座、演奏会、レクリエーションでワインの旅の雰囲気を高め、盛り上がればダンスを披露する乗客も。流れる車窓の景色を眺めながら、至福のひとときを過ごす。

 永同駅からバスで、1994年に開業したワイナリーへ。盆地の永同は寒暖の差が大きいためブドウ栽培に適しており、韓国最大の産地。政府や永同郡からの支援を受け、廃校になった小学校の校舎をワイナリーとして再生し、2001年にリニューアルオープンした。ワインの原料は、デラウエア、キャンベルアーリーの食用ブドウ。このワイナリーで栽培されるキャンベルアーリーの赤ワインは、フルーティーで飲みやすく人気がある。

 
ワインコリアで40度を超すワイン足湯に漬かる観光客=韓国・永同郡で

ワインコリアで40度を超すワイン足湯に漬かる観光客=韓国・永同郡で

 ワイン貯蔵庫は、車で10分ほど離れた洞窟の中にあった。長さ56メートルの地下倉庫は、日本の植民地時代に弾薬庫として掘られた。1年を通して13度に保たれた薄暗い洞窟内には、木だるや貯蔵棚が並び、瓶詰めされた7万本のワインを保管。最長14年、寝かせてあるという。

 驚いたのは、赤ワインを惜しげもなく注いだ足湯だ。もったいないと思いながら、ズボンの裾をめくり、そろりとワインに漬かる。熱い! 夏以外は42~45度、夏は13~15度に設定されている。ふくらはぎの張りとかかとの痛みに効き、血液の循環を促すという。ソウルから来たソー・チョンさんは「疲れが取れて気持ちいい」と友人たちと肩を組み、体を左右に揺らしていた。

 翌日、仏教文化を花開かせた百済最後の都・扶余(プヨ)へ。この地から仏教文化が日本に伝わったとされ、百済・日本連合軍が唐・新羅連合軍と激突した「白村江の戦い」の舞台でもある。660年に唐・新羅連合軍に攻められ百済が滅ぼされた日、宮廷の女性3000人が忠誠を示すため、断崖から身を投げたと伝えられている。

「百花亭」から望む白馬江。百済が滅亡した日、女性3000人がこの山頂から身を投げた=韓国・扶余郡で

「百花亭」から望む白馬江。百済が滅亡した日、女性3000人がこの山頂から身を投げた=韓国・扶余郡で

 その悲劇の舞台となった扶蘇山。山頂まで15分ほど歩くと、女性たちが白馬江に飛び降りた断崖「落花岩」が現れ、その上の展望台「百花亭」に立ってみた。岩と亭は、女性たちのチョゴリの舞う姿が花びらのようだったとの言い伝えから名付けられた。百花亭からの眺めは絶景で、眼下に白馬江が悠然と広がるものの、やはり胸が痛む。山頂から急な石段を降り、白馬江の船着き場から遊覧船で、風に吹かれながら川下りを楽しんだ。

 飲んで食べての3日間。最後に百済の壮絶な歴史にふれ、酔いがさめてきたようだ。ワインの甘さ、韓国料理の辛さ、そして歴史の切なさ。人生をかみしめる旅だった。

 文・写真 光田貴英

 (2011年6月3日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
ソウルへは中部国際、羽田、成田などから大韓航空、アシアナ航空、全日空、日本航空などの定期便が運航している。

◆ワイントレイン
火、土曜に1日1往復運行しており、6月中旬から日曜も追加。
料金約6500円には、列車の往復運賃、軽食、バス移動、ワインコリアでの昼食、足湯体験費用が含まれる。

◆ツアー「ワイントレインとソウル・扶余3日間」
9月2日午前9時35分、中部国際空港発、同4日午後8時50分、同空港着。
初日はソウル市内観光、2日目にワイントレイン乗車、最終日は扶余を巡る。
旅行代金は11万5000円。問い合わせは、中日旅行会=電052(231)0800。

おすすめ

ウナギ料理

ウナギ料理

★高麗ニンジンの産地
永同から車で40分ほど行くと、高麗ニンジンの産地として有名な錦山(クムサン)がある。
「錦山人参館」ではニンジンの栽培方法などの説明や展示物見学、韓薬袋づくりの体験ができる。黒蜜をつけて食べる高麗ニンジンの天ぷらは絶品。パリパリして柔らかい独特の食感。値段は1本110円。同館前にある市場でニンジンマッコリ(1杯70円)とのセットがおすすめ。

★ウナギ
韓国では照り焼きとして食べることが多い。生ニンニクをのせ、甘みのあるソースをつける。
歯応えがあり、焼き肉を巻く野菜のサンチュで包む食べ方もある。
韓国ではウナギ単品ではなく、韓定食の中の一品として出てくることが多い。
韓定食は数十種類の料理が出てくる韓国伝統の定食料理。値段は2500円前後。

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