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六甲山

六甲山 神戸市 復興の輝き1千万ドル

六甲山からの夜景。手前が神戸市街地、海に突き出しているのは左が六甲アイランド、右がポートアイランド。対岸右手は関西国際空港

六甲山からの夜景。手前が神戸市街地、海に突き出しているのは左が六甲アイランド、右がポートアイランド。対岸右手は関西国際空港

 100万ドルは古い。今は1000万ドルという。神戸・六甲山からの夜景。ビールを片手に夜景見物の季節だ。

 六甲山は標高931メートルだが、神戸市から芦屋市、西宮市、宝塚市にまたがる山々が、びょうぶのように数十キロも連なる。

 夜景は、六甲山ホテルの屋上にある展望デッキから眺めた。足元に神戸の市街地。その先に埋め立て地のポートアイランド、六甲アイランド、大阪湾の向こうに大阪市南部の明かりが輝いている。空の星よりも、地上の星の方がずっと多い。

 「関空から飛行機が飛び立った」。隣で見ていた人が言った。対岸に一列に並んだ明かりが関西国際空港。そこから左上方にゆっくりと、赤と白の航空灯が動いていく。日中はもやがかかっていて、どこに関空があるのか分からなかった。夜の方がよく見えることがあるのだ。

 気温が市街地よりも6度低い。写真を撮っていると、指が冷たくなる。カメラを部屋に置いて、ホテルのスカイラウンジへ。ところが、わずかな間に霧が出ている。「風が吹けば、一気に晴れることもあります」と慰められたが…。神戸に夜霧は似合わないとぼやきながら、結局、売店で買った六甲ビールを部屋で飲んだ。

 
阪神大震災を伝える神戸港震災メモリアルパーク

阪神大震災を伝える神戸港震災メモリアルパーク

 翌朝、六甲山を観光。名前にひかれて六甲高山植物園に入る。ミズバショウがあり、コマクサが咲いていた。北海道南部に相当する気候だという。

 六甲山を下って、神戸市の中心部、三宮へ。神戸では震災をどう次世代に伝えようとしているのかが気になって、三ノ宮駅近くにある神戸市総合インフォメーションセンターで尋ねた。

 「メリケン波止場に神戸港震災メモリアルパークがありますが、ほかには…。震災復興記念公園にも、当時のものはありません」

 1995年の阪神大震災直後、取材で神戸市内を何日も歩いた。家も、電柱も、何もかもが、斜めになっていて、真っすぐ立っているものがなかった。

 メモリアルパークのある海の方に向かう。途中のフラワーロードはかつて、両側のビルが倒壊したり、傾いたりしていた。それが今は名前のとおり、花が咲き乱れ、並木の緑が美しい。公園の中を歩いているようだ。右側に神戸市役所の高層ビルが現れた。手前の市役所の建物は6階がつぶれていたが、改築され、5階建てになっていた。

 メモリアルパークでは、岸壁が大きく海側に動いて傾いたのをそのまま保存していた。壊れた護岸には海草が付き、時の流れを感じさせる。家族連れが大きく傾いた街灯をバックに記念写真を撮っている。

震災復興記念公園から望む六甲山の山並みと神戸市街地=いずれも神戸市で

震災復興記念公園から望む六甲山の山並みと神戸市街地=いずれも神戸市で

 岸壁伝いに東へしばらく移動し、JR貨物神戸港駅の跡地を利用した震災復興記念公園にまわった。インフォメーションセンターで「震災の時に多くの市民が避難した場所」と教えてもらったが、広い芝生広場では、大勢の人が思い思いに楽しみ、歓声や笑い声が聞こえる。片隅の小さな山に登ってみると、六甲山の山並みが一望できた。

 六甲山自然保護センターの説明板の言葉を思い出す。

 「六甲山は数百年に一度、大地が一気にずれ上がる断層運動を繰り返して今のような高い山になった…。このことは、兵庫県南部地震で目の当たりにしました」。六甲山がある限り、震災が忘れられることはないだろう。

 文・写真 井上能行

 (2011年6月10日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
神戸市中心部の三宮から直接、六甲山に行くバスはない。
阪急六甲駅、JR六甲道駅から六甲ケーブル下駅まで市バス(15~30分)で行き、ケーブルカー利用が便利。
車なら表六甲ドライブウェイ、裏六甲ドライブウェイ(共に無料)を利用できる。

◆問い合わせ
ハローステーションKobe=電078(322)0220

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★六甲枝垂(しだ)れ
山の上の大きな枝垂れ桜にも見えるのが、三分一(さんぶいち)博志さんが設計した自然体感展望台。
山上からの眺望だけでなく、いろいろな景色の見方が楽しめる。
総ひのき造りで、中に入ると、さわやかな香りがする。
夕方からはLEDを使った光の芸術と夜景の共演も見られる。
午前10時~午後9時。中学生以上300円、4歳児から小学生までは200円。
問い合わせは、六甲ガーデンテラス=電078(894)2281。

★日本三大夜景
神戸・六甲山、函館・函館山と長崎・稲佐山をいう。
いずれも都市に隣接した山から見る夜景だが、標高は六甲山が函館山の334メートル、稲佐山の333メートルを上回る。

★有馬温泉
六甲山の北側山麓にあり、関西の奥座敷と呼ばれる。
豊臣秀吉ゆかりの湯山御殿を復元、保存した「神戸市立太閤の湯殿館」もある。
日帰り温泉や無料の足湯も楽しめる。

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