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松島

松島 宮城県 復興見守る美しき島々

伊達政宗が建てた五大堂(奥)。橋の板の隙間から海が見える=松島町で

伊達政宗が建てた五大堂(奥)。橋の板の隙間から海が見える=松島町で

 東日本大震災から間もなく4カ月。東北地方を代表する日本三景の一つ、宮城県の松島を訪れた。大震災の爪痕が残るものの観光業は再開しており、観光客もわずかながら戻りつつあるという。松島から塩釜まで島巡りの遊覧船に乗り、松尾芭蕉の「奥の細道」の世界に浸った。

 松島には2年前に訪れたことがある。板の間から下の海が見える透橋(すかしばし)を渡り、五大明王像を安置した五大堂の島へ。現在の堂は1604(慶長9)年、伊達政宗が建立。そこから見た島々に大きな変化はないように見えた。福浦島にかかる全長252メートルの福浦橋も健在で、マリンピア松島水族館も営業している。

 政宗と縁の深い瑞巌寺、藩主の納涼や接待用の御仮屋などに使われた観瀾亭(かんらんてい)へも足を運んだ。同寺では、政宗の正室陽徳院御霊屋(おたまや)(宝華殿)を1660(万治3)年の創建当初の姿に復元する作業が最近終わり、国宝の庫裡(くり)ともども特別公開されている。陽徳院御霊屋の豪華さに目を奪われ、当時の美意識や経済力に驚かされた。同寺には芭蕉も立ち寄り、「奥の細道」に印象を記している。

瑞巌寺で特別公開中の陽徳院御霊屋(同寺提供)=松島町で

瑞巌寺で特別公開中の陽徳院御霊屋(同寺提供)=松島町で

 松島観光のハイライト、遊覧船に乗る。仁王像が葉巻をくわえているように見える、人気の仁王島近くを通る丸文松島汽船の「芭蕉コース」。佐藤守郎・松島営業所長から「島々のほとんどは、崩れたり欠けたりしなかった」と説明を受け出発。女性乗務員が、地震発生の3月11日について乗客に語り始めた。

 船に乗っていて、これは大変だと観光客のみなさんには、瑞巌寺の上の方の高台に避難していただき全員無事でした。その後で(自分の)両親が無事なのか連絡がとれず、帰宅しようにも交通が混乱していて…。約4時間かけて帰ったけれど、途中であそこの地区は津波でやられたと聞かされました。地区で生き残った70歳以上の人は2人だけでした-。

 
遊覧船で人気の餌やり。ウミネコが観光客を楽しませてくれる=宮城県松島町沖で

遊覧船で人気の餌やり。ウミネコが観光客を楽しませてくれる=宮城県松島町沖で

 船は双子島、毘沙門島、小藻根島(こもねじま)などを見ながら、穏やかな湾内を進んで行く。乗客が船上から投げる餌を目当てに群がるウミネコ。乱舞しながら巧みにくちばしで餌をキャッチした。続いて見えてきたのは、漁師が暮らす桂島。被災して、仮設住宅が建設されると聞いた。

 そして仁王島へ。形は以前見たときと同じだったが、千年に一度といわれる天災を乗り切ったことを考えると、島々の景色がまた違って見え、畏敬の念を覚えた。さらに夫婦島、馬放島(まはなしじま)などを見て塩釜へ。約50分のクルーズを堪能した。

 佐藤所長によると、地震当日は海面から2、3メートル高い島を津波が乗り越えてきたが、島々が自然の防波堤になって勢いが弱まったという。それでも遊覧船乗り場近くは浸水が激しく、いまだに再開できない商店なども。同汽船も中小の遊覧船を失った。

 がれきで埋まった湾内で遊覧船が運航できるよう、がれきを取り除くのに時間がかかったが、春の大型連休にあわせて運航を再開。「例年の大型連休と比べ客数は4分の1程度。最近、ポツポツと観光客が戻り始めた。これからです」と佐藤所長は期待を込めた。

 塩釜では、陸奥国一宮で1200年余りの歴史を誇る塩釜神社に詣でた。記者も開運、商売繁盛に御利益があるといわれる「撫(な)で牛」を撫でながら、「がんばれ!東北」と願った。

 文・写真 草間俊介

 (2011年7月1日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
JR仙石線の松島海岸駅下車。仙台駅から38分。
見どころは松島海岸駅から徒歩圏にある。
仙石線は一部不通になっているが、仙台-松島海岸間は運行中。

◆問い合わせ
松島観光協会=電022(354)2618。
散策に便利な携帯電話などで利用できるモバイルサイトもあり、同観光協会 HP で。

おすすめ

撫で牛

撫で牛

★仙台七夕まつり
東北三大祭りの一つ。8月6~8日、仙台市一番町を中心に各所でイベントを開催。
震災復興と鎮魂の意味を持たせた七夕まつりを目指す。
詳細は 公式HP で。

★瑞巌寺
828(天長5)年開創といわれ、現在の大伽藍(がらん)は伊達政宗によって完成した。
拝観料大人700円など。
詳細は HP で。

★定期遊覧船
本文中の松島-塩釜は大人1400円、小学生700円。松島湾内の島巡りもある。
詳細はHP(「丸文松島汽船」で検索)で。
他に松島島巡り観光船企業組合も遊覧船を運航中。
詳細は HP で。

★塩釜神社
遊覧船の発着場「マリンゲート塩釜」から徒歩15分、JR仙石線本塩釜駅から徒歩8分。
伊達家の奉納品などを集めた博物館は入場料大人200円など。撫で牛は参道沿いにある。

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

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