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アブダビ

アブダビ アラブ首長国連邦 コーラン響く緑の街

夜空に幻想的な姿を浮かび上がらせる「シェイク・ザイド・モスク」=いずれもアブダビで

夜空に幻想的な姿を浮かび上がらせる「シェイク・ザイド・モスク」=いずれもアブダビで

 真夜中のアブダビ国際空港に降り立つ。外に出ると、とたんにカメラのレンズが水滴で真っ白に曇った。湿度が高い。夜でも30度を超える熱気がまとわり付き、異国の地に来たという実感が一気に高まった。

 明るくなるのを待って、見どころの1つ「シェイク・ザイド・モスク」を訪れた。「アラブ首長国連邦(UAE)建国の父」と呼ばれる初代大統領から名前をとった、世界有数規模のモスクだ。

 インドのタージ・マハルへの憧れからデザインを倣ったという荘厳なシルエットが、青い空にくっきりと浮かび上がっていた。容赦なく照り付ける日差しの下で見上げると、吸い込まれそうな圧倒感だ。

 入り口で係員に大きな黒い布を手渡された。イスラム教徒以外の観光客もモスクの中に入ることができるが、女性は頭から足首まですっぽりと黒いベール(アバヤ)で覆うことを求められる。異国情緒に身をくるみ、敷地に足を踏み入れると、聞こえてくるコーランの調べが空気に重みを加えた。
 

世界最大のじゅうたんと世界最大級のシャンデリアが美しい「シェイク・ザイド・モスク」のメーンルーム

世界最大のじゅうたんと世界最大級のシャンデリアが美しい「シェイク・ザイド・モスク」のメーンルーム

 「シェイク・ザイド氏が亡くなってから約7年間、22人が24時間交代制でコーランを読み続けている」と、女性ガイドのモーゼ・モハメッド・アルマンソーリーさん。録音でなく、昼夜絶え間なく信者が読み続けているというから驚きだ。「ただの砂漠地帯だったこの土地を、緑豊かで近代的なアブダビにしたわれわれのお父さんの死を悼んでいるのです」。彼女の言葉から、建国の父に対する国民の敬意がうかがえる。

 
海外からの観光客でにぎわう「フェラーリ・ワールド・アブダビ」

海外からの観光客でにぎわう「フェラーリ・ワールド・アブダビ」

 アブダビはUAEを構成する7つの首長国で最大の国。世界有数の石油産出国で、豊富なオイルマネーを背景に至る所で開発が進んでいる。昨年11月には、世界最大級のテーマパーク「フェラーリ・ワールド・アブダビ」がオープン。世界最速、時速240キロのジェットコースターが目玉で、国内外の観光客でにぎわう。七つ星ホテル「エミレーツ・パレス」のある中心街には高層ビルが立ち並び、きらびやかな夜景に酔いしれながら、ペルシャ湾上でディナークルージングを楽しむ客も多かった。

 中心街から一歩出ると、砂地の広野が一面に広がり、また違った顔が現れる。ヘリコプターの空中遊泳で上空から見たアブダビは、砂漠の中の巨大なオアシスのよう。シェイク・ザイド氏が「砂漠に緑の街を」と植林を奨励し、街を建設してきた歴史の面影がはっきり見て取れる。きらびやかな発展とイスラムの文化の匂い、そして大自然の風が、すべて背中合わせになっているような感覚を覚えた。

 街で目を引くのが、現地の人たちの民族衣装だ。女性の黒いアバヤは、袖ぐりや裾に精巧な刺しゅうが施されている。男性は白い衣装で頭にスカーフを巻き、イガールという黒い輪をのせている。

 夜、立ち寄ったレストランで、誕生日のお祝いをしているアブダビの若い女性の一団と一緒になった。2人がアバヤで全身を覆う一方、3人は鮮やかなピンクや白色のノースリーブとミニスカート姿。「家庭によって戒律の厳格さがまちまちで、柔軟性があることの表れ」。同席したエティハド航空の広報担当者が教えてくれた。

 新しさと伝統が溶け合う様子が心地よく、変化を続ける躍動感にあふれていた。

 文・写真 須藤恵里

 (2011年8月5日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
エティハド航空が2010年2月、アブダビ国際空港への直行便を就航。
現在、中部国際空港と成田空港から週5便ずつ運航している。
所要時間は約12~14時間。

◆問い合わせ 
エティハド航空 コールセンター=電03(3298)4719

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アラビアコーヒー

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★エミレーツ・パレス
七つ星ホテル。湾岸協力会議(GCC)でアラビア湾岸諸国元首の宿泊のため建てられた。大理石、1002個のクリスタルのシャンデリアなど、贅(ぜい)を尽くした造り。全長1.3キロのプライベートビーチがある。

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客人にアラビアコーヒーと干したナツメヤシを振る舞うのが、伝統的なもてなし。ホテルなどでも、入り口で小さなカップにコーヒーをついで迎え入れてくれる。飲み終えたカップを軽く揺するのが「満足しました」のサイン。

★サディヤット島
アラビア語で「幸せの島」。文化や芸術、リゾートを併せ持つ観光地を開発中。仏のルーブル美術館や米国のグッゲンハイム美術館の分館を有する文化地区は、2020年完成予定。沿岸部には五つ星ホテルやゴルフコース、安藤忠雄氏が手掛ける海洋博物館も建設予定。

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