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富良野市 北海道 「北の国から」エコ学ぶ

遠くに十勝岳を望み、どこまでも広がる雄大な風景

遠くに十勝岳を望み、どこまでも広がる雄大な風景

 厳しくも美しい雄大な北海道を舞台に、個性的なキャラクターで家族の絆を問いかけ、人気を博したテレビドラマ「北の国から」(倉本聡さん脚本)。名優田中邦衛さんが扮(ふん)する主人公黒板五郎、長男純(吉岡秀隆さん)、長女蛍(中嶋朋子さん)の親子3人が北の大地で繰り広げた感動的な姿は、放送開始から30年たった今も記憶に残る。このドラマのロケを機に、全国区となった富良野市を訪ねた。

 ドラマの放送が始まったのは、1981(昭和56)年10月。同市の観光客は、スキーのワールドカップ(W杯)大会のほか、82年3月まで放送されたドラマや、ドラマ終了後に10年単位で子役の成長を追ったスペシャル版(最終回=2002年「遺言」)などの効果で増え続け、10年には約200万人に。同市でタクシー運転手を長年する60代男性は「昔は道も悪かった。仕事も少なくて…。今は年中お客さんがいる」と話した。

 30年の節目となる今年、ふらの観光協会は記念事業を展開している。その第1がガイドとロケ地を巡る「黒板五郎の流儀バスツアー」。五郎の流儀とは、「ぜいたくをせず質素に生きる」こと。東日本大震災後の電力不足で、これまでの暮らしぶりを見直す機運が高まる中、究極のエコ生活だ。

ドラマ「北の国から」のロケで使われた「石の家」=いずれも北海道富良野市で

ドラマ「北の国から」のロケで使われた「石の家」=いずれも北海道富良野市で

 ドラマで純が「これが俺たちが住む家かよ」と言った「最初の家」、最終回で完成した「丸太小屋」、五郎が拾い集めた石で建てた「石の家」、廃棄物を集めて建てた「拾ってきた家・雪子の家」など、市郊外の緑豊かな麓郷(ろくごう)地区にある8軒を巡った。

 それぞれの家は、番組スタッフ、倉本さんが創設したシナリオライターと俳優の養成機関「富良野塾」(84~10年)の塾生たちで建てた。「石の家」では、見学中に石の隙間から1.5メートルほどのアオダイショウが出てきてびっくり。熊よけの鈴が自動で鳴る装置があちこちにあり、時折鳴っているのを聞くと、大自然の中にいるのが実感できた。麓郷は荒れ地で、開墾しても次から次へと石が出て、畑作りなどすべてが困難だったという。

 ツアーに夫婦で参加していた千葉県柏市の小熊啓介さん(39)は、「スペシャル版を見てはまった。名場面、名せりふが次々と浮かび、こんな場所で撮っていたんだと感激した」と興奮気味。セットに座り、五郎になりきってガイドに写真を撮ってもらっていた。

 
イラスト

 東京から帰郷した五郎ら一家3人が、最初に降り立ったJR根室線布部駅には、「北の国 此処(ここ)に始まる」と書かれた倉本さん直筆の看板のほか、富良野駅横には撮影に使われた大道具、小道具、衣装などを展示する資料館もある。

 観光協会スタッフでガイドも務める野村守一郎さん(45)は富良野塾出身で、「北の-」の元美術スタッフ。「(ドラマの)五郎さんは、子どもたちにまき割り、火の付け方、水くみを教え、家は廃材や、畑を耕して出てきた石ころで建てた。井戸も掘ったし、電気もひかず、夜になったら寝ればいいと言った」と振り返る。

 地元の集まりに出席した倉本さんは、「五郎は今年、喜寿を迎え、今も知恵と筋肉を使って仕事をしながら麓郷の石の家に住んでいます」。「蛍は東日本大震災の被災地で、看護師としてボランティアに励み、純も被災地でがれきの撤去作業をしています」と、現実と同時進行する五郎たちの生きざまを披歴したという。

 現代にも通じるエコ生活の実際を学ばせてくれた今回の旅。「自然から生きるものだけを頂戴しろ。そして謙虚に」。最終回の「遺言」で言った五郎さんのせりふが、心に響いた。

 文・写真 東条敏明

 (2011年8月12日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
中部、羽田、成田、小松各空港から新千歳空港や旭川空港への定期便がある。
新千歳からはJRに乗り換え特急で約3時間、旭川からは富良野までの直通バスで約1時間。
レンタカーが便利。

◆黒板五郎の流儀バスツアー
8月は毎日運行、10月10日まで(9、10月は金、土、日、祝日運行)。
大人、子どもとも9500円(未就学児は無料)。
バス代、施設入場料、体験費用、特製ランチ代含む。

◆問い合わせ
ふらの観光協会=電0167(22)5777、北海道名古屋事務所=電052(263)1360

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★ふらのワイン工場
富良野市ブドウ果樹研究室が栽培、製造、販売する。
地下のたる蔵が見学でき、国内外のワインコンクールで数々の賞を受ける。
「バレルふらの2008ビンテージ」は白ワインの中でも辛口で人気。
720ミリリットル入り1897円。
午前9時~午後4時半営業、年中無休。電0167(22)3242

★富良野チーズ工房
ふらのワインと牛乳で作ったチーズを製造、販売。
アイスクリーム工房もあり女性に人気。
バター、チーズの手づくり体験もできる。
午前9時~午後5時営業、年中無休。
ふらの農産公社=電0167(23)1156

★ガーデン街道
旭川から富良野経由帯広までの国道237号、38号約200キロは「上野ファーム」「十勝千年の森」など個性豊かな庭が点在。
富良野市には約2000平方メートルに365種の花が咲く「風のガーデン」がある。各庭とも有料。

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

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