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ゲゲゲのふるさと

ゲゲゲのふるさと 鳥取、島根県 笑い誘う妖怪ワールド

水木しげるロードで、鬼太郎のブロンズ像と記念撮影する観光客=鳥取県境港市で

水木しげるロードで、鬼太郎のブロンズ像と記念撮影する観光客=鳥取県境港市で

 JR東京駅で寝台特急「サンライズ出雲」の個室に身を横たえ、夜10時に出発した。東海道、山陽道を走って中国山地を横断し、鳥取県の米子へ。その間、ぐっすりと夢心地。爽やかな朝に日本海の澄んだ空気がうまい。乗車11時間余。米子駅に着くと、別のホームに“ゲゲゲのふるさと”境港行きの「ねずみ男列車」が待っていた。

 同駅から境港駅を結ぶ境線は16の駅すべてに「ざしきわらし」「傘化け」「牛鬼」など、妖怪の愛称がつけられている。弓ケ浜半島の砂浜と日本海を眺めるのどかな車窓。妖怪駅をたどれば、そこはもう“水木しげるワールド”だ。

 ねずみ男のほか、「鬼太郎」「目玉おやじ」「ねこ娘」の列車があり、車体、車内の背もたれや天井にはド派手なキャラクターが描かれ、夢の国を想像させる。単線のため、「ねずみ男」と「ねこ娘」が「砂かけばばあ駅」(大篠津町駅)でご対面!? 満員の車内は笑いに包まれ、カメラのシャッターが切られた。

 約45分の愉快な旅の終着は「鬼太郎駅」(境港駅)。着ぐるみの鬼太郎が迎えてくれた。

 やはり水木さんの「河童(かっぱ)の三平」などにちなんだ「河童の泉」。あるいは、「妖怪神社」に「しげる記念館」…。水木しげるロードを歩けば、鬼太郎や目玉おやじの像が笑いを誘う。

 境港は、日本有数の漁獲高を誇る港町だ。ベニズワイガニの水揚げ日本一と聞けばカニ料理。地元6店舗で考えたメニューは、真っ赤なカニ丸ごと一杯の「新かにめし」。ここでしか味わえない豪華絢爛(けんらん)な新カニめしは、日本海の味だった。

 
松江城で歓迎してくれた「まつえ若武者隊・舞姫隊」=松江市で

松江城で歓迎してくれた「まつえ若武者隊・舞姫隊」=松江市で

 日本で5番目の面積の湖、中海を眺めながら、島根県の松江市へと足を延ばした。松江城で開府400年記念イベントのため結成された「まつえ若武者隊・舞姫隊」による槍術(そうじゅつ)と歓迎の踊りという手厚いもてなしを受けた後、市内の名湯「玉造温泉」を訪ねた。

 温泉街の一角にある「玉作湯神社」は、縁結びの出雲大社と八重垣神社に並ぶ、この地方の三大パワースポットだ。境内では真ん丸な自然石が存在感を示す。その昔、この地を抱く湯山で発見されて以来、村人たちの願いを叶(かな)えてきたことから、「願い石」とつけられた。お守り用の小さな「叶い石」をつければパワーをもらえるという。

 同温泉は不況で客足が一時落ち込んだが、最近では若い旅人が増え活気が戻りつつあると聞いた。地元の米田幸子さん(62)は「玉作湯神社が有名になったのは、ここ数年。温泉街にも若いカップルが増えた。願い石のパワーのおかげ」と話す。年間約10万人が同神社を訪れたという。

パワースポットの「玉作湯神社」で存在感を示す「願い石」=松江市で

パワースポットの「玉作湯神社」で存在感を示す「願い石」=松江市で

 中海の南側を車で走ると、野田佳彦首相率いる“どじょう内閣”をきっかけに話題になった、どじょうすくいの民謡「安来(やすぎ)節」で知られる同県安来市。約5万坪の足立美術館の庭園は、8年連続で米国人が選ぶ日本の庭園ナンバーワンに選ばれている。

 田園地帯を少し行けば、集落の中に「ゲゲゲの女房」で知られる布枝さんの生家がある。昔懐かしい木造家屋に歴史を思った。笑って、パワーをもらい、癒やされる旅路になった。

 文・写真 佐藤史朗

 (2011年10月7日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
新幹線で岡山駅へ。同駅から特急「やくも号」で米子駅まで2時間8分。
境港へは米子駅でJR境線に乗り換え。

◆問い合わせ
鳥取県観光政策課=電0857(26)7239、
島根県観光振興課=電0852(22)5619

おすすめ

ねずみ男列車

ねずみ男列車

★妖怪列車
米子駅(ねずみ男駅)の0番ホームから「ねずみ男列車」など4種類の妖怪列車が境港駅へ出ている。
境港駅前から「水木しげるロード」が約800メートル続き、100体を超える妖怪のブロンズ像などが並ぶ。

★中海遊覧
米子市。船頭の粋なガイドを聞きながら旧加茂川から中海を遊覧。
大人1200円、小人600円。大山や島根半島なども望める。貸し切り船もあり。
同市観光案内所=電0859(22)6317

★どじょうすくい体験道場
安来市の「安来節屋」の主人がどじょうすくい踊りを伝授。
要予約、体験時間約40分。1人の場合、5000円。
詳細はHPで。

★ボランティアガイド
松江市の縁結びを願う人々が訪れる「八重垣神社」をNPO法人松江ツーリズム研究会の和服姿の「縁結び姫」が案内。
来年3月31日まで、1日5回。同研究会=電0852(23)5481

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

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