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台北

台北 台湾 街に生きるレトロ建築

清代から日本統治時代に建てられたレトロなビルが多数残る迪化街

清代から日本統治時代に建てられたレトロなビルが多数残る迪化街

 明治時代から戦前までのレトロな近代建築を巡る観光レジャー「ヘリテージング」を趣味とする者にとって、台北市は海外編として心躍る街だ。例えば街中心部にある台湾国鉄の台北駅周辺。徒歩15分圏内に、日本統治時代に建てられた国立台湾博物館や総統府など、“お宝”がごろごろしている。

 そんな黄金郷・台北にあって「特別な街」と、台湾人ガイドの呉壁妃(ウービーフェイ)さんが話す迪化(ディーホワ)街へ向かった。迪化街は18世紀末期ごろ、市内を南北に注ぐ淡水河の水運基地として発展。現在も19世紀中ごろから20世紀初頭にかけて建てられた商館が数多く残っている。

 台北駅から北西へタクシーで約10分、街の起点で観光スポットに案内された霞海城隍廟(シャーハイツェンホァンミャオ)に到着。「腹が減っては街歩きはできぬ」と参拝は早々に切り上げ、辺りを見渡すと、「臭豆腐」「卍素食」など食べ物と想像がつく看板を出した食堂や屋台が至る所に並んでいる。とりあえず入ったのは、「旗魚米粉」屋台。初めて食べる台湾料理もなじみあるカツオだしのためか、つるりと喉を通っていった。

 一気に食べ終えて顔を上げると、屋台後方に「永楽市場(ヨンルーシーチャン)」というビルが目に入った。楽しそうな名前に誘われ入ってみると、ビーズやボタンを扱う店や花柄が鮮やかな台湾花布の専門店がフロア一面を“占領”。ビル一帯は布地問屋街だという。

 裁縫には興味が湧かず、先ほどの廟(びょう)がある「迪化街一段」通りに戻った。実はここから北数100メートルが、ヘリテージング愛好家垂ぜんものの通りだった。

 
迪化街のビル1階の軒先部分はアーケード状につながっている=いずれも台北市内で

迪化街のビル1階の軒先部分はアーケード状につながっている=いずれも台北市内で

 まず廟の北向かいに立つ「薬行」と書かれたビル。派手さはないが、直線を基調としたシンプルな装いのモダニズム式だ。さらに北上して民生西路(ミンシェンシールー)との交差点を過ぎると、右手に赤れんが造りの美しいビルを発見。窓の下に草木模様の彫刻を施すなどバロック式だ。その向かいの建物は同じくバロック式だが、かいわいでもひときわ大きく、白亜の殿堂といったたたずまい。柔らかくカーブした出窓があり、壁面に神殿風の円柱が凜(りん)と立っている。

 これらビンテージもののビルは廃虚と化したものもあるが、大概は店舗や事務所として生き残っている。軒先をのぞくと、昭和期の駄菓子屋にあるような透明ケースに、黄色や緑色のドライフルーツが詰まっている。「食べてみて」。片言の日本語に振り返ると、店員がマンゴーを手渡してくれた。量り売りが基本で、「1斤220元」。1斤は約600グラム。しっかりとした肉厚に「お買い得」と思い、土産にした。

 先ほどの「薬行」に寄ってみると、文字通り漢方薬を扱う店のことだった。古びた木棚には薬を詰めた陶器のつぼやガラスの容器が陳列されている。消毒臭が漂う店内に、なぜかノスタルジックな雰囲気を感じた。

 街歩きも数時間、夕食を取ろうと近くの夜市を目指した。民生西路との交差点から東に徒歩数分、寧夏夜市(ニンシャーイエスー)の案内塔にたどり着いた。塔を右折すると、道の両脇に「牛肉麺」「排骨」など、台湾小皿料理の屋台が数百メートル奥まで並んでいる。進んでみると、まくしたてるような掛け声や、すれ違うこともできないほどの人出に圧倒された。

 あまりの熱気に道をそれると、「魯肉飯」という看板を掲げたビルの前に出た。暗闇に目を凝らすと、壁面に半円形の石柱や葉っぱらしきレリーフが浮かび上がってきた。思いがけず出会えた“ヘリテージング的”な食堂。迷うことなく扉を開けた。すてきなレトロ気分も味わえるだろうと、期待しながら。

 文・写真 内藤哲宏

 (2011年12月2日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
成田、関空、中部、小松など国内10空港から桃園国際空港(台北市郊外)へ直行便が出ている。
羽田空港からは松山空港(台北市)に就航。
中部から桃園まで約3時間。

◆問い合わせ
台湾観光協会東京事務所=電03(3501)3591。
同じく大阪事務所=電06(6316)7491。
日本語サイト「台湾観光局」で検索できる。

おすすめ

紅楼劇場

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★夜市
台湾小皿料理屋台や雑貨の露店などが軒を連ね、未明1時ごろまで開いている。
士林、華西街などの4大夜市が有名。
寧夏夜市は料理屋台がほとんどを占め、B級グルメの食べ歩きが楽しめる。
また、国立師範大学近くにある師大夜市は、東南アジア留学生が多いためか、エスニックフード屋台も出る。

★西門町
台北の原宿と呼ばれ、大勢の若者たちでにぎわう。
デパートやファッションビルが立ち並ぶ中、異彩を放つのがレトロな赤れんが造りの紅楼劇場。
1908年に日本人建築家が設計して建てられた。

★国立故宮博物院
ルーブル美術館などと並び世界4大博物館の1つと称される。
宋・元・明・清など中国歴代宮廷が持っていた至宝約65万点が収蔵されている。
院内にはレストラン・カフェもある。年中無休。
入場160台湾元。MRT淡水線士林駅からバスがある。

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

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