【本文】

  1. トップ
  2. 旅だより
  3. 久能山東照宮
久能山東照宮

久能山東照宮 静岡県 極彩色の美 自然と調和

神庫から見た、国宝の久能山東照宮の社殿

神庫から見た、国宝の久能山東照宮の社殿

 静岡市の「久能山東照宮」が、2001年から7年間をかけた「平成の大修理」で、社殿の漆をはがして塗り替えるなどして約400年前の輝きを取り戻した。10年12月には本殿と拝殿を石の間でつないだ「権現造り」と呼ばれる複合社殿が国宝に指定され、観光客でにぎわっていた。

 久能山は標高270メートルながら急峻(きゅうしゅん)で、車は入れない。「日本平ロープウェイ」か、ふもとの久能山下から「いちいちご苦労さん」と呼ばれる1159段の石段を上るかのいずれか。記者はロープウェイを選んだ。

 日本平は富士山を正面に見る絶景ポイントだ。標高300メートルほどの丘陵であり、日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征の際に賊(ぞく)を平定後、丘陵の頂上に登り四方を眺めたとの伝説から、その名がついた。記者が行った時は、残念ながら富士山は雲の中。ロープウェイは1065メートルの距離を55人乗りのゴンドラが約5分で結ぶ。眼下には切り立った絶壁「屏風(びょうぶ)谷」や、駿河湾から遠く伊豆半島、御前崎を望む一大パノラマが楽しめた。女性ガイドは「造営に使った巨石をどう運んだのでしょう」と問いかけ、旅の気分を盛り上げた。

 
久能山東照宮に残る家康の手形。思ったより大きい

久能山東照宮に残る家康の手形。思ったより大きい

 ロープウェイの久能山駅から少し歩き、東照宮唐門の前に立つと、1617(元和3)年の創建時にタイムスリップした。社殿は総漆塗りで、極彩色の建物は四季折々の自然と調和して美しく、パワフルな造形美はいつまで見ていても飽きない。

 東照宮への奉納品を納めた校倉(あぜくら)造りの「神庫」は、階段が急で危ないという理由で一般客は制限されている。しかし、今回は、敷地に特別に入らせてもらった。そこから見ると、本殿、石の間、拝殿の構造がよく分かる。

 改修で色鮮やかになった彫刻を見るのも楽しみ。106枚の彫刻で最も多いのは鳥類の75枚で、21枚の動物などが続く。バクも彫られているが、バクは夢とともに武器の製造につながる鉄も食べるとされ、戦国時代の終わりを象徴した平和のシンボルという。家康の手形のレプリカも展示してあり、自分の手と比べることができ、人気を集めていた。

 権宮司の姫岡恭彦さんは「国宝になり、平日の入場者は2倍。土日は3倍に増えた。ここで結婚式をやりたいという要望も増えています」と話す。

 久能山東照宮は、16(元和2)年に亡くなった家康の「遺体は駿河の久能山に葬るべき…」との遺言から、2代将軍秀忠が建立。遺体は本殿裏手約5メートルの神廟(しんびょう)に、衣冠装束姿で太刀を帯びて座った格好で安置された。遺言には「一周忌すぎて後、下野(栃木県)の日光山に小堂を建て(中略)神としてまつれば関八州(関東地方)の鎮守となろう」ともあり、36(寛永13)年に3代将軍家光が「日光東照宮」を建てた。「東照大権現」とは家康の神号だ。

プラモデル愛好者や親子連れでにぎわう静岡ホビースクエア=いずれも静岡市で

プラモデル愛好者や親子連れでにぎわう静岡ホビースクエア=いずれも静岡市で

 静岡といえば、ガンダムに代表されるプラモデルの聖地でもある。社殿前にケースに入った「ガンダム」などの模型が奉納展示してあるのが目についた。静岡の模型づくりのルーツは、久能山東照宮の建立に携わった各地の宮大工という。職人らは建立後も静岡にとどまり、神殿の木製ミニチュアなどを創作。その伝統が受け継がれ、JR静岡駅前に趣味の情報発信基地として「静岡ホビースクエア」が設置されている。

 文・写真 尾崎行雄

 (2012年1月13日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
日本平へはJR静岡駅からバスで約40分。
車なら東名高速道路の静岡IC、清水ICから。
久能山への日本平ロープウェイは大人往復1000円など。
石段下の久能山下へは静岡駅からバスがある。

◆問い合わせ
静岡観光コンベンション協会=電054(254)2212。
日本平ロープウェイの時刻表などは HP で。

おすすめ

桜エビの刺し身

桜エビの刺し身

★久能山東照宮の社殿参拝
一般の拝観料大人500円など。
社殿に上がっての参拝は5人以上の団体で、事前に社務所=電054(237)2438=へ申し込む。
神職による案内などを含め1人1500円。神前結婚式も可。
詳細は HP で。

★久能山東照宮博物館
歴代の将軍が使用した甲冑(かっちゅう)など約2000点を所蔵。
1611年にスペイン国王から家康に贈られた時計も残されている。
現存する世界最古のゼンマイ式西洋時計とされる。
電054(237)2437。

★桜エビ
駿河湾名物の桜エビ。
静岡市の由比漁港の周辺で漁期(4~6月中旬など)に刺し身が食べられるほか、かき揚げなども。
詳細は HP で。

★石垣いちご
久能山周辺は、斜面の石垣でイチゴ栽培が盛ん。
イチゴ農園のハウスが並ぶ。「あきひめ」が主流。
イチゴ狩りは1~5月上旬まで。

静岡の宿泊情報

一覧

    現在この情報はありません。

静岡のツアー情報

一覧

    現在この情報はありません。

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

旅コラム
国内
海外