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坡州市

坡州市 韓国 国境の街、おしゃれな風

芸術家たちの個性的な建物が並ぶ「ヘイリ芸術村」
芸術家たちの個性的な建物が並ぶ「ヘイリ芸術村」

 韓国・ソウルから北へ1時間。凍り付く小川を横目に車を走らせると、木々に囲まれた平地の中から浮き出るようにモノトーンを基調とした個性的な建物が現れる。北朝鮮との国境でもある臨津江(イムジンガン)の南岸にある坡州(パジュ)市。軍事境界線近くの緊張を感じることなく、ゆったりとした時間が流れる。日本でも人気の韓流ドラマや映画が撮影されることも多いロケ地などを巡った。

 おしゃれスポットとして近年、注目を集める同市の象徴「ヘイリ芸術村」は、街ごとが博物館のようなたたずまい。村内に足を踏み入れると、コンクリートの打ちっ放しやガラス張り、木目調の個性的な建物に出迎えられた。小高い丘の上から眺めると、点在する低層の224棟が、おもちゃのブロックを積み上げたジオラマのようだ。

 小説家や映画監督、歌手、俳優といった有名人に加え、絵画、陶芸、写真などさまざまな分野で活躍する文化人たちが、共同でこの土地を購入した。2003年から創作に励み、今では380人ほどが活動に取り組み、発想豊かな作品が訪れる人を楽しませる。

 
ウエディングドレス姿で撮影会をするカップル
ウエディングドレス姿で撮影会をするカップル

 事務局を兼ねるコミュニティーハウスでパンフレットを受け取り外に出ると、3月に結婚式を迎えるカップルが、ウエディングドレス姿で撮影会の真っ最中。新郎に抱きかかえられる新婦は、韓流ドラマから飛び出したヒロインそのもの。寒さも忘れさせる熱い演出に、思わず表情が緩んだ。

 日本でも放送された韓国版ドラマ「花より男子」のロケ地、ブックカフェ「アーティヌス」に足を運んだ。主人公が交際宣言をした階段を、韓流スター気取りで下りてみる。振り返ると、すぐ横のカウンターから、優しいまなざしを向ける女性がいた。総支配人の金在心(キムツェーシン)さん(48)だ。「ヘイリは娯楽施設ではなく、静かな文化空間なんです。多くの本に囲まれて、ゆったりと過ごしてくださいね」

 アーティヌスのオーナーは韓国の大手出版社で、ヘイリから車で15分ほどの「坡州出版都市」にある。出版都市の建設がヘイリや大型商業施設を誘い、坡州におしゃれな風が吹き込むきっかけになった。

 ソウルが飽和状態になりつつあった1988年、出版界が材料から物流までを扱う産業都市をつくろうと、1つになった。軍事境界線近くで開発が遅れていたが、首都から交通の便がいい坡州で99年に本格着工し、120棟が建設された。国内外で活躍する建築家30人を選んで設計を依頼。派手な看板も電線もないシンプルな街をつくり上げた。

 
「アーティヌス」の金在心総支配人。左奥の階段(ポスター後ろ)が「花より男子」のワンシーンで使われた=いずれも韓国・坡州市で
「アーティヌス」の金在心総支配人。左奥の階段(ポスター後ろ)が「花より男子」のワンシーンで使われた=いずれも韓国・坡州市で

 大会議室や宿泊施設を備えたアジア出版文化情報センターで、街並みを楽しみながらコーヒーを飲む。なぜ、北朝鮮が目と鼻の先にある坡州が急成長を遂げたのか? センターのイ・ホジンさん(33)に尋ねると、「南北融和、平和の象徴として文化発信したいという出版人の強い思いがあったから」。「体制が変わった北の情勢は気がかりだけど、南北が統一され鉄道が建設されたら、ソウルからロシアへ列車の旅をしてみたい」と付け加えた。イさんの祖国を思う気持ちがとてもまぶしく、「僕も一緒に列車に乗ってみたい」と共感の言葉が思わず口をついた。

 多くの人に夢と希望を与える映画のロケ地としても脚光を浴びる坡州市。国境最前線の街で、「韓国の今」を感じた。

  文・写真 宮崎雅仁

(2012年2月17日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
仁川国際空港へは中部国際空港や成田国際空港などから定期便が就航。
坡州市へは、ソウルの地下鉄・合井(ハプチョン)駅から広域バスで1時間程度。

◆問い合わせ
韓国観光公社名古屋支社=電052(223)3211、
同東京支社=電03(3597)1717

おすすめ

プロバンス

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★ショッピング
昨年3月に開業した坡州プレミアムアウトレットは、ヘイリ芸術村からバスで10分程度。
同12月にオープンしたばかりの、ロッテプレミアムアウトレット坡州店は
坡州出版都市に隣接している。

★プロバンス
ヘイリ芸術村近くで、欧風の街並みが広がる食のテーマパーク。
冬の夜には街が発光ダイオード(LED)の光で彩られ、デートコースとしても人気。
レストラン以外に、洋服や小物などの店舗が50軒ほど並ぶ。
映画「僕の彼女を紹介します」のロケ地としても有名。

★ツアー
建築家・丹羽哲矢氏が同行する「京畿道の現代アートと世界遺産・水原華城を巡る旅」。
2泊3日で水原華城のほか、坡州出版都市、ヘイリ芸術村、プレミアムアウトレット、
ソウルのサムスン美術館リウムなどを巡る。
問い合わせは、中日旅行会=電052(231)0799

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