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スパリゾートハワイアンズ

スパリゾートハワイアンズ  福島県いわき市 フラガールは負けない

 復活した「東北のハワイ」に行って来た。
 
 東京から車で2時間半。高速道路のインターチェンジを降りてすぐ、畑や住宅が点在する中に、大型レジャー施設「スパリゾートハワイアンズ」(福島県いわき市)はある。東日本大震災と、その1カ月後に起きた震度6弱の直下型地震で、メーンのプールに亀裂が入るなどの被害を受けた。改修と新たな補強工事をし、2月8日、復興への願いを込めた「きづなリゾート」として全館で営業を再開した。
 

ハワイアンズ名物はフラガールによるポリネシアンショー。平日でも多くの観客でにぎわっていた

ハワイアンズ名物はフラガールによるポリネシアンショー。平日でも多くの観客でにぎわっていた

 東京ドーム6つ分の敷地には、温泉を利用した室内外の大小さまざまなプールに露天風呂や大浴場、3つのホテルがある。館内はシャツ1枚でも暑くて汗ばむほど。宿泊者は部屋着のアロハシャツやムームーで歩き回り、“常夏の楽園”の雰囲気であふれていた。
 
 到着早々、フラガールの昼のショーへ。バンドの軽やかで陽気な歌や演奏に合わせて、華麗な踊りが次々に披露された。しなやかで優雅なフラダンスから、激しく腰を振る情熱的なタヒチアンダンスまで。美しく、時にセクシーに着飾ったフラガールたちが満面の笑みで踊り、観客は大きな拍手を送る。
 
 ステージと客席は、優しい空気に包まれていた。いわき市出身で東京都内に住む主婦滝沢真理乃さん(24)は、長女(3つ)、次女(1つ)らと鑑賞。「高校の同級生がフラガール。地元の自慢だし、頑張っているから応援したくて」。遠足で訪れた子どもたちの姿もあった。福島県二本松市の市立保育園の移川圭子園長は「地元は放射線量が高いので、思いっきり遊ばせたかった」。

 
フラダンス体験でフラガールの動きをまねる子どもら

フラダンス体験でフラガールの動きをまねる子どもら

 ハワイアンズの歴史は、日本のエネルギー政策の変遷と重なる。高度成長期に燃料は石炭から石油に替わり、炭鉱が主軸の会社は存続の危機に陥った。そこで、石炭を掘る際に湧き出て、排出に膨大な費用をかけていた温泉を逆に利用しようと考え、当時、日本人のあこがれだったハワイをテーマに観光業へ転換。1966(昭和41)年、前身の常磐ハワイアンセンターが開業した。炭鉱娘がフラダンスを習い、廃れる町を再生させる物語は、6年前の映画「フラガール」でおなじみだ。
 
 そして現在は、原発事故の影響と風評被害に苦しむ。だが現代のフラガールも、被災者であるのにもかかわらず、たくましく立ち上がっている。東北各地の被災地など全国を回って踊り続け、福島の復興のシンボルとして元気さをアピールしてきた。
 営業再開後のハワイアンズでは、毎日の昼と夜のショー以外に、観客がフラガールと一緒にフラダンスを体験できるコーナーを設けた。「少しでもふれあいの機会を増やし、絆をつなぎたい」と支配人の鷺隆一さん(51)。「従業員は緊張しつつも、生き生きしています。これからがおもてなしの本番です」

親潮と黒潮がぶつかり合う福島県沖の「潮目」をイメージした「アクアマリンふくしま」の展示=いずれも福島県いわき市で

親潮と黒潮がぶつかり合う福島県沖の「潮目」をイメージした「アクアマリンふくしま」の展示=いずれも福島県いわき市で

 周辺の観光施設も、活気を取り戻しつつある。ハワイアンズから車で20分ほどの、水族館「アクアマリンふくしま」。震災では電気設備が損傷し、ほとんどの魚などが死んだ。全国の水族館から支援を受けるなどして6万点まで集め、昨夏に営業再開。今月中には避難していたトドのつがいも帰ってくる。

 見て、食べて、泳いで、湯につかって。楽しんで遊ぶことも、復興につながると実感した。

 文 発知恵理子
 写真 木口慎子

 (2012年3月9日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
常磐自動車道いわき湯本インターチェンジから3分。
電車では、上野駅からJR常磐線特急「スーパーひたち」で湯本駅下車、無料送迎バスがある。
東京、新宿、横浜、さいたま新都心の各駅から、宿泊者専用の無料送迎バスも運行している。

◆問い合わせ
スパリゾートハワイアンズ代表=電0246(43)3191

おすすめ

ダンボールで囲った避難所

ダンボールで囲った避難所

★モノリス・タワー
2月8日の全館営業再開と同時にオープンした新ホテル。
開業を記念し、7月20日までは大人1人1泊の料金が1万3650円から
(朝夕食、レジャー施設入場券付き)。
スパリゾートハワイアンズ東京予約センター=電03(5623)1651

★いわき・ら・ら・ミュウ
昨年11月25日再開した観光物産センター。
全国各地の鮮魚やいわきの土産品、飲食の27店舗が入る。
3月31日まで、「東日本大震災いわきの『歩み』と『学び』展」を開催。
段ボールで囲った避難所での生活や被災者の救助や支援、将来に向けた取り組みなど、いわき市の震災被害とその後を紹介している。

★アクアマリンふくしま
目玉は、福島県沖の黒潮と親潮の出合いを三角形のトンネルで表現した「潮目の大水槽」。
ゴマフアザラシやサケ、エイ、イワシの群れなどが泳ぐ。
飼育が難しいサンマの展示もある。ガラス張りの展望室からは、小名浜港が一望できる。

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