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マカオ

マカオ 中国 “観光立国”へ勢い増す

中国の薫りが漂う市街地で、荘厳なたたずまいを見せる聖ポール天主堂跡のファサード

中国の薫りが漂う市街地で、荘厳なたたずまいを見せる聖ポール天主堂跡のファサード

 南シナ海に面した珠江(しゅこう)河口の中国・マカオ。中国本土の経済発展を背に人、カネ、物が集まる。それでも、大航海時代に旧宗主国のポルトガルが海のシルクロードの中継地として築いた歴史遺産と中国文化が息づく世界遺産の街には、まったりとした時間が流れていた。
 
 マカオ半島には、一番高い東望洋山(標高92メートル)をはじめ、ポルトガルの首都リスボンのように7つの丘が点在。坂道を上れば突き当たるといわれるほどに教会が多い。ポルトガル船員がマカオに上陸したのは約500年前。以来、極東でキリスト教を広める最前線基地を担った歴史をたどりながら、半島南西部の聖ヨセフ修道院を訪ねると、日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルの右腕の遺骨の一部が祭られていた。
 
 街中の至る所でガジュマルの巨木を見かけた。枝から垂れ下がったひげのような気根が浜風に揺れている。木陰ではベンチに腰掛け瞑想(めいそう)する古老、流れるような身のこなしで気功に集中する中年夫婦-。
 
 市街地中心部のセナド広場に立った。白とグレーで波打つように敷き詰められたモザイク模様の石畳は雨にぬれ、旅人たちが大海原を歩いているようだ。広場から迷路のような横道に入ると、おかゆ、麺類、フカヒレ、漢方茶などの店が軒を連ね、中国の顔に一変する。東洋と西洋を行ったり来たりしながら路地を抜けると、石段の先にマカオの象徴、聖ポール天主堂跡のファサード(建物正面の外壁)がそびえていた。2005年に登録された世界遺産の1つ。観光客が列をなし上っていく。
 
 外壁は、天主堂とともに三十数年をかけ1640年ごろ完成したが、その後の火災では唯一残った。「石の説教」とも呼ばれるレリーフなどには「多くの日本人がかかわっている」と、千葉県出身でマカオ暮らし27年のガイド轡田(くつわだ)洋子さんが教えてくれた。聖母マリア像の周囲の純潔を表す菊は、国外追放でマカオに逃れた日本人キリシタンの手で彫られたという。
 
 「世界遺産になっても、暮らしは変わらない」と、広場近くの商店街で娘夫婦と製麺店を営む周鳳英(チャウフォンイエン)さん(92)。「カジノもでき客が増えた時もあったが、波があるから自分のペースを守っている」と振り返った。
 

 
1年前の公開以来、人気を集めるパンダ

1年前の公開以来、人気を集めるパンダ

 1999年にポルトガルから中国に返還され、特別行政区として“観光立国”を打ち出したマカオ。2006年には中国本土の富裕層の増加で、カジノの売り上げが米国ラスベガスを超え、外資系ホテルの進出も始まった。昨年1年間の観光客は、返還時の4倍弱に当たる2800万人。9割以上が中国本土と香港、台湾からという。
 
 半島南端の埋め立て地の西湾湖。日が沈むと、ライトアップされた超高層ホテルやマカオタワーなどの夜景が湖面に映え、21世紀の新しい顔を浮き上がらせた。
 
 半島から橋を渡り、十数年前まで島だったタイパ島へ。さらに南の自然豊かで昨年1月下旬にパンダ館がオープンしたコロアン島との間を埋め立てたコタイ地区では、高級リゾート施設の開発が急ピッチだ。巨大なホテル群やカジノなどに加え、4月から1年の間に3つのリゾート型ホテルが相次いで開業を予定し、新たに増える客室は合わせて6000室。4年後には、半島とコタイ地区がモノレールで結ばれるというから、勢いはすさまじい。
 

マカオの勢いを映す夜景=いずれも中国・マカオで

マカオの勢いを映す夜景=いずれも中国・マカオで

 中国本土の珠海市境からコロアン島南端まで車で約30分。人口1800人余の広島県宮島とほぼ同じ広さに約55万人が暮らし、東西の文化が寄り添う街。世界遺産という目に見えない城壁に守られながら、再び巡ってきた大航海時代に挑む航海は始まったばかりだ。

 文・写真 奥田啓二

(2012年3月16日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
マカオには成田(木日曜)、関西(月水金日曜)両空港から直行便が就航し、
所要時間は約4時間半と約3時間半。
中部空港からは香港空港(所要時間約3時間半)を経由し、
空港発着の高速フェリーで約45分。

◆問い合わせ
マカオ観光局=電03(5275)2537。ホームページはこちら

おすすめ

エッグタルト

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★パンダ館
石排湾公園内にあり、ジャイアントパンダのオス「開開(かいかい)」とメス「心心(しんしん)」があいきょうを振りまく。
午前10~午後5時まで(午後1~同2時休憩)で、1時間ごとの入れ替え制。
月曜休館。大人10パタカ(約100円)。

★エッグタルト
コロアン島西部の聖フランシスコ・ザビエル教会近くにある、マカオ風エッグタルト発祥の店「ロード・ストウズ・ベーカリー」が有名。
ポルトガル本国のカスタードクリーム風味に対し、プリンのようなあっさり感が特徴で人気だ。
1個8パタカ(約80円)。無休。午前7~午後10時。

★民政総署図書館
セナド広場前の民政総署2階にあり、ポルトガルのマフラ国立宮殿内図書館を模した厳かな造り。
四方の壁一面にしつらえられた重厚な木製本棚には、17世紀から収集されたポルトガルの大航海時代などを知る約2万冊の文献が並ぶ。
民政総署は無休で午前9~午後9時、図書館は午後1~同7時までで、日祝日休み。

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