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アルプス・ハイキング

アルプス・ハイキング スイス 名峰を背に天空の散歩

雄大なアイガー(左)やメンヒ(中)などベルナーアルプスを満喫しながら「アイガーウオーク」を歩くハイカー

雄大なアイガー(左)やメンヒ(中)などベルナーアルプスを満喫しながら「アイガーウオーク」を歩くハイカー

 まるで一幅の名画。あまりの絶景に息をのんだのは、広大な草原を縫うように走る長い砂利道の下り坂。多少のアップダウンを楽しみながら振り返ると、4000メートル級の欧州アルプスの名峰が眼前に迫っていた。

 それもそのはず、当地「スイス・アルプス ユングフラウ-アレッチ」は、アルプスで唯一、世界自然遺産に登録され、景観は観光立国スイスでも折り紙付き。万年雪をいただく名峰は、三大北壁の1つとして有名なアイガーをはじめ、メンヒ、ユングフラウのベルナーアルプス三山だ。

 
アイガーの麓にあるグリンデルワルト。登山用品店やホテルが並ぶ

アイガーの麓にあるグリンデルワルト。登山用品店やホテルが並ぶ

 九州ほどの面積に、地球一周半に匹敵する総延長6万キロのハイキングコースを誇るスイス。三山が望める町インターラーケンをハイキングの拠点にしたのは、標高3、454メートルという欧州で最も高所にあるユングフラウヨッホを終着駅に持つ登山鉄道「ユングフラウ鉄道」にアクセスでき、初級から上級まで多彩なコースが選べたからだ。

 好天に誘われ、インターラーケン東駅から列車を乗り継ぎ、かつて“天空へ向かう夢の鉄道”と呼ばれた同鉄道に乗車。間もなくアイガー山中に造られたトンネル内のアイガーヴァント駅に着いた。ガイドから5分ほど観光停車すると聞き、急いで展望窓に向かった。眼下にグリンデルワルトの村が広がり、山男の気分が味わえるはずだが、標高2、865メートルの絶壁からの景色。しかも、頭上に多くの登山家の命を奪った北壁のオーバーハングを見るや、足がすくんでしまった。

 さらに驚いたのは、ユングフラウヨッホ駅併設の「トップ・オブ・ヨーロッパ」。入り口で日本の郵便ポストが出迎えてくれたのはご愛嬌(あいきょう)。売店、レストランのほか、ベルナーアルプス、アレッチ氷河など360度の大パノラマが堪能できる展望台があり、鍾乳洞を思わせる氷の洞窟「アイスパレス」にも通じている。そこでは、幼児連れやベビーカーを押した多くの家族連れや飼い犬同伴の観光客と擦れ違った。

ユングフラウヨッホに向かうユングフラウ鉄道始発のクライネ・シャイデック駅。左上はユングフラウ=いずれもスイスで

ユングフラウヨッホに向かうユングフラウ鉄道始発のクライネ・シャイデック駅。左上はユングフラウ=いずれもスイスで

 富士山頂と変わらない標高。世界遺産にある銀世界のテーマパークがこれほど身近なのは、19世紀末から16年を費やし、アイガーなどの高山にトンネルを掘り、同鉄道を通したからにほかならない。長い年月をかけ、観光開発と自然保護を調和させているスイスの山岳観光の神髄に触れた気がした。

 鉄道でアイガーグレッチャー駅まで戻り、いよいよ待望のハイキング。駅舎脇を抜けると、「アイガーウオーク」に通じていた。少し冷たい風が心地よく、少し進んでは、背後にそびえるアイガー、メンヒを確かめたくなり、何度も振り返りながら歩いた。淡い緑の草原とかなたの雪山のコントラストに感じ入っていると、同行したスイス政府観光局の押尾雅代さんが「7月になると辺り一面花が咲き、カラフルな花畑のようになります」と教えてくれた。

 ベルナーアルプスを借景に登山鉄道を写真に収めていると、山小屋があった。91年前、難ルートだったアイガー東山稜を初登頂した日本登山界の草分け槙有恒が寄贈したもので、保存のため移築された。さらに下ると、人工湖のファルボーデンゼーに出た。湖畔で鏡写しのアイガーをとらえようとカメラを構えたが、風にいたずらされ願いはかなわなかった。

 程なく目的地のクライネ・シャイデック駅に到着。1時間弱の行程は、トレッキングシューズをはき体調が万全なら、メタボが気になるハイキング初心者でも十分踏破できると証明できた。

 文・写真 浅野宮宏

(2012年5月18日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
チューリヒへは成田からスイス・インターナショナル・エアラインズの直行便が毎日1便出ている。
27日~9月23日の日曜日、6月21日~9月6日までの木曜日に各1便が増発される。
インターラーケンまでは鉄道で行ける。

◆問い合わせ
スイス政府観光局の日本語公式HPは「スイス政府観光局」で検索可。
サイト内からスイス・インターナショナル・エアラインズのHPにもいける。

おすすめ

★アルパイン・センセーション
ユングフラウ鉄道全線開通100周年を記念して、ユングフラウヨッホ駅に造られた新アトラクション。
スフィンクス展望台とアイスパレスを結ぶ約250メートルのトンネルが設けられ、パノラマシアターの3D映像でアルプスを体感できるほか、動く歩道があるギャラリーで、山岳観光の歴史、難工事だった同鉄道敷設の物語が紹介されている。

ブリエンツ湖クルーズ

ブリエンツ湖クルーズ

★ブリエンツ湖クルーズ
インターラーケン東駅裏の港から出港。
クラシカルな蒸気船「レッチベルク」など大型客船5隻で、ブリエンツやギースバッハなどに寄港しながら周遊する。

★ハーダークルム
標高1322メートルで眼下にトゥーン湖、ブリエンツ湖、インターラーケン、正面にベルナーアルプス三山を望める展望台。
作曲家メンデルスゾーンが感動したという美しい森、雄大な眺めが堪能できる。
インターラーケン東駅から徒歩約6分。ケーブルカーで約8分。

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