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湿原巡り

湿原巡り 北海道 濃密な自然にどっぷり

カヌーで川下りをしながら、別寒辺牛湿原の大自然を満喫する=北海道厚岸町で

カヌーで川下りをしながら、別寒辺牛湿原の大自然を満喫する=北海道厚岸町で

 総面積約2万2000ヘクタールという日本最大の釧路湿原を見下ろすコッタロ湿原展望台(北海道標茶(しべちゃ)町)。約200段の階段を上りきると、標高約80メートルの展望台から太古をほうふつとさせる風景が広がった。

 この景色は約6000年前、砂州が海水をせき止めて造られた。ヨシやスゲが広がり、シラカバなどの木も見える。約7800ヘクタールがラムサール条約に登録されており、国の特別天然記念物タンチョウの繁殖地も。蛇行するコッタロ川には幻の魚イトウが生息している。悠久の自然を体で感じてみようと、道東の湿原巡りに来たが、いきなり大パノラマを堪能できた。

 JR塘路(とうろ)駅から釧路駅まで「くしろ湿原ノロッコ号」に乗った。釧路川沿いに湿原の中央部を時速約30キロで走る。車窓いっぱいに湿原の風景が広がり、見どころポイントにさしかかると減速。ノロノロ走ってくれた。

 
コッタロ湿原展望台から眺める景色は、太古をほうふつさせる=標茶町で

コッタロ湿原展望台から眺める景色は、太古をほうふつさせる=標茶町で

翌日は釧路駅から浜中駅へ。町中心部を抜けると、霧多布(きりたっぷ)湿原(浜中町)だ。さまざまな花が咲き乱れる「花の湿原」。7月初旬は一面、白いワタスゲの綿毛で覆われる。周辺は個人所有の民有地。湿原を守ろうと、ナショナルトラスト運動の呼び掛けで買い上げが進んでいると聞いた。

 湿原の北側の丘にある霧多布湿原センターに立ち寄った。タンチョウなどが観察できる無料の双眼鏡が備えてある。湿原で見られる野鳥の木彫りや、地元で採れる15メートルの長昆布なども展示されている。「全部、触ってもいいです」と、企画事業部主任の阪野(ばんの)真人さん。

 隣の厚岸(あっけし)町へ。水鳥やタンチョウが生息する約8300ヘクタールの別寒辺牛(べかんべうし)湿原の中心を別寒辺牛川が流れ、約3キロのカヌー川下りに挑戦した。

 「肩の力を抜いて。川岸にぶつかっても何もしなくて大丈夫」と、インストラクターの曙清治さんから注意事項を聞く。2人1組で川に滑り込む。流れはほとんどない。オールを右、左と水中に入れ、慣れてくるとまっすぐ進むようになった。卵を温めているタンチョウの鳴き声が聞こえる。ヒナの成長時期に合わせ、5~8月にかけては川に入るカヌーの数を制限している。

 湿原の中を自然のまま流れる川。高木の上でオジロワシが羽を休める姿も見える。川の分岐ポイントで一休み。「このあたりは熊がいるので、注意を」と曙さん。熊が泳いで渡ることがあるという。

 JRの鉄橋をくぐり、チライカリベツ川との合流地点へ来ると景色が一変した。湖のように水面がきらめく。つがいで飛ぶタンチョウの下に湿原が広がる。向かい風が強い。

ノロッコ号の車窓から眺める釧路湿原=釧路市で

ノロッコ号の車窓から眺める釧路湿原=釧路市で

 終点の厚岸水鳥観察館が近づいてきた。河口には汽水湖の「厚岸湖」。潮の流れに押し返され、なかなか前に進まない。両腕に力を入れてオールをこぐ。出発から2時間近くたってようやくゴール。「川下りライセンス証」を手にした。

 「今日は大潮。川を上ったほうが楽だったかも。でも、海水の入れ替わりがあるので、カキがおいしいですよ」と、一緒に川下りをした「味覚ターミナル・コンキリエ」支配人の加藤裕之さん。その言葉通り、昼食は絶品のカキに舌鼓を打った。

 文・写真 小幡勇弘

(2012年7月20日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
釧路へは羽田空港から定期便で釧路空港へ。
中部国際空港からは新千歳空港で乗り継ぎ約2時間半。
札幌からはJR北海道の特急「スーパーおおぞら」が便利。

◆問い合わせ
釧路観光連盟のHPで。

おすすめ

炉ばた煉瓦(れんが)

炉ばた煉瓦(れんが)

★くしろ湿原ノロッコ号
釧路-塘路間を5両編成で1日1~2往復。
片道530円(指定席はプラス300円)、子ども半額。
詳細はHPで。

★ツインクルバス霧多布号
JR浜中駅・茶内駅から接続し、湿原や岬などを巡る観光周遊バス。
7月21日~8月31日。

★炉ばた煉瓦(れんが)
釧路駅から徒歩12分。
とれたての海の幸を炭火で焼いて味わえる。無休。
午後5~11時。電0154(32)3233

★道の駅厚岸グルメパーク「味覚ターミナル・コンキリエ」
JR厚岸駅から徒歩6分。
カキの形を模した館内には土産コーナー、レストラン、ミニ水族館も。
月曜休館(休日の場合は翌日休)。
午前9時(11~3月は10時)~午後9時。
電0153(52)4139

★別寒辺牛川カヌー体験
コンキリエへ3日前までに申し込む。
スタートもコンキリエから。
インストラクターが同行し、大人8000円~(人数によって料金が変わる)。

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

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