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陸奥巡り

陸奥巡り 青森県 冷気降り注ぐ異空間

ブナの原生林に包み込まれる「みろくの滝」。別名「スヌーピーの滝」とも呼ばれる=青森県田子町で
ブナの原生林に包み込まれる「みろくの滝」。別名「スヌーピーの滝」とも呼ばれる=青森県田子町で

 夏の旅は涼しい北に限る。と、いうことで、青森県内のパワースポットやミステリーゾーンを巡るため、東北新幹線で陸奥(みちのく)の港町、八戸市(青森県)へ向かった。

 八戸港近くの「みなと食堂」に寄り、漁師めし「平目漬け丼」で腹ごしらえだ。港の南端。陸続きの蕪島(かぶしま)へ。戦時中、旧日本軍が戦略上、海を埋め立てたとか。周囲800メートルほどの島は、ウミネコの繁殖地として知られるほか、最近、島の頂にある蕪嶋神社が注目の的という。「蕪」が「株」に通じ、海外からも金運パワーを求め参拝客が訪れるそうだ。

 朱塗りの鳥居をくぐり、70余の階段を上って海抜19メートルの頂へ。遮るものは何もない。水平線のかなたが丸く見える太平洋や港内が一望できる。潮風が涼しい。繁殖期(2~8月)には毎年、3万~4万羽が飛来するという渡り鳥のウミネコが頭上すれすれに乱舞していった。

 秋田、岩手県境の田子(たっこ)町。ブナの原生林を進むと、突然、ずぶぬれの大きな犬のような滝が現れた。室町時代初期、この地を訪れた僧侶が弥勒菩薩(みろくぼさつ)の出現を祈念すると大滝がかかり、下流の田を潤して凶作に苦しむ人々を救った、との言い伝えが残る「みろくの滝」だ。

 高さ約30メートル、幅約20メートル。予想外の大きさに圧倒される。白糸にも似た幾筋もの流れが、目の前に立ちふさがる巨岩のつるんとした肌を滑り落ちる。別名「そうめんの滝」だが、よーく目を凝らすと、左向きに座る犬の人気キャラクターにも見て取れ「スヌーピーの滝」とも呼ばれ親しまれている。

 滝つぼの周囲には木々が覆いかぶさり、透き通るほどの緑がみずみずしい。滝つぼの縁にたたずんでいると頭上から冷気が降り注ぎ、全身の汗がすっと引いていった。

 
参加者にトチノキやブナなどの森を案内する奥入瀬コンシェルジュの小笠原るり子さん(左から2人目)=十和田市で
参加者にトチノキやブナなどの森を案内する奥入瀬コンシェルジュの小笠原るり子さん(左から2人目)=十和田市で

 翌日は十和田エリアへ。奥入瀬(おいらせ)渓流沿いの宿を午前8時ごろ出て、辺りの森を散策。人影がまったくない静寂さと清流の瀬音を独り占めにできた。案内してくれた奥入瀬コンシェルジュの小笠原るり子さん(48)は「ここは季節ごとの色がはっきりしている。若葉の春や紅葉の秋、人の手ではつくれないその色と水と空気、あるがままの自然の姿が一番の魅力。倒木があっても、そのまま、自然のままにしておきます」と教えてくれた。

 十和田湖畔の杉木立を歩いていると、北東北三大霊場の一つ、「十和田神社」が現れた。神社裏手の湖岸にあるのが湖随一の霊地「占い場」だ。古くから、物事の吉凶を占ったり世の安泰を願ったりしたという神聖な場所。願い事を書いた和紙で「こより」を作り、湖に流して沈めばかない、浮いたままなら成就しないといわれる。

 占い場へは高さ40メートル以上の絶壁を鉄ばしごで下りなければならない。危険なため、観光客は遊覧船で湖上から向かう。

 神社近くの休屋から十和田湖周遊の双胴船に乗り、占い場の向かいへ。神社のおはらいを受けた和紙に願い事を書き「神様よろしく」と念じつつ湖へ「えいっ」。すると、紙は瑠璃と翡翠(ひすい)を混ぜ合わせて溶かしたような神秘的な深い色をたたえた湖水へ、すーっと消えていった。なんかいいなー。癒やされるなー。

十和田神社「占い場」(左上)前の船上から、願い事を書いたこよりを落とす観光客=十和田市で
十和田神社「占い場」(左上)前の船上から、願い事を書いたこよりを落とす観光客=十和田市で

 文・写真 野末幹雄

(2012年8月10日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
東京駅からJR八戸駅まで東北新幹線で約3時間。
十和田湖遊覧船のターミナルへは同駅からバスで約2時間15分、
「十和田湖(休屋)」バス停下車。

◆問い合わせ
八戸市観光課=電0178(46)4040。
十和田湖遊覧船運航事務所=電0176(75)2909

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★美知の国あおもり“癒(いや)し”スポットプロモーション
パワースポットや自然の「美」と占いに求める癒やしの「知」をテーマにした、
青森県の観光キャンペーン。
蕪嶋神社、十和田神社占い場、恐山(むつ市)、大石神ピラミッド(新郷村)などパワースポット、ミステリーゾーン58カ所を紹介。詳細はHPで。

★十和田神社占い場船上祈願
十和田湖遊覧船が周遊コースの中に設定。1日2便(臨時便もあり)。
所要約1時間、中学生以上1400円、小学生700円など。祈願は無料。
詳細はHPで。

★みろくの滝
青い森鉄道三戸駅から車で約50分。見学自由。
田子町経済課商工観光グループ=電0179(20)7114

★星野リゾート奥入瀬渓流ホテル
外湯の滝見露天風呂や地元食材をふんだんに使った料理が自慢。
渓流沿いのテラスで朝食を楽しむこともできる。電0176(74)2121

★みなと食堂
新鮮魚介の漁師料理。午前6時~午後3時。日曜定休。電0178(35)2295

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

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