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「ブラ」の国 フィジー共和国 あふれる笑顔、思いやり

「ブラ」と言いながら、笑顔で集まってきた子どもたち=フィジー・サウナカ村で
「ブラ」と言いながら、笑顔で集まってきた子どもたち=フィジー・サウナカ村で

 「ブラ」(こんにちは)。330もの島からなる南国のリゾート地、フィジー。思いやりともてなしのホスピタリティー精神にあふれた楽園には、人懐っこい笑顔がはじけていた。

 フィジー第3の都市、ナンディ(ビチレブ島)の中心街にある市場は、活気にあふれていた。地元の人も観光客も擦れ違えば「ブラ」。とにかく陽気にあいさつを交わす。

 ぶらぶら歩いていると、長い茎が付いた巨大な里芋のような野菜が目に飛び込んできた。フィジー系の人たちが主食にするタロイモだ。隣には、カレーに使う唐辛子や色とりどりのスパイス類が山積み。国民の約6割がフィジー系、約4割がインド系。市民の台所は、お国柄を最も表す鏡でもある。客たちは、野菜や果物、魚など次々と買い込んでいく。それも大量に。「この国にはお金のことを気にするより、たくさん料理を作ってお裾分けする習慣があるんです」とガイドの小林早苗さん(38)。遠く離れた国で人を思いやる心に触れ、懐かしさとうれしさが込み上げてきた。

 市場の一角で、乾燥した植物の根が山盛りになっているのが目にとまった。フィジー語で「ヤンゴーナ」、英語では「カバ」。コショウ科の植物らしい。歓迎の儀式などで、ぬらした根から搾り出した茶色の樹液を飲むという。作りたての1杯を差し出された。1フィジードル(約50円)。予習してきた作法を思い出しながら恐る恐る挑戦してみた。

 手を2回たたき「ブラ」と言ってから右手でカバが注がれた器を受け取り、相手が1回手をたたくのを待ってから飲み干した。鎮静作用があるのか、口の中がわずかにしびれる感覚。これで少し、フィジーの人たちの仲間入りができたような気がした。

 ナンディ近くのサウナカ村に向かった。車から降りると、子どもたちが「ブラ」と言いながら集まってきた。みんな、きらきらとした笑顔。カメラを向けると得意げにポーズを決め、一緒についてくる。はだしで砂利道もお構いなしだ。

 村の生活は質素だが、親戚と一緒に10人ほどで一軒家に暮らす大所帯が多い。外では家畜が走り回り、自給自足に近い生活。ガスはあるが、まきを使う家庭も少なくないと聞き、不便なことはないのかと思う。牧師の夫と子どもの3人家族という主婦のメレさん(40)は「ここにはすべてそろっていて満足。必要最小限のモノがあれば生活に困らない」と笑い飛ばした。この国では、エコな生活が当たり前なのだ。

 ビチレブ島と川を隔てたデナラウ島の港から船でマナ島へ渡った。ホテルでは、伝統的な歌と踊りのメケ・ショーで観光客たちを楽しませていた。男性は、タパクロスで作った腰みの姿で力強い演奏。女性は、花や葉っぱの飾りを着け来客をもてなす歌を優しく歌う。やりを手に戦いの前に士気を鼓舞する勇壮なダンスと、寄せては返すさざ波の音を連想させる素朴なハーモニー。先祖から受け継いだ誇り高き勇気と優しさが肌に伝わってくる。

 「世界中でこれだけ人柄が魅力的な所はほかにありません。リピーターも多いんです」。15年前、オーストラリアから移り住んだというホテルのダイビングインストラクター脚ノ好美さん(52)も、島の神秘的な魅力に取りつかれた1人だ。マナ島を離れる時、桟橋まで見送りに来てくれたホテルのスタッフたちが「行ってらっしゃい」と、再会の願いを込め歌ってくれた別れの歌。優しいメロディーの余韻を波間に引きずりながら、「必ず戻ってこよう」と誓った。

図

 文・写真 河内誠

(2012年8月24日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
日本からフィジーへの直航便はなく、中部、羽田、成田空港などから
韓国・仁川空港経由でナンディ空港までの大韓航空便が便利。
マナ島へはビチレブ島のデナラウ港から定期船で約1時間。

◆問い合わせ
フィジー政府観光局=Eメール info@bulafiji-jp.com

おすすめ

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★ナンディ市場
ナンディ空港から車で15分。毎朝6時から夕方まで。
野菜、果物、魚、香辛料などがそろい、スーパーより割安。

★フィジーウオーター&ピュア・フィジー
ペットボトル入りのミネラルウオーターには、肌を美しくするケイ素が多く含まれているという。
軟らかくて飲みやすく、ハリウッドセレブの間でも人気。
1本(500ミリリットル入り1.85フィジードルドル(93円)。
高級スパでも使用されているピュア・フィジーは、フィジーで最も高品質なアメニティーブランド。
ココナツオイルをベースにした天然成分100%のせっけんやシャンプー、ボディローションなど
種類や香りも豊富。

★ホテル
マナ島の「マナ アイランド リゾート&スパ フィジー」には、日本人スタッフが常駐しているので言葉の心配はなく、メケ・ショーは必見。
「ラディソン ブルー リゾート フィジー デナラウ アイランド」はナンディの街に近く便利。
ビチレブ島の南西に浮かぶ小島・ヤヌザ島の「シャングリ・ラ フィジアン リゾート&スパ フィジー」は、島丸ごとホテルの敷地で、ファイアーショーが楽しめる。

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