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イスタンブール

イスタンブール トルコ 食と文化と歴史の宝庫

トプカプ宮殿からはボスポラス海峡を隔てて広がるアジア側(右後方)が見渡せる
トプカプ宮殿からはボスポラス海峡を隔てて広がるアジア側(右後方)が見渡せる

 トルコ最大の都市イスタンブールは、歩いて楽しい。街の真ん中をボスポラス海峡が貫き、アジア側とヨーロッパ側を隔てる。坂道の路地がくねくねと縦横に延び、息を切らして歩いていると、石造りの建物の隙間から唐突に海が現れる。

 とりわけ海峡沿いには、歴史的建造物を改装したホテルやレストランなどが並ぶ。それぞれが海の眺めや工夫を凝らした食事を売りにする。その1つ、人気レストランの「フェリエ・ロカンタ」からは、アジアとヨーロッパをつなぐボスポラス大橋が間近に見える。

 岸壁沿いのテラス席は、海風が心地いい。サマータイムの太陽はなかなか沈まず、夕日に輝く海を眺めているうちに、テーブルの上の皿が「メゼ」と呼ばれる前菜でいっぱいになった。種類も量も盛りだくさん。メゼの定番はブドウの葉で肉や米を包んだサルマや、野菜とハーブを細かく刻んだサラダなどだ。「トルコ人も食べきれないから、残しても気にしなくていい」と、案内してくれたムラット・ハンさん。

 
旧市街のエジプシャンバザールでスパイスを売る女性
旧市街のエジプシャンバザールでスパイスを売る女性

 「イマーム(イスラム教の指導者)も目を回す」という、ちょっと変わった名前が付いたナスの煮込み料理も素晴らしかった。ヨーグルトやチーズを調味料として巧みに使う。強烈な辛さはなく、洗練されて上品な味だ。メーンのラムはハーブが肉の味を引き出しており、ハンさんの通訳で「生涯最高のラム」とウエーターに伝えると、当然という表情でうなずかれた。トルコ料理が中華料理、フランス料理と並び、世界3大料理に数えられていることに納得した。

 そのころようやく日が沈み、ライトアップされたボスポラス大橋の下をフェリーや大型船の光が音もなく行き交い、さらにひと味を加えてくれた。

 トルコ料理は、オスマン帝国に含まれたバルカン半島や地中海、中東など各地の要素が混ざりあっている。1922年の帝国崩壊後、宮廷料理人が国中に散らばり、その味を広めたという。旧市街地にある庶民の市場エジプシャンバザールをのぞくと、食材や香辛料の豊富さに驚かされた。

 帝国の中心だったトプカプ宮殿へ行ってみた。ヨーロッパ側の岬の突端にあり、眺めのいい場所にレストランもある。海峡の向こうにアジア側がよく見える。15世紀半ば、ここに宮殿を造り始めたメフメト2世も、この眺望に魅入られたのだろう。

 宮殿は、帝国の繁栄を今に伝える。86カラットのダイヤや世界最大級のエメラルドなどのおびただしい財宝、世界中から集められた調度品や美術品。豪華さにただただ圧倒された。

 最大で1000人の女性が暮らしたというハーレムや、4000~5000人分の料理を作っていたという調理場は、スルタン(君主)の暮らしぶりを伝えている。

キリスト教会からモスクに生まれ変わったアヤソフィア博物館の内部=いずれもトルコ・イスタンブールで
キリスト教会からモスクに生まれ変わったアヤソフィア博物館の内部=いずれもトルコ・イスタンブールで

 宮殿の近くには、美しいタイルで有名な通称ブルーモスクや、アヤソフィア博物館もある。アヤソフィアは、東ローマ帝国時代にキリスト教の教会として築かれた後、オスマン帝国の治世になってイスラム教のモスクに生まれ変わった。現在は博物館だ。聖母マリアのモザイク画のそばに、イスラム教の唯一神アラーをたたえる言葉が掲げられ、この街の歴史を凝縮しているようだ。

 食も含めた多くの文化と人が交差してきたイスタンブール。トルコへの海外旅行客は、日本の3倍という。

 文・写真 中沢穣

(2012年9月14日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
イスタンブールには、トルコ航空が成田、関空からそれぞれ週7便の直行便を出している。

◆問い合わせ
トルコ航空=電03(3435)0421。
トルコ政府観光局の日本語HPが充実している。

おすすめ

カッパドキア
カッパドキア

★トプカプ宮殿
見学時間は午前9時~午後5時(入場4時まで)。入場料25トルコリラ(1トルコリラ=約45円)。ハーレムは別料金。日本語の音声ガイドもある。

★カッパドキア
トルコ中部のカッパドキアでは、ニョキニョキと不思議な形の奇岩群が広がる。キリスト教徒が迫害から逃れるために造ったといわれる巨大地下都市は必見だ。
洞窟ホテルでの宿泊も楽しい。

★シリンジェ村
イズミル近郊の小さな村。石畳と赤い屋根の古い町並みが有名。伝統的な朝食を出すレストランもあり、外国人だけでなくトルコ人にも人気。

★トンネル
ボスポラス海峡で分かれるアジアとヨーロッパをつなぐ海底鉄道トンネルの工事が、大成建設を中心に進められている。遺跡調査で完成が予定より遅れ、2013年10月の予定。ボスポラス海峡をつなぐ交通は現在、二つの橋とフェリーが頼りで、鉄道トンネルによって渋滞緩和が期待される。イランやトルコを通って鉄路でユーラシア大陸を横断する夢が膨らむ。

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