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佐伯、臼杵、津久見市

佐伯、臼杵、津久見市 大分県 江戸の昔へ時間旅行

「歴史と文学の道」に残る佐伯城跡の三の丸櫓門=大分県佐伯市で

「歴史と文学の道」に残る佐伯城跡の三の丸櫓門=大分県佐伯市で

 城下町の面影を残す大分県佐伯(さいき)市。城跡から藩主の菩提寺(ぼだいじ)である養賢寺までの約700メートルは、江戸の昔にタイムスリップしたようだ。緩やかにカーブする石畳の道が続き、漆喰(しっくい)の白壁塀のある4軒の上級武士の屋敷が並ぶ。圧巻は佐伯城跡の三の丸櫓(やぐら)門。1637(寛永14)年に創建され、江戸時代の城郭建築の様式を色濃く残す。緑の多い静寂の中を歩いていると、武士たちが歩いていても、おかしくない雰囲気が漂う。

 城の本丸跡は標高140メートルほどの山にあり、豊後水道が一望できる。明治の文豪、国木田独歩は若き日を過ごした佐伯市を舞台にした小説を書いている。同市は歴史的環境保存条例を制定し、この通りを「歴史と文学の道」として整備。通りには「国木田独歩館」が立つ。

 案内してくれた地元旅館主の染矢邦英さんは「(通りの城側は)明治時代以降も新たな建造物はなく、ほとんどは往時のままの姿を残しています」と説明した。

 隣の臼杵(うすき)市も街歩きが楽しい。やはり臼杵城の城下町だった。夕暮れに、「二王座歴史の道」と名付けられた丘陵地の曲がりくねった狭い石畳の坂道を歩く。通りに立ち並ぶ白壁の商家や石塀、武家屋敷、寺院などが、夕焼けに映えていた。大林宣彦監督の映画「なごり雪」のロケ地に使われたことでも知られる。国の登録有形文化財に指定されている老舗「カニ醤油(しょうゆ)」でみそソフトクリームを食べ、国宝の臼杵石仏にも足を延ばした。

 大分県南部の佐伯、臼杵、津久見の3市一帯はリアス式海岸で島も多い。海の幸にも恵まれ、泊まった臼杵市では、地元名物のフグ料理に舌鼓を打った。

義経伝説の島も登場する四浦半島のクルーズ=津久見市で

義経伝説の島も登場する四浦半島のクルーズ=津久見市で

 翌日は、津久見市の四浦(ようら)半島へ。イルカやアザラシで有名な「うみたま体験パーク『つくみイルカ島』」の近くから、観光船「でるふぃーの」(イタリア語でイルカ)に乗り込む。快晴の下、船は左手に豊後水道に浮かぶ地無垢(じむく)島、沖無垢島を、右手に半島を望みながら進む。約20分で半島先端沖の保戸島に着いた。

 この島は全国有数のマグロ遠洋漁業基地。漁港に張り付く街並みは、少ない平地に3階建てほどのコンクリート造りの住宅がひしめき合う。

 帰路、小島が近づいてくると、乗務員が「貴船島といって、源義経が育った京都・鞍馬山麓の貴船が名の由来です」と教えてくれた。四浦半島には、奥州で没したはずの源義経がこの半島で生き延び、生涯を終えたという義経伝説が伝わっている。

 船を下りて半島の展望台に立つと、リアス式海岸とともに、遠く豊後水道から四国の佐田岬まで見渡せた。

「つくみイルカ島」のイルカショーはダイナミックだ

「つくみイルカ島」のイルカショーはダイナミックだ

 うみたま体験パークつくみイルカ島で、イルカのショーを見学した。大自然をバックに繰り広げられるジャンプは、雄大でダイナミックだった。

 案内してくれた地元観光協会の宗像功さんは「イルカの水族館は各地にあるでしょうが、ここは大自然の海の中で、海の動物たちとのふれ合いが満喫できます」と胸を張った。

 文・写真 松井稔

(2012年10月12日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
羽田空港、中部国際空港から大分空港まで定期便がある。
大分空港からバスで佐伯市まで約2時間、臼杵市まで約1時間25分。
JRなら日豊線で。

◆問い合わせ
佐伯市観光協会=電0972(23)1101、
臼杵市観光情報協会=電0972(64)7130、
津久見市観光協会=電0972(82)9521。

おすすめ

九州で最古のみそ・醤油製造販売店

九州で最古のみそ・醤油製造販売店

★うみたま体験パーク「つくみイルカ島」
午前10時~午後4時(季節により変動あり)。
1月中旬~3月中旬は休み。
イルカのショーなどが楽しい。
大人840円、小中学生530円、幼児(4歳以上)420円。

★カニ醤油
九州で最古のみそ・醤油製造販売店。
1600(慶長5)年の創業以来、臼杵市内の同じ所で店を構え、今も量り売りをする。
店舗は文化庁登録文化財。
みそソフトクリーム(300円)も販売。
電0972(63)1177。

★国宝臼杵石仏
臼杵市の臼杵川岸の山肌に、
平安から鎌倉時代にかけて彫られたと推定される磨崖仏群。
規模、数、彫刻技術は他に類がない。
4群59体が国宝指定。
臼杵石仏事務所=電0972(65)3300。

★糀屋本店
1689(元禄2)年創業の麹(こうじ)をつくり続ける佐伯市船頭町の老舗。
名物の甘酒饅頭(まんじゅう)は辛党にも好評。
電(0120)166355。

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

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