【本文】

  1. トップ
  2. 旅だより
  3. 伊豆大島
伊豆大島

伊豆大島 東京都 温泉と椿の里 春先取り

三原山の雄大な景色を眺めながら朝風呂に漬かる浴客

三原山の雄大な景色を眺めながら朝風呂に漬かる浴客

  東京の目の前にありながら、時には別世界のように感じられる伊豆大島(東京都大島町)。椿(つばき)まつりが始まっているというので、足を運んだ。

 東京・竹芝桟橋(竹芝客船ターミナル)から東海汽船の大型客船「かめりあ丸」(3.837トン)に乗り込んだ。釣りざおや折り畳み自転車を持参した客が続々と乗り込んでいる。春を待ちかねた人たちが暖かい島に渡るのだろう。

 午後10時に出港、一晩かけて早朝6時に大島に到着した。うっすらと空が明るい。車で約15分の三原山温泉へ行き、露天風呂に入ってリフレッシュ。大島温泉ホテルでは、宿泊客だけでなく、日帰り客も入浴できる。

 湯船からは湯けむりの向こうにどっしりとした島のシンボル、三原山(標高758メートル)が見える。青空に山の稜線(りょうせん)がくっきりと映え、太平洋の水平線へとつながっている。お湯の流れる音と鳥の鳴き声が静けさを際立たせる。頬を伝わる風が心地いい。三原山は度々、噴火し、島を形づくってきた。近くは1986(昭和61)年に大噴火し、全島民が1カ月間も島外で避難生活を送った。そんな歴史を思い浮かべながら温泉を楽しんだ。

開花した色鮮やかな椿の花と椿の女王ら

開花した色鮮やかな椿の花と椿の女王ら

 椿まつりのメーン会場がある大島公園に行く。約450品種3700本の園芸種とヤブツバキ約5000本を有する国内最大規模の椿の植物園だ。

 椿の花は見頃には早かったが、それでも温室や日当たりの良い場所は咲いていた。赤や白やピンク、色が混ざったものやまだら模様の花もある。大小形もさまざま。これが全部椿というから不思議だ。椿の原産は日本だがそれが世界に広がり、今や3万種以上あるという。

 公園入り口のステージでは、大島観光協会主催の「椿の女王コンテスト」が盛大に開かれていた。今年のミス椿の女王は東京都目黒区の学生、柴田珠実さん(22)が選ばれた。柴田さんは「大島に初めて来てみて、一度で好きになった。空気がきれいだし、人が優しい」とうれしそうに話した。

 新品種など約350種の椿が見られる「椿花ガーデン・リス村」を訪ねた。手入れが行き届いている。山下隆史代表に椿の説明を聞いた。山下さんによれば、椿の語源には厚葉樹(あつばき)と艶葉樹(つやばき)がなまったという2つの説がある。日本から欧州に渡った椿は、赤い花が珍しかったのか貴族らに人気が出て、オペラ「椿姫」が生まれた。日本で一番早く咲くのが伊豆大島。その理由は、夏涼しく冬暖かいからという。

 山下さんの解説だけでなく、展望も素晴らしい。芝生広場から海を眺めると、まるで外国にいるよう。晴れた日には、房総半島から東京、熱海、富士山、伊豆半島まで見渡せる。

 
国道沿いに見えるバームクーヘンの模様のような地層切断面=いずれも伊豆大島で

国道沿いに見えるバームクーヘンの模様のような地層切断面=いずれも伊豆大島で

 大島のもうひとつの魅力はジオパーク(大地の公園)だろう。地球の諸現象や変遷の歴史をとどめた地層や地形を有する地域のことで、三原山の火山を持つ大島は島中がジオパーク。あちこちに地殻変動の跡をのぞかせている。国道沿いにも突如、バームクーヘンの模様のような地層切断面が現れたりする。

 島の食事も期待を裏切らない。椿油の入った油で揚げた天ぷらを島の塩で食べると最高。メダイ、カンパチ、キンメダイなど島の魚、アシタバなど島ならではの食材がいっぱいだ。

 島はもう春の気配。椿まつりは3月24日まで。

 文・写真 吉岡逸夫

(2013年2月15日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
東京・竹芝から東海汽船が超高速ジェット船、大型客船を運航。
大型客船は毎夜出港、翌朝大島着(神津島まで運航)。
空路は羽田空港、調布飛行場(東京都調布市)から定期便がある。

◆問い合わせ
大島観光協会=電04992(2)2177。椿まつり情報は公式HPで。

おすすめ

超高速ジェット船

超高速ジェット船

★伊豆大島ジオパーク
伊豆大島は島全体がジオパーク。
見どころは巨大バームクーヘン(地層切断面)のほか、元町溶岩流、伊豆大島火山博物館など。有料のツアーガイドは観光協会で事前に申し込む。3原山の山頂避難休憩舎で「ジオパーク展」を開催中(土日曜、椿まつり期間中、無料)。

★超高速ジェット船
東京・竹芝-大島を1日2~3往復、直航なら約1時間45分。
乗客定員254人、最大速力44ノット(時速約80キロ)。
現行料金は大人片道7320円、子ども半額。
東海汽船予約センター=電03(5472)9999

★大島温泉ホテルの日帰り入浴
大人800円、子ども400円。午前6~9時、午後1~9時。源泉掛け流し。電04992(2)1673

★椿マッサージ
湯上がりに椿オイルを使ったリラクセーションをしてもらうと、もう天国にいるよう。セラピストの甲野藤(こうのとう)愛さんは、大島温泉ホテルを中心に活動している。椿まつり中は1000円安く、1時間6000円。

首都圏・関東の宿泊情報

一覧

    現在この情報はありません。

首都圏・関東のツアー情報

一覧

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

旅コラム
国内
海外