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小峰城

小峰城 福島県白河市 修復に復興の願い込め

崩れた石垣の修復が進む小峰城
崩れた石垣の修復が進む小峰城

 東京を出て福島県に入ると、うっすら雪が積もっていた。JR白河駅のホームに立つと、正面に美しい小峰城が見えた。駅舎の天井が高い。見上げると、玄関の上に鮮やかなステンドグラスがはめ込まれている。木造平屋だが、三角屋根がおしゃれな大正時代の建物だ。

 みちのくの玄関口、白河市には有名な白河関がある。が、今は小峰城が注目を集める。2年前の東日本大震災で被害を受け、地元の復興のシンボルとなっているのだ。

 白河市もあの日3.11に最大震度6強を観測し、約千棟が全半壊、12人が亡くなっている。原発事故の風評被害も払拭(ふっしょく)できていない。

 小峰城は日本百名城の1つにも選ばれ、NHKの大河ドラマ「八重の桜」でも戊辰(ぼしん)戦争の激戦地として登場する。極め付きはご当地萌(も)えキャラの小峰シロだろう。昨年10月、東京・秋葉原で開かれた「Moe1(モエワン)グランプリ」で一般投票キャラクター部門、観光部門のそれぞれ1位となった。

雪が残る南湖。松平定信の時代から庶民の憩いの場だ

雪が残る南湖。松平定信の時代から庶民の憩いの場だ

 駅のホームから見えるのは、三重櫓(さんじゅうやぐら)。手前に「前御門(まえごもん)」と呼ばれる表門がある。ともに戊辰戦争で焼失したが、約20年前、木造で復元された。

 近づくと、石垣があちこちで崩れているのが見てとれた。石垣は総延長が2キロあり、大震災で9カ所が壊れた。修復工事は石垣の石を1つ1つ外し、使える石はまた元の場所に戻すという。

 同市商工観光課によると、国の補助金もあるが、城郭復元基金をつくって寄付を募り、約1億円を集めた。しかし、修復工事には15億円以上の費用と約10年の歳月がかかる見込みだという。

 白河観光物産協会の根本節雄事務局長は「工事のため、今は城の中に入れない。知らずに来る人もいて、申し訳なく思う。その一方で、石垣の内部を見る機会はほとんどないので、今こそ、と来られる人もいる」と話す。

 城の北側には阿武隈川が流れ、石垣も高い。戊辰戦争では、会津藩兵らからなる奥羽越列藩同盟軍が、南から押し寄せる新政府軍を迎え撃った。同盟軍は城から2キロ南の稲荷山で戦ったが敗れ、新政府軍が城を占拠した。100日を超える戦いで戦死者は1000人を超えた。

 「白河だるまバーガー」ののぼりにひかれて二の丸茶屋に入った。地元特産の清流豚を使った「清流豚カレー風味カツバーガー」という、長い名前のバーガーを食べる。地元産の食材にこだわった一品という。

1915年に建てられた白河ハリストス正教会=いずれも福島県白河市で

1915年に建てられた白河ハリストス正教会=いずれも福島県白河市で

 店内を見渡すと、お土産売り場には、だるまも、清流豚の加工品もキャラクターグッズもある。絵馬を買っていた菊地忠さん(33)=同県泉崎村=と妻の香小里(かおり)さん(33)に声をかけた。

 「2カ月に一度ぐらい、新しいグッズを探しに来ます。今日は南湖で買ってからここに」「地元のですから、県外にいる友人にも送って、みんなで応援していますよ」と話した。

 その後、寛政の改革で知られる松平定信ゆかりの南湖や白河ハリストス正教会などを見て回った。

 もうすぐ大震災から2年。小峰城の石垣を見ると復興には長い時間がかかると実感した。訪ねてきて、変化を見守ること。それが私でもできる支援だ。
 
文・写真 井上能行

(2013年3月8日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
東北新幹線で新白河駅下車、JR東北線に乗り換えて白河駅へ。

◆問い合わせ
白河観光物産協会=電0248(22)1147

おすすめ

小峰シロ

小峰シロ

★南湖公園
白河藩主松平定信が、庶民が憩える庭園として築造。
日本最古の公園とされ、国指定史跡。一周約2キロで、17カ所の景勝地を設けている。
桜や紅葉の名所でもある。入場無料。

★小峰シロ
2011年に誕生した白河観光物産協会の公認キャラクター。
東日本大震災で被災した各地の復興を応援するキャラクターでもある。

★白河ハリストス正教会
1915年に建てられたビザンチン様式の教会。正八角形のドームと白い壁が印象的だ。
白河駅から徒歩約5分。見学は電話=0248(23)4543=で予約を。

★白河だるま
松平定信が城下の繁栄を図るため作らせた。高さ8センチから90センチまでの18種類。
毎年、1つ大きなだるまに買い替え、18年目に最大のだるまに、というのが正しい買い方という。
毎年2月11日にだるま市が開かれる。

★城郭復元基金
寄付を募集中。問い合わせは白河市商工観光課=電0248(22)1111。

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

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