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出雲大社

出雲大社 島根県出雲市 御仮殿に堂々、大しめ縄

遷宮までの間、主祭神をまつっている御仮殿

遷宮までの間、主祭神をまつっている御仮殿

 「勢溜(せいだまり)」と呼ばれる出雲大社(島根県出雲市)の正門をくぐると、ここからが神域。木々に囲まれ、少しひんやりとした空気に背筋が伸びた。出雲大社にはコンクリート、木、鉄、銅と素材の異なる4つの鳥居がある。その先にあるのは、出雲大社のご神体「大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)」を仮にまつっている御仮殿(おかりでん)(本来は拝殿)だ。「縁結びの神様」とされることもあり、参拝者は女性のグループが目立つ。

 御仮殿の「大しめ縄」は、スケールが桁外れでなかなかの見応え。長さ約7メートル、重さ1.5トンもあり、思わずため息が出た。さらに、しめ縄は通常右から左へとねじり編むのだそうだが、「出雲大社は逆で、左から右になっているんですよ」と現地ガイドの杉本志恵美さんが説明してくれた。

 大しめ縄は、西の門から境内を出て川を渡ったところにある「神楽殿」にも飾られる。こちらは御仮殿よりさらに大きく、長さ13メートル、重さ5トン。

 神社の参拝では通常、2回おじぎをした後、2回かしわ手を打つのだが、出雲大社では4回打つのがしきたり。静寂の中、願い事を心に浮かべた。

 

 ことしは、お宮を新たにして、ご神体を移し替える「遷宮」の年。ご神体がまつられている本殿の「改築」は、傷み具合を見て取りかかり、おおむね60年おきに行われる。今回は5年前の2008年から始まった。本殿を修造する間、ご神体は「仮の住まい」の御仮殿に移されている。5月10日の「本殿遷座祭」で本殿に戻り、儀式が完了する。

遷宮にあたり大屋根をふき替えた本殿

遷宮にあたり大屋根をふき替えた本殿

 修造部分の判断は「できるだけ前のものを使うことが約束事。悪くなったからと途中で替えることはできない。次の遷宮まで60年間保てるかどうかを基準に見極める」(出雲大社禰宜(ねぎ)の松井恵治さん)という。現在の壁や柱は1744年から同じものを使っており、今回の修造では風雨で老朽化した本殿の大屋根のふき替えが主な作業。ヒノキの樹皮「檜皮(ひわだ)」を全国から集め、約70万枚を使用した。

 また三重県の伊勢神宮でも、ことしは20年に一度の遷宮行事が行われている。伊勢神宮は部分直しの修造ではなく建て替え。手法は異なるが、出雲大社によると2つの遷宮が重なるのは1953年以来で60年ぶり。さらに時代をさかのぼっても、遷宮が重なったのは鎌倉時代以降、わずか5回しかなく、歴史的にみても貴重なタイミングだ。

 境内では、鎌倉時代前半に本殿を支えていたと推測される巨大なスギの柱「宇豆柱(うづばしら)」の発掘跡も目にすることができる。宇豆柱は、3本のスギを束ね直径3メートルもの太さ。現在の本殿は高さ24メートルだが、古代は高さ50メートル近い高層神殿だったとの説を今に伝えている。

島根ワイナリーでは地元産のブドウでワインを醸造。試飲や購入もできる=いずれも島根県出雲市で

島根ワイナリーでは地元産のブドウでワインを醸造。試飲や購入もできる=いずれも島根県出雲市で

 参拝の後は、出雲市内のワイナリーで地元産のブドウを使ったワインを楽しんだ。初めて訪れた島根県は歴史が深く、ほかにも多くの観光名所があった。5月の遷宮後にも出雲大社を訪れ、もう一度、島根を巡ってみようか、早くもそんなことを思い描いている。

 文・写真 木村留美

(2013年4月5日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
山陽新幹線・岡山駅で在来線の特急「やくも」に乗り換え出雲市駅へ。
一畑電車に乗り継ぎ出雲大社前駅で下車、徒歩約7分。
東京、浜松からは寝台特急「サンライズ出雲」が便利。
東京(羽田空港)から出雲空港へ空路もある。

◆問い合わせ
島根県観光振興課=電0852(22)6757。出雲大社の公式HPあり。

おすすめ

高層神殿の模型

高層神殿の模型

★島根県立古代出雲歴史博物館
出雲大社境内から出土した巨大な柱「宇豆柱」や、高層神殿の模型、国宝の銅剣、
銅鐸(どうたく)などが展示されている。入館料大人600円、小中高生200円など。
毎月第3火曜休館(祝日の場合は翌日)。
午前9時~午後6時(11~2月は午後5時まで)、入館は閉館の30分前まで。
電0853(53)8600

★稲佐の浜
出雲大社の西に位置する海岸。「古事記」に書かれている神話の舞台。
旧暦10月には全国から集まる八百万(やおよろず)の神々を迎える神事が執り行われる。

★八重垣神社
縁結びで知られる神社。和紙に硬貨を載せ、沈む速さや位置などで
願いがかなうかを占う「鏡の池」がある。早く沈むほど早くかなうとされる。

★島根ワイナリー
ワイン醸造の過程を見学できる。赤、白、ロゼの約10種類のワインの試飲も可。午前9時半~午後5時(6~9月は午後6時まで)。
電0853(53)5577

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

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