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グライフスバルト、ルブミン

グライフスバルト、ルブミン ドイツ おとぎの国と静かな浜

赤い屋根に白い壁、レンガ色で覆われた建物が並ぶマルクト広場=ドイツ・グライフスバルトで

赤い屋根に白い壁、レンガ色で覆われた建物が並ぶマルクト広場=ドイツ・グライフスバルトで

 ドイツを訪ねようと旅行ガイドを開いて驚いた。北東ドイツの記述がほとんどない。日本人が訪れるドイツはロマンチック街道やハイデルベルク、フランクフルトなどに集中しているようだ。それならば北東ドイツへ行ってみようと、パリ経由でベルリンに入りベルリン中央駅からバルト海沿いのグライフスバルト行きの高速列車に乗った。

 列車は平たんな大地を一直線に北上し続けた。車窓の、はるかかなたには地平線。ドイツ北部には山らしい山が見当たらない。時折、森林や風力発電の巨大風車が姿を見せる。

 列車は3時間弱でグライフスバルト駅に到着した。ここは緯度でいうと、北海道よりも、ずーっと北。日本と比べると、涼しい。グライフスバルトは13世紀に北ドイツ都市商人組合「ハンザ同盟」に加入していた歴史ある町だ。町外れにはこの町の起源といわれるエルデナ修道院の巨大な廃虚が立っている。北ドイツを中心にバルト海沿岸地域の貿易と経済を支配した都市同盟による繁栄の名残の1つだ。

 町の中心には正方形のマルクト広場がある。おとぎの国のような建物が広場を取り囲んで行儀よく並んでいる。赤い屋根に白い壁、三角屋根も壁もすべてレンガ色で覆われた建物も。家族連れやカップルでにぎわう広場には、さまざまな市が出店し、まるでカーニバルのようだ。1日中歩き回っても飽きない。広場のオープンカフェで普段着のドイツをゆっくりと楽しんだ。

 この町は“大学都市”としても知られる。1456年創設のグライフスバルト大学は学生数約1万2000人。町の人口が約5万4000人なので5人に1人が学生だ。若者の姿をよく目にするわけだ。

美しい砂浜が続く海岸=ドイツ・ルブミンで

美しい砂浜が続く海岸=ドイツ・ルブミンで

 次いで、ルブミンへ。バルト海に面したルブミンは延長約4キロの美しい砂浜で知られる。1886年に海水浴場が整備され、海水浴場は一般客、ヌーディスト、それに犬連れ客用の3つに分かれる。夏のバカンス期間中は、海水浴客でどこもいっぱいになるそうだ。

 現在、町はこの海岸を生かした観光誘致に本腰を入れている。アクセル・フォークト町長と話をする機会があり、町長は「目指すは持続可能な観光だ」と胸を張っていた。夏の海水浴客だけではなく、サーフィンなど水上スポーツ、釣り、砂浜での乗馬や文化イベントで客を呼び込みたい考えだ。

ドイツ・ルブミンのアクセル・フォークト町長

ドイツ・ルブミンのアクセル・フォークト町長

 その町長が自慢のマリーナに案内してくれた。2006年に完成したマリーナは、ドイツやチェコの資産家のヨットが帆を休めていた。付近では釣り客も多い。バルト海ではニシン漁が盛んだという。そういえばスーパーマーケットの棚にはニシンの酢漬けの缶詰が山積みにされていた。

 月の夜、静かな浜辺を歩いた。波のないバルト海はまるで鏡のようだ。

 次の瞬間、「あれっ」と首をかしげた。不思議なことに潮の香りがしない。海水に手を入れてみたが塩辛さも感じない。聞くと、バルト海は川の多い内海なので塩分が薄いのだそうだ。

 海岸沿いの食堂でビールを注文すると、バルト海の海水のようにまろやかな味がした。

 文・写真 土田修

(2013年7月12日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
日本からベルリンまではパリやフランクフルト経由で。
グライフスバルトはベルリンから高速鉄道で約2時間45分。
ルブミンへはバスかタクシーで。

◆問い合わせ
ドイツ観光局(東京)=電03(3586)5046

おすすめ

写真

★ジャーマンレイルパス
ドイツの鉄道が3~10日間乗り放題となるパス。高速鉄道、特急なども乗車可。条件によって値段が変わる。出発前に日本の旅行会社で購入する。3日間、2等席で大人2万5000円程度から。

★ルブミン宿泊
ルブミンにはホテル・民宿が多い。町役場観光課によると、ベッド数は1150床を数える。水上スポーツや釣り、乗馬などが楽しめる。問い合わせはルブミン町役場観光課へメール(Lubmin@t‐online.de)を。英語で対応。

★ニシン酢漬け
バルト海ではニシン漁が盛ん。ニシンの酢漬けの缶詰、瓶詰が名物。味付けはトマト風味、マヨネーズ風味など多彩。レストランではニシン料理が味わえる。

★カスパー・ダービト・フリードリヒ
グライフスバルト出身のドイツのロマン主義絵画を代表する画家。1774~1840年。生家が公開されている。

★エルデナ修道院跡
町中心部から徒歩15分ほど。公園として整備されている。同修道院は12世紀に建てられたが、宗教改革の波にのまれ衰退した。

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

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