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千仏鍾乳洞

千仏鍾乳洞 北九州市 ひんやり 絶好の避暑地

日本三大カルスト台地に数えられる平尾台

日本三大カルスト台地に数えられる平尾台

 「ここが小腸なら、胃は、もうすぐ先だ」-。巨大生物にのみ込まれた人間が、脱出しようと体内をさまよい歩いている。そんなやりとりを連想してしまいそうな光景である。ストーリーはやや異なるが、1960年代に製作された米国映画「ミクロの決死圏」を思い出した。

 ここは北九州市小倉南区の南端に広がる国内有数のカルスト高原「平尾台」(国天然記念物)。小高い山が連なり、標高は400~700メートルほど。エリアは南北11キロ、東西2キロに及び、山口県の秋吉台などと並び、日本三大カルスト台地に数えられる。ふもとにある石原町駅で駅長の国田重男さん(66)に「昔は、鍾乳洞の照明はなく真っ暗。高校生のころ男友だち数人とカンテラを手に入りましたが、探検気分でしたよ」と聞かされ、わくわくしながらタクシーで向かった。

 平尾台は、丈の短い草に覆われ、所々に石灰岩が顔をのぞかせる典型的なカルスト台地。景色がいいだけでなく、野鳥のさえずりが聞けるので、近年はトレッキングに訪れる人も増えている。

広くなったり、狭くなったりの通路が続く千仏鍾乳洞

広くなったり、狭くなったりの通路が続く千仏鍾乳洞

 エリア内には、大小さまざまな鍾乳洞が点在する。このうち観光用は3カ所。平尾台の東端に入り口のある千仏(せんぶつ)鍾乳洞はスケールの大きさだけでなく、子どもからお年寄りまで、気軽に踏破できるコースとして人気が高い。無料で貸し出しているサンダルに履き替え、突入した。

 洞内の気温は、年間を通じて16度。内部を流れる川の水温は14度と、まさに“絶好の避暑地”。おそるおそる歩を進めると入り口から480メートル地点で「奥の細道」の表示が目についた。それまでは順調だったが、名前通り急に洞窟の幅が狭くなり、2人同時に通れない場所も。さらに足元を水深20センチほどの川が流れるようになり、しばらくは「いい気持ち」に浸っていた。ところが、川の水は数分ともたないほどの冷たさ。少し進んでは、岩場の上で足の感覚を取り戻し、これを繰り返すはめに。まさに極楽と地獄が同時に味わえるゾーンだった。

 観光で入れるのは「第三の滝」がある1200メートル地点まで。入場券売り場の女性から「電気照明は地獄トンネルのある約900メートル地点まで。そこから先は、上からの落水と川の水でびしょぬれになりますよ」と聞いていたので、地獄トンネルの手前で引き返した。

 
新鮮な食材が並び、市民らでにぎわう旦過市場=いずれも北九州市で

新鮮な食材が並び、市民らでにぎわう旦過市場=いずれも北九州市で

 涼感を満喫したら、食欲がわいてきた。市街地に戻りJR小倉駅前の繁華街に続く市民の台所、旦過(たんが)市場を訪ねた。通りの中ほどに「大学堂」の看板があった。中をのぞくと北九州市立大人間関係学科の仲村知佐子さん(22)たちが、ご飯とみそ汁の調理に追われていた。市場で、刺し身など食べたい食材を自由に買い求め、こちらに持ち込むと、300円でご飯とみそ汁を用意し、「大学丼」として食べさせてくれる。「大学堂」は、大学生たちが、まちおこしなどを狙いに活動する拠点として2008年に開設。「大学丼」は、その翌年から竹川大介教授(人類学)のゼミ生らが交代で運営しているのだという。

 市場には110余りの店舗があり、このうちの3店で、マグロやウニ、ブリ、ヤリイカの刺し身と、まだ生きているマツエビを調達。3人分で4000円ほどだった。次から次へと客足は衰えず、なかなかの繁盛ぶり。仲村さんに、旦過市場の楽しみ方を尋ねると「とにかく店の人に話しかけること。ウマが合えば、初対面でもおまけしてくれますよ」と教えてくれた。

 このあと、わが子と同世代の学生たちと座卓を囲んで会食。30分足らずだったが、学生生活のこと、お互いの家族のこと、将来のことにまで話が及び、予期せぬいい思い出ができた。

 文・写真 富永賢治

(2013年8月9日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
平尾台へは、名古屋から小倉まで新幹線で約3時間30分、日田彦山線に乗り換え約30分で最寄りの石原町駅に、ここからタクシーで約20分。
東京から小倉までは、のぞみで約5時間。羽田空港から北九州空港までは約1時間50分、バスに乗り換えJR小倉駅まで約35分。

◆問い合わせ
北九州市観光情報コーナー=電093(541)4189、もしくは市観光協会のホームページへ。

おすすめ

皿倉山夜景

皿倉山夜景

★平尾台自然観察センター
平尾台にあり、地元の鍾乳洞や生息する動植物について学べる。
月曜(祝日の場合は翌日)定休。午前9時から午後5時。無料。電093(453)3737

★皿倉山夜景
皿倉山(622メートル)は北九州市八幡東区にある。山頂展望台からは市内のほか、
玄界灘、関門海峡などが見渡せ、新日本3大夜景の1つにも数えられる。
最寄り駅はJR八幡駅。ケーブルカーとスロープカーを乗り継ぐと、ふもとから約10分で山頂に到着。運行時間は午前10時から午後6時までだが、土日と夏休み中は午後10時まで。年中無休だが悪天候時は運休。料金は往復で大人1200円、小学生600円。
帆柱ケーブル=電093(671)4761

★スペースワールド
宇宙をテーマにしたテーマパーク。最高時速130キロのロケットコースターなどがあり、
大人から子どもまで楽しめる。利用は問い合わせてからがお勧め。
フリーパスは大人4200円、小学生3150円、幼児1050円、シニア2100円。夏休み中は別料金。電093(672)3600

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