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ダブリン

ダブリン アイルランド 歴史を肴に うまい酒

にぎわうテンプルバーの一角

にぎわうテンプルバーの一角

 アイルランドといえば、まずはアイリッシュパブでギネスビール。ダブリン到着初日から夜の街に繰り出すと、地元住民のグループが「ドロー(引き分け)!!」と親指を突き立て、笑顔を向けてきた。ちょうどサッカーのアイルランド対イングランド戦が終わったところだった。観客の暴動で没収試合になった1995年以来の親善試合。結果よりも、友好ムードで終わったことに喜んでいる。

 住民に交じって一軒のパブへ。1パイント(568ミリリットル)のギネスビールを頼んだ。日本でいうと、やや大きめの中ジョッキか。5ユーロ(1ユーロ=約130円)。店内を見渡すと、肴(さかな)を頼んでいる客はいない。当地では肴なしが飲み方の流儀らしい。

 日本で英語を教えた経験もあるというドナ・モリスさんが「2011年に英国のエリザベス女王がアイルランドを訪ねてきて、両国の関係はとても良くなりましたね」と話しかけてきた。過去の植民地支配や独立をめぐって対立してきた両国の歴史は、英国君主の100年ぶりの訪問で新たな段階に入っているのだという。

 アイルランドと日本をつなぐ友好協会の集いで知り合った、夫が日本人だというダリーナ・スラテリーさんが「近くの大聖堂を見て・・・」と地図を見ながら即座にダブリン街歩きコースをつくってくれた。それに従い、商店が立ち並ぶリフィー川沿いを歩き、有名な「バトラーズ」でお土産のチョコレートを。1932年創業の老舗は、優しい味を守っていた。

 
市内で最も古い建築物とされるクライストチャーチ大聖堂

市内で最も古い建築物とされるクライストチャーチ大聖堂

 「市内で最も古い建築物」といわれるクライストチャーチ大聖堂などの名所をめぐり、疲れてきたところで約170年の歴史がある有名なパブ「テンプルバー」に入った。周辺は中世から受け継がれる石畳の細い道が交差し、パブやレストランが集まり、市内でも最もにぎわう一画だ。

 店内はギターデュオが奏でるアイリッシュ音楽にノリノリの客でごった返す。「日本から来たの?じゃあ一杯おごってやるよ」。ビールの受け取りカウンターで順番を待っていると、見知らぬ男性客がごちそうしてくれた。アイルランドの人たちは気さくで人懐こい。

 翌日は市の中心街にあるダブリン大学トリニティ・カレッジへ。400年以上の歴史と伝統を誇り、「ガリバー旅行記」で知られるジョナサン・スウィフトやノーベル賞作家のサミュエル・ベケットらを輩出し、アイルランドを「文学の島」にしている。

 図書館が観光客に公開されている。蔵書の中でも800年ごろの聖書「ケルズの書」は世界で最も美しい本と称され、一番の見ものだ。

 2階に上がると、約65メートルという細長い柱廊(ちゅうろう)の中央に古書を展示し、両脇にも20万冊の蔵書が詰まった書架がそびえる。書棚の前には、ソクラテスら歴史に名を刻んだ哲人や作家たちの胸像がずらりと並び、こちらを向く。映画「スター・ウォーズ エピソード2」のワンシーンのモデルになった荘厳な造り。難しい問いをかけられているようで、何だか背筋が伸びる。

映画「スター・ウォーズ」の場面のモデルになったトリニティ・カレッジの図書館2階=いずれもアイルランドのダブリンで

映画「スター・ウォーズ」の場面のモデルになったトリニティ・カレッジの図書館2階=いずれもアイルランドのダブリンで

 ふー、くたびれて、最後の夜もやっぱりパブへ。難しい歴史や文学があるからこそ、頭を休めるためのうまい酒が発達したのかもしれない。

 文・写真 吉田通夫

(2013年8月23日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
日本からアイルランドへの直行便はなく、フランクフルトやロンドンなどで乗り換える。

◆問い合わせ
アイルランド政府観光庁日本事務所の日本語ホームページが充実している。

おすすめ

ブレイゼンヘッド

ブレイゼンヘッド

★国立博物館
欧州最古の軍事兵舎を改築した「コリンズ・バラックス」は装飾芸術と経済や社会、政治、軍事史を展示。もう一方の「キルデア・ストリート」では、国宝や古代の美術品を展示。
無料。午前10時~午後5時(日曜は午後2時から)。

★ブレイゼンヘッド
ダブリン市で最も古いパブ。2階はアイルランドの伝統料理を楽しめるレストランに
なっている。午前10時半~午後11時半(木-土曜翌午前0時半まで、
日曜は午前0時まで)。

★聖パトリック大聖堂
1191年建立。ジョナサン・スウィフトも晩年に司祭を務め、
聖堂の入り口近くに埋葬されている。入館料5.5ユーロ。
3~10月は午前9時~午後5時(土日は変更あり)

★ギネス・ストアハウス
ギネスビールの欧州最大の醸造所。社史を見学して一杯たしなむツアーがある。
レストラン、バーも併設。入館料16.5ユーロ。午前9時半~午後5時(7、8月は午後7時まで)。

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