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青森県田舎館村 田んぼアートの村

青森県田舎館村 田んぼアートの村 青森県田舎館村 大地を彩る稲の巨大絵

弘前城天守閣は下乗橋とセットで撮影すると美しい=青森県弘前市で

弘前城天守閣は下乗橋とセットで撮影すると美しい=青森県弘前市で

 稲の濃淡で水田に絵を描く“田んぼアート”。青森県の津軽平野で、古代から稲作をしてきた田舎館(いなかだて)という村が、地域振興を狙い、“田んぼアート”に力を入れていると聞き、東京・上野駅発の寝台特急「あけぼの」に乗り込んだ。午後9時すぎに発車、北へ向かう昭和のにおいがするブルートレインだ。日本海側を通り、約12時間かかって弘前駅に着いた。

 ここで弘南鉄道に乗り換えるのだが、せっかくだから弘前城へ寄っていこう。弘前城は津軽地方を統一した戦国武将・津軽為信が計画し慶長16(1611)年に完成した。現存する天守閣は、東北地方で唯一という貴重な建造物。天守閣や5つの城門、3つの櫓(やぐら)が国の重要文化財に指定されている。真っ赤な下乗橋とセットで撮影すると白い天守が映えて美しい。

 いかにもローカル線といった風情の弘南鉄道で、目的地の田舎館村へ向かった。車窓に“つがるロマン”と称される美田が広がる。この村は弘前市の東隣に位置し、人口は約8300人。津軽といえば本州の北の果て、寒くて雪が多く、稲作には不向きというイメージだが、弥生時代の水田跡が発掘されている。

 
天守閣風展望台から見た田んぼアート第1会場=青森県田舎館村で

天守閣風展望台から見た田んぼアート第1会場=青森県田舎館村で

 田んぼアートは、国内各地で見られるが、田舎館村では会場が2カ所あり、それぞれ展望台が設置されている。第1会場は村役場の目の前。役場の天守閣風の建物6階に展望台があり、上がってみると、「花魁(おいらん)とハリウッドスター」を表現した縦150メートル、横100メートルもの絵が目に飛び込んできた。見事な出来栄えに感動していると、展望台係員が「近年は、遠近法を取り入れ、よりリアルに見えるようになったんですよ」と説明してくれた。

 役場企画観光課の福地香織さん(29)によると、この絵は9種類の色の違う稲で描いている。図柄は「村おこし推進協議会」が決め、作業は村の職員と農協婦人部が担当。田んぼのそばに置いた測量機器で調整しながらポイントを決め、苗を植えていく。ことしは6月初めに田植えをした。「私も作業に参加しましたが、難しかったですよ」と福地さん。

 第2会場は、道の駅「いなかだて」の前。ことし7月には弘南鉄道に「田んぼアート駅」ができたので、訪れやすくなった。両会場を結ぶ無料バスもある。ここのアートは大迫力の「ウルトラマン」。こちらは楕円形(だえんけい)で約1万平方メートルもある。

埋蔵文化財センターでは弥生人の足跡を展示=青森県田舎館村で

埋蔵文化財センターでは弥生人の足跡を展示=青森県田舎館村で

 道の駅「いなかだて」に併設された「埋蔵文化財センター」に寄ってみた。展示されている水田跡は東北地方で初めて発見され、歴史の教科書を書き換えることになった。実際に“弥生時代の地面”を歩ける。弥生人の足跡が発掘されており、ガラスの床越しに自分の足と比べることができる。足跡は大人の男性でも23センチしかなく、小柄だったようだ。

 「上野発の夜行列車」に乗ったのだから、「青函連絡船」にも乗ってみたい。JR青森駅に足を延ばし、港に係留されている、かつての連絡船「八甲田丸」を見学した。船内には東京・お台場の「船の科学館」で展示されていたジオラマを移設、昭和30年代の活気ある青森駅前を再現している。ほかにも連絡船特有の鉄道車両甲板やエンジンルーム、ブリッジなど見どころがいっぱいだった。

  文・写真 須藤英治

(2013年9月27日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
田舎館村へは青森県弘前市から弘南鉄道で行くのが便利。
同鉄道の田舎館駅下車。弘前へは東北新幹線・新青森駅から特急つがる、
もしくは寝台特急あけぼので。名古屋(小牧)-青森空港の定期便もある。

◆問い合わせ
青森県田舎館村役場=電0172(58)2111

おすすめ

八甲田丸

八甲田丸

★田舎館村田んぼアート
第1会場は田舎館村役場前。第2会場は弘南鉄道の田んぼアート駅下車。
第1会場は村展望台(役場6階)、第2会場は「弥生の里展望所」(道の駅いなかだて内)から見学できる。
10月14日まで(村展望台は9月29日休)、午前9時~午後5時(入場午後4時半まで)。
展望台は2カ所共通で中学生以上300円など。
毎年6月初めごろから10月中旬にかけて行われている。

★田舎館村埋蔵文化財センター
午前10時~午後5時。月曜休館(祝日の場合は翌日休館)大人300円。
電0172(43)8555

★八甲田丸
JR青森駅から徒歩約5分。八甲田丸の船内が見学できる。大人500円。
4月から10月までは無休、11月から3月は月曜休館(祝日の場合は翌日休館)。
船の横には「津軽海峡冬景色歌謡碑」がある。電017(735)8150

★弘前城
JR弘前駅からバスで約15分。天守閣は弘前城史料館として公開中。
大人300円など。午前9時~午後5時(入館4時半まで)、11月24日から来年3月末までは閉館。

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

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