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古都 ポロンナルワ

古都 ポロンナルワ スリランカ いにしえを思い合掌

今も巡礼者が絶えないガル・ビハーラの涅槃仏=スリランカのポロンナルワで

今も巡礼者が絶えないガル・ビハーラの涅槃仏=スリランカのポロンナルワで

 うっそうとしたジャングルの小道を抜けると、突然、大きな仏像が横たわっていた。右腕を枕に、まるで眠る姿のようだった。ここはスリランカのかつての都・ポロンナルワ。信心深い地元の人は、仏像にできるだけ近寄り、手を合わせて拝んでいく。国民の多くが熱心な仏教徒という風土に興味がわき、スリランカを訪ねた。

 ポロンナルワは10~12世紀に栄え、今も寺や宮殿の遺跡が数多く残っている。ジャングルのそばにあるガル・ビハーラの広場には、灰色の岩を削って造られた立像や座像がほかにも3体あった。高さ3メートル、幅14メートルの大きな涅槃(ねはん)像は、仏陀(ぶっだ)の最期の姿を表しているという。

 家族や親戚10人でお参りに来ていた地元の会社員タノージャ・ビクラマーラッチさん(42)は「私たちの先祖がどのような生活をして、何を敬っていたのかを知りたいのです」と話した。並んで拝んでいると、仏像に気が集中し、辺りの鳥の鳴き声も遠のいていくように感じた。

 スリランカは、北海道より一回り小さな島国。日本では特産品の紅茶「セイロンティー」で知られている。2000年以上の歴史を持つ都市や珍しい動植物が見られるジャングルが世界遺産に登録されている。中でも、ポロンナルワとアヌラーダプラ、キャンディという3つの都市を結んだ地域は、特に仏像や宮殿跡が多く、文化三角地帯と呼ばれている。

太鼓のリズムに合わせて踊る女性=スリランカのキャンディで

太鼓のリズムに合わせて踊る女性=スリランカのキャンディで

 遺跡以外にもスリランカの文化を見たくなり、島の真ん中にある都市・キャンディへ。人に悪さをする悪霊を追い払う儀式から発展した踊り「キャンディアンダンス」を楽しんだ。

 天井の高い建物に入るとパイプいすが並び、ステージがあった。照明が落ちると、スカートのような衣装を身に着けた男性が細長い太鼓を抱えて現れ、両手で激しく打ち鳴らしながら始まりを合図。場面が変わってクジャクのような美しい服をまとった女性4人が登場すると、手を翼のように広げながら、神秘的な踊りを見せ始めた。だがどんなに激しく動いても、笑みを絶やさなかった。これは「仏に祈りをささげているから」だという。

 30分ほどでダンスは終了。出口には、先ほどまで踊っていた女性が募金箱を抱え、入場料とは別にカンパを募っていた。ダンスがきれいだったことを伝えると、「修業は厳しく、私はまだまだ」と照れ笑いしていた。

 翌朝は、地元の人たちも買い物をする市場「キャンディマーケット」へ。上から見ると「口」の字の形をしたコンクリート造りの2階建てだった。フルーツを扱う店では、マンゴーやスイカなど色とりどりの果物が積まれ、特産品のトウガラシなどの香辛料と紅茶が袋入りでぶら下げてあった。バナナは1キロが日本円で50円ほどと格安。1本試してみると、さわやかな酸味の後に強い甘みを感じた。

バナナやマンゴー、香辛料などの特産品が集まるマーケット=キャンディで

バナナやマンゴー、香辛料などの特産品が集まるマーケット=キャンディで

 実はスリランカには、親日家が多い。第2次世界大戦後のサンフランシスコ講和会議(1951年)で、後に大統領となるジャヤワルダナ氏は、かつてスリランカが英国の植民地だったこともあり「独立を望むアジアの国は、日本に共感を覚えた」と演説し、敗戦国の日本をかばってくれた。そしてガイドのラクスマンさん(48)は「ともに仏教を信じる国民が多いし、日本からの経済援助で博物館もできた。憧れもあって、日本が好きです」。

 スリランカには2012年、海外から100万5000人の観光客が訪れた。日本からはそのうちの2万6000人で、現地の人は日本からもっと来てほしいと考えている。出会った多くの人から日本への愛着を感じ、居心地はことのほか良かった。そして、わけへだてなく優しく見守ってくれそうな涅槃像に、もう一度、頭を下げたくなった。

 写真・文 藤原啓嗣

(2013年11月8日 夕刊)

メモ

◆交通
スリランカへは、スリランカ航空が成田空港からコロンボへの直行便を月、木、土、日曜に運航。タイ国際航空は、中部国際空港からバンコク経由でコロンボへの便を毎日運航。中日ツアーズは、来年2月11日出発で5つの世界遺産を巡る6日間のツアー参加者を募集している。

◆問い合わせ
スリランカ政府観光局=電03(5282)8022、スリランカ航空東京支店予約案内=電03(3431)6600、タイ国際航空コールセンター=電(0570)064015、中日ツアーズ=電052(231)0800

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カリー

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★カリー
細長い粒のご飯と一緒に食べる伝統の料理。日本のカレーと異なり、ルーに粘りけは少ない。鶏肉や魚、豆やホウレンソウなどが具で、汗が噴き出るほど香辛料を利かせたものも。1種類ずつ食べてもよいが、数種類のカリーを混ぜると味に深みが出る。レストランやホテルで500円ほどで食べられる。

★シーギリヤ・ロック
キャンディから車で1時間ほどのシーギリヤにある古代都市の遺跡。ジャングルの中にそびえる高さ200メートルの岩山の上に宮殿の跡が残る。頂上まで徒歩で1時間かかる。中腹の岩肌には、美女のフレスコ画もある。遺跡への入場料は約3000円。

★アヌラーダプラ
ポロンナルワから車で北西へ4時間ほどの聖地で、2300年前にインドから最初に仏教が伝わったとされる。仏陀が悟りを開いたインド・ブッダガヤの菩提(ぼだい)樹の分け木に参拝できる。遺跡への入場料は約2500円。

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