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コタキナバル、サンダカン

コタキナバル、サンダカン マレーシア 先住民族の文化を体感

北ボルネオの先住民族の暮らしを再現したマリマリ文化村。高床式のロングハウスで竹を使った火おこしを見学する観光客ら=コタキナバル郊外で

北ボルネオの先住民族の暮らしを再現したマリマリ文化村。高床式のロングハウスで竹を使った火おこしを見学する観光客ら=コタキナバル郊外で

 狭いつり橋を渡ると、ニッパヤシの葉や竹でつくった高床式の住居が現れた。まるでタイムスリップしたようだ。マレーシア・ボルネオ島サバ州の州都で東南アジア屈指のリゾート地、コタキナバルから車で40分ほどの山中にあるマリマリ文化村。5つの先住民族の暮らしを再現し、体験できる。周囲はうっそうとした熱帯雨林。鳥の鳴き声が旅の気分を盛り上げてくれる。

 「マリマリ!!」-。ガイドに促され、まず農耕民族のドゥスン族の家に入った。マリマリとはマレー語で「おいで、おいで」という意味だそうだ。

 風通しがよく、意外と涼しい。薄暗い室内に米と砂糖などで造ったライスワインの瓶が並ぶ。民族衣装を着た女性に勧められ、小さな竹の筒に入った酒を飲み干すと、日本酒のような香りと甘い味が口の中に広がった。

 続いて長屋のようなルングス族のロングハウスへ。上半身裸の男性が、竹を使っての火おこしを見せてくれた。あっという間に炎が上がり、観光客から拍手が起きた。

 かつて“首狩り族”と呼ばれたムルット族の集落に入るときには、突然、刀を持った戦士が飛び出してきて、敵か調べられる儀式も体験した。頭蓋骨をお守りとして家の天井につるす風習があったと知り、驚かされた。

 マレーシアは多民族国家で、サバ州だけでもマレー系、中国系、インド系など30を超える民族が暮らす。中でも先住民族の文化は独特で、多彩だ。約2時間の異文化体験はショーアップされ、先住民族の時代背景や生活を楽しく、刺激的に学ぶことができた。

カメラを向けても逃げないシルバーリーフ・モンキー=サンダカン郊外のラブックベイ・テングザル保護区で

カメラを向けても逃げないシルバーリーフ・モンキー=サンダカン郊外のラブックベイ・テングザル保護区で

 翌日はサバ州第2の都市サンダカンの郊外にある「ラブックベイ・テングザル保護区」へ。海岸部のマングローブ林を抜け、見学できるテラスに来ると、長い尻尾のシルバーリーフ・モンキーが足元に寄ってきた。野生なのにカメラを向けても逃げない。

 ここではボルネオ島だけに生息し、垂れ下がった鼻を持つ野生のテングザルに餌づけし、見ることができる。帰り際には、サイの角のような突起のある黄色いくちばしが特徴のオオサイチョウが目の前に降り立ち、豊かな自然を肌で感じた。

 近くには「セピロック・オランウータン・リハビリテーション・センター」があり、そこも訪れた。人間にペットとして飼われていたり、森林伐採などで親とはぐれたオランウータンを保護し、森に帰っても自立できるように訓練する施設だ。木道をしばらく歩き、原生林の中の広いテラスのような場所に出た。目の前の大木の中ほどに台があり、飼育係がバナナを持ってくると、オランウータンが森の中から木の枝やロープを伝って集まってきた。しぐさがかわいい。観光客から歓声が上がった。

 サンダカンといえば、日本人には映画にもなった作家山崎朋子さんの「サンダカン八番娼館(しょうかん)」が思い浮かぶ。明治から大正にかけ、貧しさから、この地の娼館に身を売られてきた「からゆきさん」と呼ばれる女性がいた。かつて娼館があった場所を探したが、今は雑居ビルが立ち並び、過去の面影はなかった。

かつて娼館があったとされる地区。今は雑居ビルが立ち並び、面影はない=サンダカンで

かつて娼館があったとされる地区。今は雑居ビルが立ち並び、面影はない=サンダカンで

 サンダカンもコタキナバルも戦時中は日本軍に占領され、連合軍の爆撃を受けている。戦後、新しい街ができ、大自然を楽しむリゾート地に生まれ変わった。

 文・写真 清水孝幸

(2013年11月29日 夕刊)

メモ

◆交通
コタキナバルへの直行便はマレーシア航空が成田空港から週3便運航。所要時間は約6時間。サンダカンへはコタキナバルから国内便で約40分。

◆問い合わせ
マレーシアのサバ州政府観光局の公式ホームページが充実している。マレーシア航空=電03(5733)2111

おすすめ

魚介のカレー

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★キナバル公園
コタキナバル市街から車で約2時間。東南アジア最高峰のキナバル山(4095メートル)を中心にした自然公園で、世界自然遺産。いくつものハイキングコースがある。

★マレー料理
香辛料やハーブをたっぷり使い、中華料理の影響も受ける。イスラム教徒が多いため豚肉は使わず、海鮮が高級食材。魚介のカレーや、サバ州だけに自生する青菜に似たサバベジの炒め物などがおいしい。

★アグネス・キースの家
サンダカンに住んでいた米国人キース夫妻の旧宅。市街と海を一望できる丘に立つ。妻アグネスはボルネオでの生活を書いた「風下の国」を出版。第2次世界大戦で日本軍の捕虜も体験した。

★リゾートホテル
コタキナバルの「シャングリ・ラ ラサリアリゾート」は海と熱帯雨林の両方を楽しめ、オランウータンへの餌やりを見られる。海辺の「ステラハーバー・リゾート&スパ」はゴルフ場も備え、島巡りの拠点になっている。

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