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ベルゲン、オスロ

ベルゲン、オスロ ノルウェー 居並ぶ歴史の生き証人

ハンザ同盟時代の木造倉庫が並ぶブリッゲンはユネスコの世界遺産に登録されている=ノルウェーのベルゲンで

ハンザ同盟時代の木造倉庫が並ぶブリッゲンはユネスコの世界遺産に登録されている=ノルウェーのベルゲンで

 ノルウェー第二の都市ベルゲンは漁業の町だ。古くからの漁業大国で、同国から輸入されるサケやサバ、シシャモなどは日本の食卓でもおなじみだろう。海岸には色とりどりの切り妻屋根の木造倉庫が並ぶ。ベルゲンが14世紀半ばにハンザ同盟に加わった時、交易用の魚などを保管した倉庫群で、「ブリッゲン」と呼ばれ1979年、世界遺産に登録された。奥に細長い構造で、古きよき時代の雰囲気を醸し出している。

フィヨルド内に設置されたサケの養殖場。水中カメラでサケの健康状態や餌の消費などを常時監視している=ノルウェーのオーレスンで

フィヨルド内に設置されたサケの養殖場。水中カメラでサケの健康状態や餌の消費などを常時監視している=ノルウェーのオーレスンで

 「おっ、日本からのお客さんかい。日本人なら魚好きだろう。生きのいいサーモンはどうだい」。対岸には魚市場。新鮮な魚介類が並び、売り子の威勢のいい声が飛び交う。レストランが併設され、魚介類をクリームで煮込んだ「フィッシュスープ」が人気だ。北欧風さつま揚げの「フィッシュケーキ」はふんわりしてマシュマロのようだった。

 ノルウェー滞在6年のオスロ大大学院生、鐙麻樹(あぶみあさき)さんは「この国には魚がいっぱい。肉より安いので、日本に居たころより魚をよく食べるようになった。フィッシュスープはおいしいし、おなかがいっぱいになるのでお薦めです」と言う。

 ノルウェーを訪れたら、フィヨルド観光は外せない。電車や車、船を乗り継いで、雄大な海岸美を楽しむ。フィヨルドでは時に巨大なサケ養殖のいけすに出合う。いけすの中に水中カメラが設置され、監視員が常時サケが餌を食べる状況などを監視している。かつて餌は海の小魚などを使っていたが、今では持続可能な漁業を目指して植物主体に変わっている。

 ベルゲンから北へ約350キロの小島にあるホーホルメン・ハーブストゥエルへ足を運んだ。ここはかつての塩漬け乾燥タラ「クリップフィッシュ」の製造工場群を、ホテルに改造したというリゾート。ノルウェー海に浮かぶ姿は、まるで中世ヨーロッパの夢の中にいるよう。

 島支配人のスティアン・ルーサンさんは「18世紀初期に塩漬けタラの生産を始め、ここからスペインやポルトガルに輸出した。一時はこの島に300人近く住んだこともある」と胸を張る。夕食はもちろん300年の歴史を誇るクリップフィッシュだ。

小さな島全体が宿泊施設のホーホルメン・ハーブストゥエルホテル。正面が桟橋=ノルウェー・クリスチャンスンで

小さな島全体が宿泊施設のホーホルメン・ハーブストゥエルホテル。正面が桟橋=ノルウェー・クリスチャンスンで

 首都のオスロへ。ノルウェー政府は「健康のため、もっと魚を食べるように」とキャンペーンを展開する。5人家族の会社員のハンス・ペター・ネスさん(57)の自宅を訪ねる機会を得た。夕食は週に2、3回は魚だという。「ノルウェー人は食事には肉料理と魚料理とサケ料理の3種類があると思っている」と笑う。

 現在、ノルウェーなど北欧では、地産地消に取り組み、新鮮な素材のよさを生かした新しい料理「ニューノルディック・キュイジーヌ」(新北欧料理)が大きなうねりとなっている。日本の魚料理文化も大きな影響を与えていると聞いた。

 食材となる動物や魚の命を尊重したアニマルウェルフェア、生産の持続性などが基本理念なのも特徴の一つ。オスロにある新北欧料理のレストラン「マエモ」は、いつも数カ月先まで予約がいっぱい。かなりの高額にもかかわらず、にぎわっていた。ノルウェー料理の店が日本に上陸する日も近いと思った。

 文・写真 引野肇

(2014年4月4日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
オスロやベルゲンへは、日本からの直行便がなく、コペンハーゲンやヘルシンキなど経由で。オスロ-ベルゲン間は景色を楽しみながらの列車の旅がお勧め。

◆問い合わせ
スカンジナビア政府観光局の日本語のホームページが充実している。

おすすめ

ノルウェーの朝食
ノルウェーの朝食

◆ハンザ博物館
ブリッゲンの近くにあり、市内でも最も古い建物の一つ。ハンザ商人の事務所や住居を再現している。入場料大人70クローネ(1クローネ=約17円)。

◆ノルウェーの朝食
パンにハムやチーズ、スモークサーモン、ニシンの酢漬け、サバのトマト煮、魚卵のペーストなどを載せて食べる。これをそのまま包んでお昼の弁当にする人も多いという。

◆トロール
森にすむ間抜けな伝説の妖怪でノルウェー人に大人気。男、女、子ども、老人とさまざまなタイプがあり、お土産売り場によくある。

◆フロイエン山
ベルゲン市街地の北にある標高320メートルの山で、頂上から市街地を一望できる。ふもとからケーブルカーで7分。料金は往復大人85クローネ。

トロール
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※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

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