【本文】

  1. トップ
  2. 旅だより
  3. 支笏湖と新千歳空港周辺
支笏湖と新千歳空港周辺

支笏湖と新千歳空港周辺 北海道 心澄みわたる青の深さ

自然のままに千歳川を見ることができる千歳サケのふるさと館。左は遡上時のビデオ映像=千歳市で

自然のままに千歳川を見ることができる千歳サケのふるさと館。左は遡上時のビデオ映像=千歳市で

 意外だった。北海道の空の玄関口とだけ思っていた新千歳空港の近くに、これほど豊かな自然と多彩な観光地があるとは知らなかったからだ。
 
 空港から車で約10分。千歳市内を流れる千歳川の河畔に「千歳サケのふるさと館」がある。サケが遡上(そじょう)する川として知られる。シロザケ、ベニザケ、カラフトマスなどサケの仲間を中心に約100種類、約1万匹が大小の水槽内を泳ぐ。一番の見どころは千歳川の中を自然のままにのぞくことのできる水中観察室だ。7つのガラス窓が川から入り込む陽光で光っている。顔を近づけると体長10センチから20センチほどの魚が泳いでいるのが見える。
 
 ボランティアガイドの百々(どど)登美子さん(67)は「今はヤマメ、ウグイ、アメマスくらいですが、8月末からサケの遡上が始まると、にぎやかになりますよ」と言う。
 
 ガラス窓わきのビデオ映像がその遡上時の迫力を伝え、あたかも目前にしているよう。遡上時には千歳川がせき止められ、サケの捕獲をするインディアン水車が設けられる。館外に水車の実物模型が置かれていた。

透明度の高い、青く澄んだ支笏湖。前方の右端が風不死岳、その左に樽前山が見える=北海道千歳市で

透明度の高い、青く澄んだ支笏湖。前方の右端が風不死岳、その左に樽前山が見える=北海道千歳市で

 千歳川に沿って源流の支笏(しこつ)湖へ。沿道にシラカバ林が続く。「熊出没注意」の看板も。近年、ヒグマが里近くにも出ているという。約30分で支笏湖に着く。支笏洞爺国立公園内だ。
 
 湖畔にある支笏湖ビジターセンターに寄る。支笏湖は約4万年前の火山活動でできたカルデラ湖。周囲約40キロ。最大水深は363メートルと田沢湖(秋田県)に次いで二番目だ。
 
 センタースタッフの先田文雄さん(62)の案内で湖に出る。右手に1972年の冬季五輪滑降の競技会場となった恵庭岳(1、320メートル)、左手に風不死岳(ふっぷしだけ)(1、103メートル)、さらに、おわんを伏せたような頂の樽前山(たるまえさん)(1、041メートル)を望むことができる。いずれも活火山だ。
 
 湖底が透けて見える。透明度は日本でも有数、水質は環境省調査で6年連続の日本一だ。水深が深いためか日本最北の不凍湖とされているが、近年では2001年に全面氷結した。先田さんは、支笏湖に顔の大きさが一畳もある怪獣がいたという古文書の話をした。ネス湖の怪獣をまねて“シッシー”と名がついた。「怪獣伝説があるのも湖の深さのゆえでしょう」
 
 翌朝、カヌーで千歳川から支笏湖の湖面に出た。カヌーガイドの松沢直紀さん(28)が案内してくれる。支笏はアイヌ語で「深いくぼ地」の意味という。途中、水中観光船に出合う。船内から湖の中をのぞくことができる。札幌市出身の松沢さんは「(新千歳)空港からこんな近くで自然の深さを感じることができる。札幌の人は近すぎて良さに気づかない人が多い」と笑った。
 

観客を前に障害を懸命に跳ぶポニー=苫小牧市のノーザンホースパークで

観客を前に障害を懸命に跳ぶポニー=苫小牧市のノーザンホースパークで

 帰りの飛行機まで時間があった。空港から車で約15分のノーザンホースパークへ。苫小牧市に入り、広々とした放牧場に囲まれた約50ヘクタールの施設。園内を回る馬車や天皇賞などG1(ローマ数字の1)レースで活躍した競走馬の厩舎(きゅうしゃ)もある。競馬ファンの中には、往年の名馬を間近に見て感激のあまり涙ぐむ人もいるとか。
 
 人気のポニーショーを見物した。ちょっぴりドジで、それでも懸命に芸に取り組むポニーの姿がほほえましく、心が和まされた。
 
 文・写真 朽木直文
 
(2014年7月18日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
 新千歳空港には国内の主な空港から直行便がある。羽田、成田、中部国際から約1時間30~40分。支笏湖へは新千歳空港から路線バスがある。約50分。ノーザンホースパークへは空港から無料シャトルバスが運行。

◆問い合わせ
 千歳観光連盟=電0123(24)8818

おすすめ 

支笏湖名物のチップ(ヒメマス)料理

支笏湖名物のチップ(ヒメマス)料理

★支笏湖温泉
 湖畔に休暇村支笏湖など5つの温泉旅館施設がある。ナトリウム、炭酸水素塩などを含み「美肌の湯」とされる。恵庭岳を背にした老舗の丸駒温泉旅館は塩化物泉で、湖を眼前に望む露天風呂が魅力。同旅館と休暇村は日帰り入浴も。支笏湖名物のチップ(ヒメマス)料理が楽しめる。支笏湖温泉旅館組合(休暇村内)=電0123(25)2201、丸駒温泉旅館=電0123(25)2341
 
★航空自衛隊千歳基地
 新千歳空港に隣接。F15J戦闘機やT4練習機、救難捜索機などの発着訓練を見学できる。平日のみ。事前申し込みが必要。8月3日の基地航空祭は申し込みなしでも入場できる。第2航空団監理部広報室=電0123(23)3101
 
★新千歳空港ターミナルビル「北海道ショールーム」
 3年前に大幅リニューアル。広さ約4万平方メートル。スイーツの店など約180店がそろう。チョコレート工場を併設したロイズチョコレートワールドや国内空港初の天然温泉施設なども人気だ。電0123(23)0111

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

旅コラム
国内
海外