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ジャイサルメール

ジャイサルメール インド 心を開放 雄大な砂漠

色とりどりのサリーを着た女性らが行き交うにぎやかな街=インド・ジャイサルメールで

色とりどりのサリーを着た女性らが行き交うにぎやかな街=インド・ジャイサルメールで

 砂漠に沈む夕日を眺め、星のきらめきを浴びて眠る。自然を肌で感じたい。そんな憧れを抱き、砂漠を旅する「キャメルサファリ」をインドで体験した。

 首都ニューデリーから西へ列車で17時間半。砂漠にぽつんと立つジャイサルメール駅に降り立った。車で50分ほど走り、待っていたのは、日に焼けたガイドたちと、愛らしい顔つきのラクダ。垂れ目に長いまつげ、笑っているような口元。駆け寄ると、「グルル」と低いいななきに、「クチャクチャ」と反すうする音。おじけづいたが、ガイドに「さあ乗って」とせきたてられ出発した。

 リーダーのバディヤさん(46)によると、私の相棒はアレックス(雄、8歳)。キャメルサファリ用のラクダは雄で、すべて名前が付いているという。バディヤさんは「家族のような大切な仲間さ」とこぶをなでた

地平線まで続く砂漠をラクダで行く観光客=インド・ジャイサルメールで

地平線まで続く砂漠をラクダで行く観光客=インド・ジャイサルメールで

 ザク、ザクと音を立てキャラバンは進む。じり、じりと照りつける強い日差しに、汗が噴き出してきた。砂丘には美しい風紋。青い空が広がり、開放感に満たされた。

 午後4時、出発から1時間で宿泊地に着いた。太ももの内側が痛い。風呂やトイレはもちろん、建物もない。パキスタンとの国境まで約50キロの地点という。国境は武装地帯だ。暑さを一瞬忘れた。

 ガイドのほとんどが地元出身。今回はバディヤさんと中堅のバリヤンさん(40)、サリームさん(35)、あどけなさの残るレキヤさん(19)の男性4人。地元の言葉マルワリ語で話し、くつろいだ雰囲気。枝を拾い火をおこし、食事の準備を始めた。

 おやつはスナック菓子とチャイ(スパイス入りの甘いミルクティー)。暑いのに、熱々のチャイは本当においしい。高級レストラン、寝台列車、一般家庭などで飲んだが、砂漠での野性味あふれる一杯は格別だった。

 砂丘ではしゃいでいると、日が暮れてきた。砂漠の先の地平線。燃え尽きる直前の線香花火のような夕日。空一面に映し出されたショーに見入った。
 

砂漠の中で火をおこし、夕食を作るガイド=インド・ジャイサルメールで

砂漠の中で火をおこし、夕食を作るガイド=インド・ジャイサルメールで

 夕食は野菜カレー、ご飯、チャパティと呼ばれる薄焼きパン。アルミ皿に1人前ずつ盛られ、手で食べた。チャパティは、バディヤさんが小麦粉と水をこねて作ってくれた。使った食器は砂をこすりつけ、払って終わりだ。

 たき火を囲み、空を見上げると無数の星。「インドには何でもあるんだなあ」。ぽつりとつぶやいたのは、大阪市立大ボート部の仲間2人で訪れた平野貴宏さん(24)。相方の的場章浩さん(22)も「おまえの誘いでインドに来て良かった」とうなずいた。

 インドにはきれいな公衆トイレやトイレットペーパー、残り時間を心配せず使える温水シャワーは(一部の地域を除いて)ない。しかし、旅人たちに言わせれば「北にはヒマラヤ山脈、南には海。聖なる川ガンガー(ガンジス川)もあれば、西にはこの砂漠がある」。

 キャメルサファリガイド歴14年のバディヤさんにジャイサルメールの魅力を尋ねると「何といっても砂漠。静かな雰囲気、気持ちよい風、雄大な眺めが最高さ」と誇らしげだった。

 星空を眺めて就寝…したかったが、ここからが大変だった。寝床は砂の上に敷いた布団。目を閉じると「グルル」…うろつく野犬のうなり声。かまれたら狂犬病で死を覚悟だ。ジョボボ…近くで休むラクダの放尿音。不安と恐怖で眠りは浅かった。

 翌朝6時半。寒くて目が覚めた。東の地平線から昇る朝日の輝きに、寝不足も忘れた。朝食の後、帰路へ。

 ガイドや旅人との出会い、美しい自然。得たものは多かったが、腹痛という困ったお土産も。砂漠での野宿、手づかみの食事の威力を思い知った。

 文・写真 白井春菜

(2014年7月25日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
日本からインドへの直行便は成田空港-ニューデリーまたはムンバイ間があり約8~10時間。ジャイサルメールへは、オールドデリーのデリー駅から夜行列車で17時間半。ジョードプルからは鉄道またはバスで5~7時間。

◆問い合わせ
インド政府観光局=電03(3561)0653

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★レストラン「ザ・トリオ」
市街地の西側にあるアマル・サガール門近く。値段は高めだが、落ち着いた雰囲気で食事を楽しめる。キノコとグリーンピースのトマトカレーは195ルピー(1ルピー=約1.7円)、チキン煮込みカレー335ルピー。

★ホテル「東京パレス」
日本に住んでいたことがあるインド人オーナーが営むゲストハウス。宿泊以外でも、キャメルサファリの手配や屋上レストランなどを利用できる。

キノコとグリーンピースのトマトカレー

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