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ゴールドコースト

ゴールドコースト オーストラリア 太古の自然 肌で感じて

スプリングブルック国立公園では滝の裏側を通り、滝つぼに落ちる様子を見ることができる

スプリングブルック国立公園では滝の裏側を通り、滝つぼに落ちる様子を見ることができる

 こけむしたナンキョクブナの大木の前で目をつぶる。何種類もの鳥のさえずりが聞こえてくる。風と日差しを頬に感じ、森のにおいが体を満たす。ゆっくり息を吸うと、自分が森に溶け込んでいくのを感じた。

 機中で一夜を明かし、早朝のゴールドコースト空港から、世界遺産のスプリングブルック国立公園に向かう。冬季でも日差しは強く、気温がぐんぐん上がる。野生のコアラを探しながらユーカリの林を通り抜け、2000万年前の火山の大噴火でできた南半球最大のカルデラに入る。ユーカリの林に亜熱帯雨林、さらに南極大陸とも地続きだった時の名残の冷温帯林が待っていてくれた。

 明るいユーカリの林の中で、鼻腔(びこう)にスッとした清涼感のある香りが入ってくる。ユーカリは700種ともそれ以上ともいわれ、乾燥した地に強く、岩盤の上にも育つ。紫外線の強い過酷な環境に対応し、南極やインドとも地続きだったゴンドワナ大陸のジャングルから、長い時間をかけてユーカリの林に変わってきたという。

 道を下りていくと、うっそうとした亜熱帯雨林に入っていく。足元がゴツゴツした岩場から軟らかい土に変わったのを感じる。木漏れ日が入ってこなくなり、周囲の気温が下がる。見上げると、光を求めて上へ上へと伸びた大木が空を覆っていた。

 午後には、ユーカリの林からゴンドワナ大陸のジャングルへ。「タイムスリップみたいでしょ」。ガイドの藤井慶輔さん(37)が言う。気温が10度近く下がり、さっきまで汗をかいていたのに、寒いとすら感じる。2億年前から続く森を抜けると、明るく日差しで照らされた壮大な滝が見えた。

 夜、南十字星や天の川など満天の星が輝く中、スプリングブルック国立公園の一角、ナチュラルブリッジへ。オーストラリアやニュージーランドの限られた場所にしか生息しないツチボタルを見に行く。繊維のように細い幼虫が、暗闇で光る。小さな懐中電灯と月明かりを頼りに森を抜け、洞窟に下りると、岩の天井に青白い光が空を覆う星のように広がっていた。

サーファーズパラダイスのビーチ。ビーチ沿いに高層ビルが連なり、白い砂浜がどこまでも続く

サーファーズパラダイスのビーチ。ビーチ沿いに高層ビルが連なり、白い砂浜がどこまでも続く

 翌日、朝焼けを見にサーファーズパラダイス北のビーチに。地平線からオレンジ色に変わり、海や遠くに見えるサーファーズパラダイスの高層ビル群を染める。次第に明るくなる空の下、海岸を走るランナーの姿が現れる。前日、サーファーズパラダイスの海岸で見た夕日は、反対側の空をピンクと水色の2色に染めた。朝日と夕日はこんなにも美しいのか。体に光が満ちていくのを感じた。

巨大な気球に乗って上空へ。南太平洋から昇る朝日が見える=いずれもオーストラリア・クイーンズランド州で

巨大な気球に乗って上空へ。南太平洋から昇る朝日が見える=いずれもオーストラリア・クイーンズランド州で

 3日目の朝は4時に起きて、気球に乗りに行く。寒い。車で気球が飛ぶ内陸部に行くと、黄色と赤の2つの巨大な気球が、バーナーの炎で膨らんでいく。横倒しになっていた気球が次第に膨らみ、立ち上がると、気球の下のかごに左右から20人が乗り込む。バーナーを動かし、操縦するのはパコ・カスティロさん。地平線が明るくなる中、気球が空に上がり始めた。パコさんが時折動かすバーナーのゴーッという音以外は、静寂に包まれる。気球は風まかせに漂い、海抜4400フィート(約1300メートル)まで上がった。南太平洋から昇る太陽の強い光が差してくる。遠くの山々や田畑、牧場が見える。ゆっくりと朝の時間が過ぎていった。

 駆け抜けた3日間。心にも体にも大自然からもらった力がみなぎっているのを感じた。

 文・写真 片山夏子
 
(2014年8月29日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
直行便は、成田空港からジェットスターがゴールドコースト国際空港(オーストラリア・クイーンズランド州)へ運航している。所要時間は約8時間半。このほかケアンズやシドニーなどからの経由便もある。

◆問い合わせ
クイーンズランド州政府観光局の日本語のホームページ(局名で検索)が充実している。

おすすめ 

コアラ

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★カランビン・ワイルドライフ・サンクチュアリ
自然保護を目的とした動物保護園。東京ドーム6個分の敷地には、数多くの原生植物や野生動物が生息し、自然に近い状態になっている。敷地内には100種以上、1000匹を超える動物たちがいる。コアラを抱っこしての記念撮影もできる。

★現地発着のツアー
野生のイルカを訪ねるなど数多くのツアーがある。エコツーリズム協会が認定した中には日本人のエコガイドも。人気のツチボタルツアーは「ツアー・ゴールドコースト」など数社が催行している。

★炭火焼きステーキ
老舗のレストラン「カブス・ステーキハウス」が地元で人気。入り口近くにある食肉店のようなショーケースの中から、オージービーフやTボーンなどのボリュームある肉を選ぶと、炭火焼きにしてくれる。サーファーズパラダイスから、車で15分ほど。

炭火焼き

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