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ジョージタウン(ペナン島)

ジョージタウン(ペナン島) マレーシア 多文化同居 レトロ街

ショップハウスを改装したマレー雑貨店、カフェ、ギャラリーなどが並ぶアルメニアン通りをトライショーがゆっくり進む

ショップハウスを改装したマレー雑貨店、カフェ、ギャラリーなどが並ぶアルメニアン通りをトライショーがゆっくり進む

 スコールは突然に。三輪自転車タクシーのトライショーにカメラを向けていると、生暖かい風とともに暗雲が一気に広がった。熱帯特有の激しい雨。さっきまでの青空がうそのようだ。

 雨期に訪れた人口40万人のジョージタウンはマレーシア・ペナン島の中心街。18世紀末、英国東インド会社が進出し交易都市として発展した。2008年、マラッカとともに「マラッカ海峡の歴史的都市群」として世界文化遺産に登録された。

 豪雨を避けようと飛び込んだ食堂は、街の中心部を南北に貫くペナン通りにあった。1階がアーケード状の通路となっていて、隣の店舗と長屋風に連なっている。ショップハウスと呼ばれる特有の建築で、100年以上の歴史があるという。

 そのレトロな食堂の軒先にぶら下がっていたのが、こんがりアメ色をした鶏の丸焼き。香ばしい匂いにも誘われ、海南鶏飯という中華風チキンライスを注文。店内を見渡すと、マレー料理やインド料理の厨房(ちゅうぼう)も並んでいる。多民族国家マレーシアならではの食堂だ。

アルメニアン通りに近いキャノン通りにある壁画アート。左奥はモスク

アルメニアン通りに近いキャノン通りにある壁画アート。左奥はモスク

 食事を終えるころには雨も上がり、ペナン通りの最北端にある「イースタン・アンド・オリエンタル(E&O)ホテル」に向かった。1885年創業で、街の象徴的存在。ロビーではガイドの楊炳栄(ヨンペンウェン)さん(48)が待っていてくれた。楊さんは、多くのマレーシア華人がそうであるように中国語、マレー語はもとより英語も堪能。

 トリリンガルの彼が用意した車で世界遺産街を駆け巡った。東へ数分走るとハーモニー通りに出た。見えてきたのがセント・ジョージ英国国教会。南へ進むと、ヒンズー教のスリ・マハ・マリアマン寺院、イスラム教のカピタン・クリン・モスクと続く。3棟とも19世紀の創建で荘厳なたたずまい。車窓からの宗教絵巻に目を奪われた。

 通りを北へ戻り、観音寺で車を降りた。老若男女の参拝者が集う仏教寺院だ。楊さんは「世界遺産に登録されたのは、歴史的建築だけが理由ではありません。この寺に見られるように婚姻、出産など人生の節目に参拝するなどの風習が生きているからです」と話してくれた。うなずくと、彼は続けた。「伝統がずっと続くか心配ですが…」

 楊さんと別れ、庶民的なチュリア通りを歩いた。ホテルに改装されたショップハウスが連なり、茶色の屋根瓦が快晴の空に映える。近代建築ファンには心躍る通りだったが、気温35度、湿度80%超という熱帯モンスーン気候にまたたく間に汗が噴き出し、街歩きを断念。客を降ろしたばかりのトライショーに声を掛けた。

 ギコギコ…。ゆっくりとペダルをこぐ運転手。アルメニアン通りに入る。雑貨店や古民家を改装したカフェが点在し、観光客でにぎわっていた。運転手が「最近は針金アートや壁画が人気で、ツアーもあるくらいさ」と教えてくれた。

 通りを歩くと、あちこちの壁を現代風の絵画や漫画風の針金アートが彩っていて、カップルが記念撮影に興じていた。

リトル・インディアの市場にあるヤシの実屋台。店員が、鮮やかな包丁さばきで実を削っていた=いずれもマレーシア・ペナン島のジョージタウンで

リトル・インディアの市場にあるヤシの実屋台。店員が、鮮やかな包丁さばきで実を削っていた=いずれもマレーシア・ペナン島のジョージタウンで

 お宝作品を探すうち、インド系住民が生活するリトル・インディアに迷い込んだ。香辛料店やヤシの実ジュースなどの屋台が並ぶ中に、古びた木彫り看板店があった。中をのぞくと、若者たちが老職人を取り囲んでいた。皆、建築を専攻する地元の学生で「伝統文化の保全」をテーマに調査中だという。真剣に古老の話を聞く姿を見ていて、ガイドの楊さんに伝えたくなった。「この街の未来はきっと大丈夫」と。

文・写真 内藤哲宏

(2014年9月12日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
日本からペナン島への直行便はない。成田、羽田、中部、関西の各空港からクアラルンプール(マレーシア)経由。または各空港から香港、バンコク、シンガポール経由で。対岸のマレー半島・バタワースからフェリーも出ている。

◆問い合わせ
マレーシア政府観光局東京支局=電03(3501)8691

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E&Oホテル

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★E&Oホテルのアフタヌーンティー
白亜のコロニアルホテルで優雅なひとときを。ダイニング「1885」の人気メニュー目当ての客も多い。

★ジョージタウン探索地図
ペナン歴史博物館が発行し、カフェやギャラリーに置いてある。21カ所ある壁画アートの写真と位置などが記してあり、街歩きに便利。

★フードコート
マレーシアのローカルフードを一度に味わえる屋台街。ジョージタウンのレッドガーデンをはじめ、ペナン島全域にある。お薦めはマレーシア風辛味ソースで炒めたサンバルエビ。

サンバルエビ

サンバルエビ

★ラピッド・ペナン
ペナン島で運行している路線バス。ジョージタウンの主要観光地を巡る無料バスもある。フロントガラスの「FREE」の表示が目印。

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